生き方
これまででわたしの最も長くつづいた稽古事は囲碁だった。祖父母が趣味にしていたのがきっかけで、打ち方を教わると幼いながらに面白かったようで次第にはまっていった。3歳くらいの小さなわたしが正座をして、祖父がお客さん相手に対戦している盤面を熱心に覗き込んでいる姿が収められた写真が残っていて、「好き」なのが伝わってくる。大学受験で勉強が忙しくなるまで女流棋士の先生のお宅に通いつづけていたものの、たいして上達したわけではなかった。けれど興味は薄れず、囲碁が登場する小説があると知ると手に取りたくなる。上下巻にわたる長編小説である『幻庵』は、そんな囲碁好きのわたしをうならせるものだった。
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