自分の軸を作る、一生物の財産を養うための勉強には、特別な努力や苦労は必要ないとおっしゃる元マイクロソフト社長、成毛眞さん。著書『勉強上手 好きなことだけが武器になる』は、2012年の刊行ですが、先の見えないこの時代だからこそ身につけておきたい、人生を豊かにする勉強法が記されています。テレビやインターネット、SNSまでも駆使した大人のための勉強法と、著者の「勉強」に対する考えや人生の楽しみ方をご紹介します。
SNSで求められるリテラシーとは
世の中のあらゆる情報には、発信する意図がある。利用する側は、行間からその意図を読み解くリテラシーが求められているのだ。企業はすでにブロガーも利用している。新商品の発表会には積極的にブロガーを招待して、ブログで告知してもらうのだ。
SNSも、企業のバイアスがかからないホンネが飛び交う場所とも言い切れない。企業に雇われて、商品がらみの話題を提供する仕事をしている人もいる。自然な流れのように装って、意図的なのだ。
これはネットに限らず、テレビや新聞、雑誌や書籍もそうだ。だから、今の世の中はまったく利用されずに生きていくのは不可能に近い。なるべく損害の少ないように抑えるのが限界だろう。
実名度の高いSNSに集まる情報も、100%信用できるわけではない。だが、その人の発言から意図的なものを感じたら、即ブロックできる。フェイスブックは自分が承認した人とだけ交流できるので、怪しげな人を排除していけば、かなり信用度は高くなるだろう。
「人を見る目」をコピーする
エジプト、リビアなどを席巻した「アラブの春」の期間、私は常時iPhoneやパソコンをそばに置き、iPhoneでアルジャジーラのニュースを流し、パソコンでツイッターとフェイスブックの画面を表示していた。何か重大な事件が起こるとずっと情報にアクセスしているヘビーユーザーだ。
そういう私でも、実はフェイスブックでコメントを書き込むのは一日一、二回と決めている。あまり書き込むと、タイムラインでずっと私のコメントが流れることになり、読んでいる人に鬱陶しがられるからだ。だから、毎日厳選したコメントだけ、書き込んでいる。友達のコメントも、片っ端から「いいね!」と賛同しているわけでもない。
自分がフォローする相手も、たいていそのような人ばかりだ。朝から晩まで書き込んでばかりの暇人とは、あまりおつきあいをしたくない、というのがホンネでもある。
さらに、SNSで相手を信頼できるかどうかを判断する材料の一つが、「人を見る目」である。
その人が誰をフォローし、どのようなコメントに反応しているのかを見れば、その人自身が見えてくる。
よく、人を判断するときは、本人ではなく周りの人を見ろ、という。それはSNSでも当てはまり、本人は立派な肩書きであっても、フォローしているのは首を傾げるような人ばかりなら、敬遠する。
逆に、本人にさほど立派な肩書きがなくても、フォローしている人が確かな面子なら、信用するに値する。そのフォローしている相手が面白い場合は、私もフォローする。つまり、人を見る目をコピーしているのだ。
だから、誰をフォローすればいいのか迷う人は、自分の尊敬する人のツイッターやフェイスブックから人を見る目を盗めばいい。尊敬する人がフォローしている相手をフォローするのだ。
そのようにフォローする人を増やしていけば、かなり信頼性の高い情報が集まるだろう。自分で情報を取捨選択しなくても、すでに人が取捨選択してくれた情報を手に入れるという感覚だ。
そして、自分が相手からフォローしてもらうには、自分も情報を発信しなければならない。自分自身に何もないのなら、SNSをやる意味がないだろう。そういう人は、「ラーメンなう」といった身の回り半径一メートルの情報しか流せない。つまらない情報しか流せない人は、フォローしてもらえず、一人でつぶやいているだけ、という寂しい状況になるのだ。
だから、SNSは誰にでも向いているというわけではない。まずはやってみるべし、といったものの、発信力がなければ誰にも振り向いてもらえない。
だから、今後SNSの世界は、使って意味がある人とない人の差が、さらに開いていくだろう。
その現実を、身をもって知り、どのような情報を伝えるべきかを考えるのも、実はいい訓練になる。自分の発言に興味を持ってもらえるようになれば、リアルのビジネスの場でも、プレゼンや会議などで人を惹きつけられるようになるかもしれない。
勉強上手 好きなことだけが武器になる
自分の軸を作る、一生物の財産を養うための勉強には、特別な努力や苦労は必要ないとおっしゃる元マイクロソフト社長、成毛眞さん。著書『勉強上手 好きなことだけが武器になる』は、2012年の刊行ですが、先の見えないこの時代だからこそ身につけておきたい、人生を豊かにする勉強法が記されています。テレビやインターネット、SNSまでも駆使した大人のための勉強法と、著者の「勉強」に対する考えや人生の楽しみ方をご紹介します。