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#こんな時だからこそ読みたい本 幻冬舎社員リレー

2020.05.17 公開 ポスト

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現実から少しだけ離れて心を守る(校正部門・江幡祥子)幻冬舎編集部

22人目は、校正部門の江幡祥子です。

*   *   *

家に引きこもるのは大得意な私ですが、こう長引くとさすがに気が滅入ってきます。容赦なく襲ってくる現実に立ち向かうためにも、そこからしばし心を切り離す時間も必要。ということで、物語の世界に没頭できるような本をご紹介します。

 

第二次世界大戦時、チャーチル首相誘拐の密命を帯びたドイツ落下傘部隊の精鋭たちを描く鷲は舞い降りた』(ジャック・ヒギンズ、ハヤカワ文庫)

もちろん史実としてチャーチルの誘拐なんてないわけですが、計画を着々と進めていく彼らの姿に、成功してしまうのでは……? と思わされます。部隊員の男たちだけでなく、舞台となるイギリスの寒村に送り込まれる女性スパイや、工作員として活動するアイルランド共和軍の兵士など、キャラクターも魅力的。

文庫で約600ページですが、ぐいぐい読まされる冒険小説です。

7世紀末、唐・新羅に立ち向かうため、中央集権国家づくりに邁進し、律令の制定を目指す讃良大王(持統天皇)の奮闘を描いた日輪の賦』(澤田瞳子、幻冬舎文庫)

古代ものはなかなかない上に、中心人物が女性。さらに、大王に仕える男装の女官。そこでまず心躍ります。「倭」から「日本」への変化の過程を描いた歴史小説であると同時に、理想を追い求める女性たちの戦いの物語でもあります。

紀元2世紀、ローマ人でありながらケルトの戦士として育てられた少年が故郷を追われ、父母の地へと旅をするケルトとローマの息子』(ローズマリー・サトクリフ、ほるぷ出版)。困難がこれでもかと降りかかり、精神的にも身体的にも追いつめられていくさまは読んでいてつらくなるほどですが、だからこそ、最後の最後で居場所を見つけた少年が得る希望と安息が沁みます。

少しだけ、現実の世界から離れる時間が、心の健康を守ってくれるように思います。

#こんな時だからこそ読みたい本

ジャック・ヒギンズ『鷲は舞い降りた』(ハヤカワ文庫NV)

鷲は舞い降りた!ヒトラーの密命を帯びて、イギリスの東部、ノーフォークの一寒村に降り立ったドイツ落下傘部隊の精鋭たち。歴戦の勇士シュタイナ中佐率いる部隊員たちの使命とは、ここで週末を過ごす予定のチャーチル首相の誘拐だった!イギリス兵になりすました部隊員たちは着々と計画を進行させていく…使命達成に命を賭ける男たちを描く傑作冒険小説―その初版時に削除されていたエピソードを補完した決定版。

澤田瞳子『日輪の賦』(幻冬舎時代小説文庫)

七世紀終わり。国は強大化する唐と新羅の脅威にさらされていた。危機に立ち向かうべく、女王・讃良は強力な中央集権国家づくりに邁進する。しかし権益に固執する王族・豪族たちは、それに反発。やがて恐ろしい謀略が動き始める―壮大なスケールで「日本誕生」を描き歴史エンターテインメントの新たな扉を開けた傑作。

ローズマリー・サトクリフ『ケルトとローマの息子』(ほるぷ出版)

ローマ人の血が流れながら、ケルトの戦士として育てられた少年ベリックは、不作と疫病の原因として部族を追放され、ひとり父母の地ローマへと向かう。居場所を求めて旅する少年の運命と成長を、イギリス児童文学の異才サトクリフがみずみずしく描きだす。

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