24人目は、第二編集局の小林駿介です。
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外出できずにTwitterを眺める時間が増えると、自炊慣れしてない自分はついついバズったレシピ(めんつゆとごま油でだいたいいける)を作りがちですが、料理中にiPhoneを触るのは(とくにいまは)気がひけるし、ほうっておくと画面が消えてイライラしたりします。
そんなときは、やっぱり紙の本……ということで、最近助かっているレシピ本を紹介します。
まずは名著、『おそうざい十二ヵ月』(暮しの手帖社)。『暮しの手帖』に連載していた、「吉兆」出身の小島信平さんによる家庭料理をまとめた本です。
初版は1969年(うちのは1972年の12刷)。あとがきによると、当時「おそうざい」は懐石料理のような“いい料理”よりも格下だと考える人も多く、プロの料理人による家庭料理の本はまだあまりなかったようです。
50年前のレシピにはいろいろ発見があります。5~6人前が基本だったり、大さじが18mlだったり、鯨やウニがやたら出てきたり。おどろいたのが、ほとんどの料理に「いの一番」か「味の素」を使うこと。ていねいな暮らしでこそMSGを使う。「いの一番」の名付け親は花森安治だそうですね。
「なすのいなかふう」は、ナスを大量の油(90ml)でひたすら炒めて味付けはしょうゆのみ、という潔い一品です。油を吸いまくったナスはとろとろになって危ないおいしさ。
どの料理も調味料を1、2種類しか使わないのに、そうとは思えない奥深い味に仕上がるのが不思議。レシピ通りに作るとたいていしょっぱくなるので、調味料は少し減らします。昔の人は本当に塩分摂取量が多かったんだな。
仕事中はつねに甘いものを摂取していたいので、テレワーク中のおやつは自分で作ると決めました。
うちに唯一あったおやつのレシピ本が、ケンタロウさんの『バーンと、うれしいおやつ』(文化出版局)。気取らないおやつが、少しの材料と器具で素直においしくできます。手順の説明に省略がないので失敗しません。
季節はずれの紅玉が安く売っていたので、「りんごのワイン煮」を作りました。赤ワインと砂糖とレモン汁で煮るだけ。冷やしてバニラアイスと一緒に食べると夏です。
タサン志麻さんの『志麻さんちのごはん』(幻冬舎)は、ディル→セロリ、ラザニア→餅など、手に入れやすい食材で代用したレシピが多くてうれしい。
うちにも案の定、正月に買って忘れられていた切り餅があったので、「おもちでラザニア」を作りました。切り餅をラザニアみたいに薄く切るのはけっこう難しいですが、ホワイトソースは簡単にお店のような味に。このまま飲める。
おやつもあります。とくに「ガレット・デ・ロワ」は好きで3回作ったのですが、焼いてると毎回パイが決壊して中身が流出します。というか、包む時点で包みきれる気がしない……志麻さんちのパイシートは絶対うちのよりでかい! でも結果おいしいので問題なしです。
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