自分の軸を作る、一生物の財産を養うための勉強には、特別な努力や苦労は必要ないとおっしゃる元マイクロソフト社長、成毛眞さん。著書『勉強上手 好きなことだけが武器になる』は、2012年の刊行ですが、先の見えないこの時代だからこそ身につけておきたい、人生を豊かにする勉強法が記されています。テレビやインターネット、SNSまでも駆使した大人のための勉強法と、著者の「勉強」に対する考えや人生の楽しみ方をご紹介します。
資格は五十代からあえてチャレンジ
ムダな資格を取るなと今まで述べてきたが、五十代を過ぎたらむしろ資格を取ったほうがいいかもしれない。会社を辞めた後の稼ぎを得るという目的ではなく、凝り固まった自分の頭をやわらかくするためだ。
歳をとると誰でも頑固になり、人の意見に耳を傾けなくなる。肩書きが立派になればなるほど、そうなるものだ。
久しぶりに学生時代の友人に会うと、やたらと威圧的にふるまう人がいる。会社でそれなりの肩書きを持つと偉そうになるという典型的な例だが、こういう人間は定年退職すると同時に誰も寄りつかなくなるだろう。家族に厄介者にされ、老人ホームに放り込まれるケースもある。
周りの人は会社名や肩書きにひれ伏しているのであり、その人自身にひれ伏しているわけではない。それが分からなくなっているのだから、権力とは恐ろしい。
出世したら終わりなのではなく、そこからが本当の意味での勉強のスタートだともいえる。権威や名誉に酔いしれ、感性や思考が鈍ってしまったら、人間として終了である。
感性や思考を磨き続けるために、誰かに何かを習うのはいい経験になる。
偉そうになっている自分をリセットし、まさに初心に戻るチャンスなのだ。基本的に、人は自分には甘いので、強制的にそのような環境に身を置かなければ、謙虚に人の話に耳を傾けようとしない。
資格ではなく、趣味でもいいだろう。私もゴルフは最初の頃は自己流でやっていたが、途中からきちんとプロのレッスンを受けた。素直に先生のアドバイスに耳を傾けていたら、格段に上達した。
趣味の世界でも、人によっては、習いに来たくせに先生のアドバイスに耳を傾けない人もいる。そうなると変な癖がついてしまい、状況がどんどん悪化して、ストレスを発散できるどころか、逆にたまってしまう。趣味なのに全然楽しめないのだ。
だから人より下の立場になるという経験を通して、ムダに高くなっている自分の鼻を早い段階でへしおってしまったほうがいいのである。
勉強上手 好きなことだけが武器になる
自分の軸を作る、一生物の財産を養うための勉強には、特別な努力や苦労は必要ないとおっしゃる元マイクロソフト社長、成毛眞さん。著書『勉強上手 好きなことだけが武器になる』は、2012年の刊行ですが、先の見えないこの時代だからこそ身につけておきたい、人生を豊かにする勉強法が記されています。テレビやインターネット、SNSまでも駆使した大人のための勉強法と、著者の「勉強」に対する考えや人生の楽しみ方をご紹介します。