自分の軸を作る、一生物の財産を養うための勉強には、特別な努力や苦労は必要ないとおっしゃる元マイクロソフト社長、成毛眞さん。著書『勉強上手 好きなことだけが武器になる』は、2012年の刊行ですが、先の見えないこの時代だからこそ身につけておきたい、人生を豊かにする勉強法が記されています。テレビやインターネット、SNSまでも駆使した大人のための勉強法と、著者の「勉強」に対する考えや人生の楽しみ方をご紹介します。
努力型が成功したのは過去の話
「頑張ります」「一生懸命やります」が口癖になっているビジネスマンがいるが、今は仕事に取り組む姿勢など求められていない。どの業界でも重要視されるのは結果だろう。昔は努力をしていれば評価されたが、今はその努力が報われるとは限らない。
努力して頑張るだけでよかった時代の後にやってきたのは、生きるために自分で考えて行動する時代である。
生きるために自分で何を考えるのか、何をすべきか。まずやるべきなのは、自分の好きなこと、得意分野を伸ばす戦略を考えることだろう。
たとえば、タレント、イラストレーターとしてテレビに登場するさかなクンは、その代表格だ。彼は2006年、東京海洋大学客員准教授に就任した。
さかなクンは小学校の卒業文集に「将来の夢は水産大学の先生になること」と書いていたが、受験に失敗し専門学校に進んだ。普通ならば、この時点で大学の先生になる夢は消えたと思うだろう。
しかし、その後、テレビのバラエティ番組の「全国魚通選手権」で優勝し、魚関係の番組の制作をサポートするようになる。またアルバイト先の寿司屋で描いた緻密な魚のイラストが評判になり、イラストレーターとして仕事を始める。
その後、テレビのドキュメンタリー番組に出演したことがきっかけで水族館の展示を手伝ったり、魚専門のサイエンスライターとして仕事をするようになる。魚に関する豊富な知識を活かして本を出版したり、イベントや講演会に呼ばれたりするようにもなった。
魚が好きで、自分でとことん勉強し、絵に描いて、魚の帽子までかぶって、それが高じて大学の客員准教授にまでなった。そして2010年にはクニマスを同定し、天皇陛下にも謁見した。
現在、さかなクンは魚の形態、生態、調理法など、魚に関することなら何でも知っている人として、世界的な有名人だという。希有な人ではあるが、好きを極めて大成功した実例である。
この例では、さかなクンのような学歴や教授のコネもない人物を、個人の才能と実績で評価して客員准教授として受け入れる大学側も評価できる。
さて、さかなクンを特別な才能だと思うことなかれ。好きなことに力を注ぐと凄いエネルギーが生まれるのである。成功したいと思うなら、まず好きなことを一生懸命やるべきだ。
これからは努力を語るのではなく、自分の得意分野を楽しく語る時代になるだろう。
勉強上手 好きなことだけが武器になる
自分の軸を作る、一生物の財産を養うための勉強には、特別な努力や苦労は必要ないとおっしゃる元マイクロソフト社長、成毛眞さん。著書『勉強上手 好きなことだけが武器になる』は、2012年の刊行ですが、先の見えないこの時代だからこそ身につけておきたい、人生を豊かにする勉強法が記されています。テレビやインターネット、SNSまでも駆使した大人のための勉強法と、著者の「勉強」に対する考えや人生の楽しみ方をご紹介します。