こんにちは。第61次南極地域観測隊・調理担当タテヤです。前回までは、第61次隊が結成されてから南極に来るまでに、どのような活動をしていたかをお話ししてきました。今回から、舞台はいよいよ昭和基地に移ります。
ここで南極観測隊の編成について簡単にご説明しておきましょう。南極観測隊は、大きく「夏隊」と「越冬隊」に分かれます。12月に昭和基地に入ったのち、夏隊は2月まで約2カ月間の観測活動を行って、日本に帰国します。この期間は南極の夏にあたるので「夏隊」です。そこから先、南極が冬に入ってからも残って観測活動を続けるのが「越冬隊」です。越冬隊は、翌年2月まで活動を続け、次の観測隊の夏隊と一緒に帰国の途につきます。僕が所属しているのは、この越冬隊です。
12月から2月までの南極の夏期間、昭和基地には、第60次の越冬隊と第61次の夏隊・越冬隊、「しらせ」乗組員の海上自衛官がいます。太陽が出て屋外作業ができる短い夏の間に、観測や越冬の準備、基地のメンテナンスなど、やらなければならないことはたくさんあり、全員が大忙し。 二度目の夏作業で僕が主に担当したのは、旧気象棟の解体作業と新放球デッキ建設でした。今回から、その夏作業の様子をお届けします。
腹が減ったら戦はできぬ。ということで、まずは夏期間中の食事から。
観測隊は昭和基地に到着すると、第一夏期隊員宿舎 (第1夏宿)と第二夏期隊員宿舎 (第2夏宿)に分かれて生活します。そして夏の間の食事は、「しらせ」の調理員に作ってもらいます。僕のような調理隊員も、夏期間に終わらせなくてはならない野外の建築作業などを手伝うからです。
魚料理や肉料理など毎日バリエーションに富んでます。
これは、夏期間でとても重要なミッション。「しらせ」からホースを伸ばして、基地側のタンクに1年分の燃料を直接送る貨油輸送と、ヘリでは運べない重量物資の氷上輸送です。貨油輸送は24時間体制で3日間、氷上輸送は海氷が引き締まる深夜に(23時頃から翌朝4時頃まで)徹夜で行われます。
コンテナなどの重い荷物は、雪上車を使い橇(そり)に乗せて基地まで引きます。
コンテナは基地側で待ち受けていたクレーンに吊り上げられ、雪上車はまた「しらせ」に戻ります。持ち込み物資の作業が終わると、次は基地側の廃棄物等の持ち帰り物資を「しらせ」に積み込みます。この作業を深夜に何往復も数日間続けます。
氷上輸送が終わるとすぐにヘリを使った空輸が始まります。最初に食糧が運ばれてきました。そう、バケツリレーです。
しらせ乗組員と観測隊が力を合わせて運びます。
CHは大型のヘリ。ローターからのダウンウォッシュ(下向きの気流)が強いので、離着陸の際は体を物陰に入れて身を伏せていないと危険です。
ひっきりなしにヘリが飛び回ります。
こちらは小回りの利く観測隊用のヘリです。主に研究者を乗せて観測ポイントに向かいます。大型ヘリでは降りられない観測地点にも飛んでくれる、頼もしい存在です。
私も観測隊ヘリに乗り、観測物資を運ぶお手伝いに行ってきました。
「しらせ」は氷上輸送が終わると向きを変えます。風の向きを考慮して、ヘリが甲板に離着陸しやすいようにしているのです。
料理人タテヤの南極日記 #JARE61
料理人タテヤ、再び南極へ。第61次南極観測隊・調理担当タテヤが、昭和基地での日々をレポートします。
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