病気予防に効果的な野菜スープ。そのレシピから、ウイルス・ガンはもちろん、現代社会が抱える問題まで徹底解説した『ウイルスにもガンにも野菜スープの力』(前田浩著)から、一部を抜粋してお届けします。抗がん剤の世界的研究者による、健康になるための一冊です。
* * *
野菜からビタミンCを摂(と)る方法は、サラダ=生食が一番良いとされてきました。
しかし、私達の実験の結果では、有効成分の90%以上が生では野菜の細胞の外に 出てこないのです。これでは栄養素の大半は消化管を通りそのまま排泄(はいせつ)されてしまいます。ビタミンCも例外ではありません。
それではなぜ、ビタミンCは生で摂らなくてはいけないという考えが広まったのでしょうか?
従来の説の根拠は、実は試験管の中での話だったのです。
実験室でビタミンCの純品を使い、水溶液を作り、それを加熱すると 10~ 20分の沸騰で90%以上が酸化され、分解し、栄養価がなくなるという結果が出たのです。
しかし、私達が野菜に含まれるビタミンCを摂ろうとした場合、ビタミンCは野菜の細胞の中に入っていますので、まずは細胞壁の外へ取り出さなければなりません。それには、加熱するのが一番なのです。
しかも、ビタミンCは他のポリフェノールなどの抗酸化物質と共存していますので、抗酸化作用のお蔭で、加熱してもほとんど分解されずにすみます。
ジャガイモなどは 30分煮ても、含有するビタミンCが 60%も残っていました。
ここでも実験室の結果やデータだけでものを考えるのではなく、実際の場面、 生活の現場を想定して実験・検証することの大切さが再認識されました。
また、こうした実験結果が誤って伝わることの怖さも、私達研究者は知っておかなくてはならないとつくづく思います。
〈参考文献〉
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•奥野修司 2020年3月19日、3月26日号 週刊新潮 •『トマトとイタリア人』内田洋子 シルヴィオ・ピエールサンティ 文藝春秋
ウイルスにもガンにも 野菜スープの力
病気予防に効果的な野菜スープ。そのレシピから、ウイルス・ガンはもちろん、現代社会が抱える問題まで徹底解説! 抗がん剤の世界的研究者による、健康になるための一冊。
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