年をうまく重ねるには、格好つけずに相談する我妻マリ（モデル）

70歳を迎えた今も、現役で活躍し続けている伝説のモデル・我妻マリさん。
17歳でモデルデビューした後、サンローランのオート・クチュールモデルを10年間務め、パリコレへ進出。
イッセイ ミヤケ、ティエリー・ミュグレー、ジャン⁼ポール・ゴルチエなど数々のショーで活躍し、日本人モデルがパリコレクションへ進出する礎を築きました。
そして、60歳を過ぎて栃木県に移住。ファッションの最前線に立ち続ける一方、運転免許も取得し、女ひとり（＋猫たち）で自然を謳歌して暮らしています。

本書『明日はもっと面白くなるかもしれないじゃない？』は、そんな我妻マリさんの初めての著書。50年以上のモデル歴で培った、おしゃれの真髄、体の慈しみかた、そして年齢を重ねることについて―。少しずつですがご紹介いたします。

年齢を重ねる中で、どうしても避けられない体の不調ってありますよね。更年期もそう。

私の場合、かーっとなるようなことはなかったのだけれど、まっすぐ立ったりまっすぐ歩いたりできないことに2年くらい悩みました。

モデルなのに、まっすぐ立っていられないなんて、仕事ができないということじゃないですか。もう、この世の終わりじゃないかと思うくらい不安だった。

それが更年期の症状だということを教えてもらって、薬を飲むようになってから、だいぶ楽になりました。

人間って原因を理解できると、いいんですね。原因がわからないと不安が不安をよぶから。

あの時期を経験した人間からすると、まず焦らないこと。不安がらずに信頼できる人に相談すること。格好をつけようとする人は相談しにくくなるのだけれど、誰にでも訪れることなのだから、恥ずかしがらずに相談するのがいいと思いました。

歳をとるとこういうことが起きるということは、若いときにはわからなかった。でも、ひとつずつ受け入れていかなきゃね。自分は自分の体と一生付き合っていくわけだから。

実は、40歳くらいから目も悪くなってきたんですよね。もともと目がよすぎたこともあって、老眼が早く進んだの。

でも、田舎暮らしを始めたら、また目がよく見えるようになってきた。

母に、昔「目は星を見て治しなさい」って言われていたのね。遠い星を見ていたら、ピントを測る機能が戻ってくるからと。それで、少し意識して星を見るようにしたのね。そうしたら、どんどんよくなってきた。いまは、ケータイの小さな文字でも見えるようになったから、驚きよね。

そういう自然の治癒力があるのに、あきらめちゃうからどんどん悪くなっていくのかもと感じました。

目も歯も爪も、言って聞かせるのがいいと思う。

「まだまだ、ともに頑張ろう」
「まだ入れ歯は嫌よね」

そんなふうに話しかけていくと、体も「まだまだいけるぜ！」って、応えてくれるように思います。