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美しい暮らし

2020.06.30 公開 ポスト

共振する人生相談 〜ぼくはアンプリファイア〜

「育児も家事も協力的なのに、夫への嫌悪感が消えない」35歳専業主婦の苦しみを考える矢吹透

早いもので、今日で6月も終わりです。

6月は、ジューン・ブライドの季節、ということで、伴侶の方との新しい人生のスタートを切った方も多いかもしれません。

しかし、結婚生活というのは、スタートは大抵、心浮き立つものであるのに引き換え、一旦スタートしてしまうと、なかなかに難しく、厄介なものであることに気づかされたりするものですね。

最近、ぼくへのご相談の中にも、夫婦関係に関するものが増えてまいりました。 それでは、今回のご相談です。

*   *   *

私は、結婚して今年で12年になります。夫と3人娘の5人家族です。周囲からみると幸せそうな家族にみえていると思います。

私が5、6年前から悩んでいることがあります。それは夫との不仲についてです。子供が増えるたびに夫への関心が薄れ、現在は気持ちの悪い、汚らしい存在にまで思ってしまっている状況です。はじめは産後のホルモン状態によるものだと思っていましたが、もう最後の出産から6年になりますので、本当に夫のことが嫌いになってしまったのだと自分では思っています。

夫は家事も育児も協力的で、仕事にも真面目で家庭を支えてくれています。私は呑気に専業主婦をさせてもらっています。周囲からも良い旦那さんだと誉められます。

そんな恵まれた状況にも関わらず、夫に対する嫌悪感が消えないのです。近くに寄られるのも夫から発せられる音を聞くのさえも苦痛です。生理的に受け付けなくなったというのが一番しっくりきます。

なぜこうなってしまったのか理由が分からず、ずっと苦しんでいます。こんなに良い人をなぜ愛せないのだろうと…確かに価値観の違いは多々ありますが、どうしても理解出来ないという部分はありません。

私は元々、ひとりでいることが好きな人間で自分のペースを崩したくないタイプです。そもそも結婚自体、不向きだったかという考えもあります。

子供のためにも仲の良い両親の姿は見せたいのですが、完全に私の心が拒絶しており、不可能だと考えています。夫も何とかこの状況を改善しようと共通の趣味でも持とうと歩み寄ってくれましたが、私が拒否してしまい、夫も関係修復を諦めたようです。

最近の話し合いで、子供達がある程度の年齢に達したら、離婚しようと話はしており、それまでは割り切って、同居人としてお互い生活していこうという結論に至っています。

夫に対する自分の態度があまりにも冷たく、自分でも客観的にみて酷いと思います。でも、どうしてもそうなってしまいます。自分が夫とこのまま一緒にいるとどんどん嫌な人間になっていきそうで怖いです。夫の前では、感情を表に出さないように振る舞ってしまい、笑うこともなくなりました。とにかく、夫の前だと気が休まらず、自分らしくいれません。

もちろん、本心としては離婚は避けたいですし、夫への嫌悪感もなくしたいです。もう修復は不可能なのか…そうであっても一体何がいけなかったのか原因だけははっきりさせてから離婚をしたいと思います。

一生、添い遂げるつもりで結婚したはずなのに自分が情けないです。早くこの苦しみから解放され、楽しく幸せな人生を過ごしていきたいです。

もう自分達ではどうにもならない状況で、第3者に間に入ってもらうしか方法はないと思っています。

まとまりのない長文で申し訳ありませんが、どうか是非、矢吹さんのお考えをお聞かせください。よろしくお願い致します。

(専業主婦・35歳・女性)

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矢吹透『美しい暮らし』

味覚の記憶は、いつも大切な人たちと結びつく——。 冬の午後に訪ねてきた後輩のために作る冬のほうれんそうの一品。苦味に春を感じる、ふきのとうのピッツア。少年の心細い気持ちを救った香港のキュウリのサンドイッチ。海の家のようなレストランで出会った白いサングリア。仕事と恋の思い出が詰まったベーカリーの閉店……。 人生の喜びも哀しみもたっぷり味わせてくれる、繊細で胸にしみいる文章とレシピ。

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美しい暮らし

 日々を丁寧に慈しみながら暮らすこと。食事がおいしくいただけること、友人と楽しく語らうこと、その貴重さ、ありがたさを見つめ直すために。

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矢吹透

東京生まれ。 慶應義塾大学在学中に第47回小説現代新人賞(講談社主催)を受賞。 大学を卒業後、テレビ局に勤務するが、早期退職制度に応募し、退社。 第二の人生を模索する日々。

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