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暮らしの中に終わりと始まりをつくる

2020.05.21 公開 ポスト

結果がすぐに出なくても、毎朝、ストレッチを続けてみる一田憲子(編集者・ライター)

「暮らしのおへそ」「大人になったら、着たい服」の編集ディレクターであり、『丁寧に暮らしている暇はないけれど。』『面倒くさい日も、おいしく食べたい!』『大人になってやめたこと』などの著者である一田憲子さんの最新作が『暮らしの中に終わりと始まりをつくる』です。

コロナウイルスの影響でたくさんの商業施設が休館となり、働き方も変わり、1日の大半を自宅で過ごすという人も増えている中、家事や掃除のやり方について改めて考えている方も多いのではないでしょうか。
また、移動がほとんどない毎日の中で、どう生活にリズムを付ければいいか、悩んでいる方もいるのではないかと思います。

本書では、数多の暮らし上手な人を取材し続けてきた一田さんが実践している、生活をリセットしていく小さな習慣をたくさんご紹介しています。

未曽有の状況で不安や焦りを抱える毎日ですが、本書で自宅時間を少しでも発見のあるものにして頂けたら幸いです。

毎朝、仕事に取り掛かる前にリビングにヨガマットを敷いて、好きな音楽をかけてストレッチを始めます。これは、ヨガを習っていた頃に始めた習慣。以来、誰かから「こんな運動がいいんだよ」と聞くたびに、スクワットをプラスしたり、ストレッチポールを取り入れてみたり。少しずつ変化させながら、私なりのストレッチのルーティンができあがりました。

忙しくなって原稿に追われると、気持ちの余裕がなくなって、このストレッチをパスすることもしょっちゅう。すると、ふと気づくと肩が凝り、背中がカチカチになっています。我流の「なんちゃってストレッチ」ですが、毎日続けていると、確実に体のケアになっているんだなあと、サボるたびに実感します。

最近、近所のパーソナルトレーニングジムに通い始めました。そこで教えてもらったのが、肩甲骨を柔らかくすること。ストレッチポールに仰向けに寝転がり、両手を床につけて頭の上へと回すだけで、肩甲骨がゴリゴリと鳴り、腕の付け根がギュ~ッと引っ張られて痛いのなんの! さっそくいつものストレッチに、この「肩甲骨回し」を取り入れることにしました。

さらに、気になる「ぽっこりお腹」解消のためには、仰向けに寝転がって、膝を両手で抱え、左右交互に胸まで引き寄せます。「ウホウホと筋トレしなくていいんです。大事なのはインナーマッスルを鍛えること」とトレーナー。「え~? こんな緩い体操で、効果あるのかな?」と半信半疑でしたが、2週間、3週間と続けるうちに、するすると体重が落ちてびっくり!「インナーマッスルって、ココにあったのね」ということがようやく理解できました。コツコツと続けることで、体は確実に変わる。そのことを実感する今日このごろです。

私は、せっかちなので、何か行動を起こしたら、すぐに結果が出ないと気が済みません。若い頃は、部屋の片付けを始めたら、夜中までかかってもすべてを整理し、ピシッと箱がそろった姿を眺めなければやめられなかったし、仕事でも、アポイントを入れてOKかどうかがわからないとイライラしたものです。

歳を重ねるにつれ、世の中にはすぐに結果が出ないものがある、ということがわかってきました。どうなるか、結果は見えなくとも、「今日できること」を淡々と繰り返す。そうやって得た粘り強さは、持続力があり、確実に自分のものとなります。いくら頑張って整理整頓して、ピシッと箱をそろえてみても、それが自分の生活スタイルと合っていなければ、「箱にしまうこと」さえ続けられなくて、結局元の状態に。それよりも、時間をかけて、自分のクセを知り、生活に合わせた「しまい場所」「しまい方」を見つけた方が、部屋は整うもの。「今すぐ」取材させてもらえなくても、会ってお茶を飲みながら無駄話をして、少しずつ人間関係を密にしていった方が、いい取材ができます。

そんな経験を経て、学んだことは「結果がわからなくても続けてみる」という、今まで私が最も苦手としたアプローチが、なかなか有効なんじゃないかということでした。つまり、「この方法はもしかしたら間違っているかもしれない」けれど、とにかくやってみる、ということです。ここが難しい……。みんな「無駄な努力はしたくない」のです。できれば、直線距離で結果に到達したい。でも回り道をするからこそ、「できること」と「できないこと」がわかり、自分にとって本当に必要な収納方法や、ストレッチの仕方を知ることができます。そして、ハッと気づいた時、部屋がそこそこ片付いていたり、前屈してラクに床に手がつくようになっていたり……。コツコツと続けてさえいれば、必ず実りの瞬間がやってくるということがたまらなく嬉しい!

忙しい毎日を送っていると、「効率モード」の思考回路になっていきます。毎朝ヨガマットを敷き、座ってフ~ッと深い呼吸をすることで、そんな回路をプチンと切る。それが、私のストレッチタイムの大きな効用のよう。体を動かしながら、「目標」や「結果」という先にあった視点を、「今ここ」にある体へと戻す。朝のストレッチタイムは、つい突っ走りがちな頭と心の「重石おもし」となってくれます。

関連書籍

一田憲子『暮らしの中に終わりと始まりをつくる』

1日、月ごと、年ごと。自分をリセットしていく人生の習慣41。暮らしも人生も、「一段落」を取り入れると、みずみずしく動き始めていきます。

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暮らしの中に終わりと始まりをつくる

『丁寧に暮らしている暇はないけれど。』『面倒くさい日も、おいしく食べたい!』『大人になってやめたこと』著者・一田憲子さん最新作! 自分をリセットしてくれる「人生の習慣」41。

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一田憲子 編集者・ライター

OLを経て編集プロダクションに転職後、フリーライターとして女性誌、単行本の執筆などを行う。2006年、企画から編集、執筆までを手がける「暮らしのおへそ」、2011年に「大人になったら、着たい服」(共に主婦と生活社)を立ち上げる。自身のウェブサイト「外の音、内の香」(http://ichidanoriko.com/)も運営。著書に『丁寧に暮らしている暇はないけれど。』『面倒くさい日も、おいしく食べたい!』『大人になってやめたこと』『おしゃれの制服化』などがある。

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