いつもより時間があるstayhomeの今、どんな本を読みたいか、おすすめしたいかを弊社社員がリレー形式で紹介します。幻冬舎plus編集長の竹村からスタート。
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先日、オンラインで『ペスト』の読書会を開催しました。『ペスト』はコロナのことを予言しているような、今との共時性に溢れた小説。コロナ禍の渦中でそんな小説を読むと、不安が余計に増すのではないかと思っていたのですが、まったくそんなことはなく、むしろ冷静な気持ちになることができました。感染症は人類の歴史のなかで繰り返されてきたこと。終わりがあること。客観的に今の状況を見る視点をもらうことができたのだと思います。
では、今のひきこもり生活も少し違った点から見ると気持ちが変わるのではないかと思って浮かんだのが、ドストエフスキーの『地下室の手記』。中年の元役人が、自意識過剰ゆえに自ら籠った「地下室」。延々と吐き出される鬱屈としたモノローグ。気持ちは晴れなさそうですが、閉じこもるということの狂気について考えざるをえません。今や、個人だけでなく、社会全体が閉じこもっているのですから。
そして、『地下室の手記』の主人公の年齢よりも、もっと若く小学生のときに、団地で一生過ごす決意をした少年を描く『みなさん、さようなら』(久保寺健彦)もここでご紹介しておきたい小説です。ひきこもりの青春。発売当時に読んだきりですが、爽やかな読後感は忘れられません。これも現在の再読候補です。
#こんな時だから読みたい本
#こんな時だからこそ読みたい本 幻冬舎社員リレー
幻冬舎社員がリレー形式で「こんな時だからこそ読みたい本」をおすすめします。
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