35回以上ものお見合いにうんざりし、なんとアメリカに家出!
そんなぶっとんだ経歴の持ち主であるお坊さん、英月さんにお悩み相談してみませんか? ズバッと! 仏の教えで導いてくれますよ~!
英月さんのドタバタ人生ストーリーをギュギュっと凝縮した『お見合い35回にうんざりしてアメリカに家出して僧侶になって帰ってきました。』も絶賛発売中!
試し読み記事「激レアさんにも出演!お見合いを35回以上経験した尼さんに人生を学ぶ」
今回は、ニュースばかり見ていたら不安になる…というお悩みです。
お悩み:コロナのこともあって、テレビや新聞、ネットなど、たくさんの情報に不安になります。
* * *
仕方がないとはいえ、気分が滅入るニュースばかりですね。大規模な災害や事件は今までもありましたが、その報道だけで埋め尽くされるようなことはありませんでした。それが、トップニュースはもちろんのこと、政治、経済、国際、地域、文化、そしてスポーツまで! ほとんどのニュースがコロナ関連。ふさぎ込んでしまうのは、仕方のないことかも知れません。
どうしたらいい? と聞かれたら、答えは簡単。見なきゃいいんです。テレビを消し、新聞を開かず、雑誌も買わない、そしてネットにも繋がない。何なら、友達との連絡も断つ。不安にさせる情報を、入れないようにすればいいのです。が、現実に、そのようなことができるでしょうか? 自分にとって都合の悪いことを徹底的に排除する。それが出来ればラクかもしれません。
けれども、都合の悪いことを避け、都合に良いことの中でだけ、生きて行くことは出来ないのです。もっと言えば、都合が悪いと思っていたことが、いいことになることもあるのです。当然、その反対もあります。「ケガしちゃって、最悪~」と思っていたけど、「ケガのおかげで、ラッキー」になることも。「わ~い! 昇進した」と思っていたけど、「昇進したせいで、最悪~」になることも。自分にとって、都合がいいか、悪いか、なんてコロコロ変わります。そうです、たとえ気分が滅入っていても、良いことがあればコロッと変わるのです。が、良いことが起こるのを待つって、なんだか気の長い話。で、どうしたら、ええの?
残念ながら、どうもできません。って、なんだか突き放した言い方をしてしまって、心苦しい……。お経さんに、「拔諸生死 勤苦之本」という言葉があります。「諸々の生死(しょうじ)・勤苦(ごんく)の本(もと)を抜かしめん」、つまり迷いや苦しみの根本から救うというのです。仏教が説くのは、自分にとって都合がいいことが起こるようにする方法ではなく、何によって迷い、苦しんでいるのか、その根っこ。この場合であれば、都合に振り回されているという、その事実を説くのです。それは表面上ではなく、根本からの解決です。
でも……。それ、望んでませんから。目先の都合だけ、何とかしてもらえませんか? 私自身、そう思うこともあります。でもね、苦しみの根っこの正体を知ることこそが大事なんです。それは自分の望んだ救いではないですが、自分の望んだ救いは自分にとって都合のいい救いです。自分の都合はコロコロ変わるのです。そうなんです。救いだと思ったことが、自分を苦しめることに変わってしまうのです! だから、根本からの解決が大事なんです。気が滅入らないために情報を排除するのではなくて、何故その情報たちによって気が滅入るのかを考えると、糸口が見つかるかもしれません。
* * *
情報を排除し続けるのではなくて、気が滅入るのは何故かを見つめること。仏教が教えてくれるのは「根本」なのですね。
次回は6月17日公開予定です。
英月のお悩み相談1分法話の記事をもっと読む
英月のお悩み相談1分法話
お見合いを35回以上もこなし、アメリカに10年近く住んでいたという経験豊富な尼さんが、お悩み別にわかりやすーい法話を紹介いたします。