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#こんな時だからこそ読みたい本 幻冬舎社員リレー

2020.04.22 公開 ポスト

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ひきこもり生活でひきこもり小説を読む(竹村優子)幻冬舎編集部

いつもより時間があるstayhomeの今、どんな本を読みたいか、おすすめしたいかを弊社社員がリレー形式で紹介します。幻冬舎plus編集長の竹村からスタート。

*   *   *

先日、オンラインで『ペスト』の読書会を開催しました。『ペスト』はコロナのことを予言しているような、今との共時性に溢れた小説。コロナ禍の渦中でそんな小説を読むと、不安が余計に増すのではないかと思っていたのですが、まったくそんなことはなく、むしろ冷静な気持ちになることができました。感染症は人類の歴史のなかで繰り返されてきたこと。終わりがあること。客観的に今の状況を見る視点をもらうことができたのだと思います。

 

では、今のひきこもり生活も少し違った点から見ると気持ちが変わるのではないかと思って浮かんだのが、ドストエフスキーの『地下室の手記』。中年の元役人が、自意識過剰ゆえに自ら籠った「地下室」。延々と吐き出される鬱屈としたモノローグ。気持ちは晴れなさそうですが、閉じこもるということの狂気について考えざるをえません。今や、個人だけでなく、社会全体が閉じこもっているのですから。

そして、『地下室の手記』の主人公の年齢よりも、もっと若く小学生のときに、団地で一生過ごす決意をした少年を描く『みなさん、さようなら』(久保寺健彦)もここでご紹介しておきたい小説です。ひきこもりの青春。発売当時に読んだきりですが、爽やかな読後感は忘れられません。これも現在の再読候補です。

#こんな時だから読みたい本

ドストエフスキー『地下室の手記』(光文社古典新訳文庫)

世間から軽蔑され虫けらのように扱われた男は、自分を笑った世界を笑い返すため、自意識という「地下室」に潜る。世の中を怒り、憎み、攻撃し、そして後悔の念からもがき苦しむ、中年の元小官吏のモノローグ。終わりのない絶望と戦う人間の姿が、ここにある。

久保寺健彦『みなさん、さようなら』(幻冬舎文庫)

小学校の卒業式で起きたとある事件をきっかけに、団地から出られなくなった少年・渡会悟。彼はそこで一生を過ごす決意をする。だが月日が経ち、同級生は減り、最愛の恋人も彼の前から去ろうとしていた。限られた世界で生きようとした少年が、孤独と葛藤の中で伸びやかに成長する姿を描く、青春小説に革命を起こした鮮烈なるデビュー作。

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