70歳を迎えた今も、現役で活躍し続けている伝説のモデル・我妻マリさん。
17歳でモデルデビューした後、サンローランのオート・クチュールモデルを10年間務め、パリコレへ進出。
イッセイ ミヤケ、ティエリー・ミュグレー、ジャン⁼ポール・ゴルチエなど数々のショーで活躍し、日本人モデルがパリコレクションへ進出する礎を築きました。
そして、60歳を過ぎて栃木県に移住。ファッションの最前線に立ち続ける一方、運転免許も取得し、女ひとり(+猫たち)で自然を謳歌して暮らしています。
本書『明日はもっと面白くなるかもしれないじゃない?』は、そんな我妻マリさんの初めての著書。50年以上のモデル歴で培った、おしゃれの真髄、体の慈しみかた、そして年齢を重ねることについて―。少しずつですがご紹介いたします。
最近なんだかうまくいかないことが多いなあと思ったら、まず部屋の掃除をします。
部屋が綺麗になったら、すっきりするし、気持ちが軽くなる。ちょっとあの人に会ってみようかとか、新しいことにチャレンジしようかしらとか、インスピレーションがわくの。淀んだ空気の中にいたら、いい考えも浮かばないのかもしれないですね。私にとって、部屋の掃除は、「気」の入れ替えのようなものです。
お部屋が綺麗になったら、小さな花瓶にお花を1輪、2輪飾ってみる。そして毎朝そのお花のお水を替えることを意識します。
水を替えるときは、茎の部分を綺麗に洗って、またそこを切って花瓶に戻す。切り戻しするときは、冷たい水の中で切ってあげてね。水がぬるいと、元気がなくなっちゃうから。
私は、毎朝水を替えるときに、花に話しかけるんですよ。「こんにちは」って。そうしたら相手もちゃんと、挨拶してくれるの。
いまは、一人暮らしをしているけれど、毎朝お花と挨拶するだけでも、一日の始まりが感じられて、気持ちいいと感じます。
花は、特別なものでなくてもいいの。家の周りに咲いている小さな花でもいい。いま、私の家の周りは、近所のおばあちゃんが植えてくれたラッパ水仙がいっぱいだから、それを少しいただいて挿しています。
お花屋さんで買うのなら、薔薇やカサブランカを少しだけ。薔薇やカサブランカは高いし、ちょっと贅沢かなあと思っちゃうのだけれど、ちゃんと毎日お水を替えれば長持ちするのよね。強い花は、強いエネルギーをくれるから、自分もぱっと元気になれます。
もちろん、野の花のように可憐な花も好きで、ときどきいただくこともあるのだけれど、野の花は切っちゃうと一気に弱ってしまうものが多いみたい。地面から生えているのが一番幸せなのね、きっと。
部屋を掃除したり、お花のお世話をしたりすること。
それでどうして人生がうまく行き始めるのか、最初は不思議だったのだけれど、きっと、自分を大事にする感覚を思い出すからだと思うの。
自分を大事にすると、相手からも大事にされる。
相手から大事にされている感覚があると、もっと自分を大事にしようと思う。そういうサイクルが回るんじゃないかなと思います。
そのはじめの一歩を踏み出すのに、自分の身の周りのものを大事にすることから始めるとうまくいきやすいのかもしれない。
まずはお掃除。そして花を1輪。私の合言葉です。
明日はもっと面白くなるかもしれないじゃない?
我妻マリ。モデル歴50年。今もファッションの最前線に立ちながら、60歳を過ぎて田舎へひとり移住した彼女が語る「受け入れる、けれど諦めない」37の生き方。
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