70歳を迎えた今も、現役で活躍し続けている伝説のモデル・我妻マリさん。
17歳でモデルデビューした後、サンローランのオート・クチュールモデルを10年間務め、パリコレへ進出。
イッセイ ミヤケ、ティエリー・ミュグレー、ジャン⁼ポール・ゴルチエなど数々のショーで活躍し、日本人モデルがパリコレクションへ進出する礎を築きました。
そして、60歳を過ぎて栃木県に移住。ファッションの最前線に立ち続ける一方、運転免許も取得し、女ひとり(+猫たち)で自然を謳歌して暮らしています。
本書『明日はもっと面白くなるかもしれないじゃない?』は、そんな我妻マリさんの初めての著書。50年以上のモデル歴で培った、おしゃれの真髄、体の慈しみかた、そして年齢を重ねることについて―。少しずつですがご紹介いたします。
ちょっとテンションを上げたいなと思ったときは、朝から香水をつけるようにしています。
香水は体に直接つけるのではなくて、上に向かってシュッシュッとプッシュして、そのシャワーの中をくぐるような感じ。自然に体に香りをまとえるから、強すぎずに嫌な感じにならないのね。
朝、起きて窓をあけて、そのとき入ってきた風の感じでどんな香水をつけるかを決めることが多いです。夏なら、オレンジの香りがする香水とか。濃厚ないちじくの香りの香水も好き。とても気持ちがいいの。
お気に入りの香水は、ラルチザン パフュームというブランドのもの。フランスの香水で、少しお値段は張るのだけれど、香りがビビットで素敵。パリでも、アーティストや、ファッション関係の人たちが好んで使っていました。パルファムだとちょっと重いので、私はオードトワレ派。
香水だけではなく、タンスの引き出しに入れるサシェやローソクも持っています。日本だと、伊勢丹や大丸などで買えます。
調香師の方が何人かいるそうで、季節に合わせて使い分けるのが楽しい。春はお花の香り、夏は柑橘系を使うと、頭がすっきりして気持ちがいいと感じます。もちろん夏は、海の香りも素敵よね。秋冬は樹木の香りをまとうと、心がすっと落ち着きます。それぞれ個性的な香りなのだけれど、同じブランドであれば、混ざってもいいように作られているというのも素敵なところ。
香水って、自分ひとりのものじゃなくて、つけることで、一緒にいる人も気持ちよくなれるのがいい。通りすがりにいい香りがすると、そっちに寄っていきたい気持ちになっちゃう!
そういえば、ラルチザンの香りの中に「いじわるオオカミ」という名前がついているものがあるのね。あれはきっと、つい側に寄ってついていきたい気持ちになるからじゃないかと想像しています。
自分の気持ちがままならないときは、濃厚な香りをつけると、元気になれるし、気分も上向くのを感じます。逆に、あまり落ち着かない気分のときは、リラックスできる香りを使う。寝る前につけると、ゆったり眠れる香水もあるから、それを使うのも好きです。
ぐっと気分を高めて、勝負をするための香りもある! 私の場合、「森のパウダー」という香りが、勝負の香り。それをつけると、気分がぐっと持ち上がって頑張るぞって気持ちになれるの。
脳って、鼻からすごく近いから、落ち着いたり、活性化したりという反応がすぐに出るように感じます。
自分のバランスを整えるために。自分を活性化させるために。自分をリラックスさせるために……。香水を味方につけるようになってから、人生が楽しくなっています。
明日はもっと面白くなるかもしれないじゃない?
我妻マリ。モデル歴50年。今もファッションの最前線に立ちながら、60歳を過ぎて田舎へひとり移住した彼女が語る「受け入れる、けれど諦めない」37の生き方。
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