世界各地のおもしろいダンゴムシを集めたビジュアルブック『おどろきダンゴムシ図鑑』(奥山風太郎・著)が話題です。そもそもダンゴムシってどんないきものなのでしょう? 本書から抜粋してご紹介します。
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魅力たっぷりダンゴムシ
生き物が大好きという人はもちろんのこと、大人になってからはちょっと苦手という人でも、幼少のころには石や落ち葉の下からダンゴムシを見つけて、遊んだ思い出があることでしょう。
ちょっと触っただけで丸くなって防戦一方。地味な色彩もあいまって、無害で、か弱そうな雰囲気。
だからこそ、どんな子供でも抵抗なく触れ合えるのだと思います。
そんな身近でありふれたダンゴムシですが、じつは世界を見渡すと、これが本当に同じなかま? と疑いたくなるような、とんでもないものがたくさん見つかります。
もともと両生類や爬虫類が好きだった私。
野生の姿を見たくて日本の南西諸島や世界各地の森を旅するうちに、そこで出会う見たこともないダンゴムシの姿に衝撃を受け、どんどん好きになりました。
今では自宅の一室がダンゴムシの飼育ケースに占領され、南西諸島の種を中心に200以上の地域のダンゴムシを飼育中です。
個体数は5万か10万か20万か……もう数え切れません。
私がここまでハマってしまった奥深いダンゴムシの世界を、もっと多くの人とわかち合いたいと思い、本書を執筆しました。
カッコよさにたまげたダンゴムシや美しさに感動したダンゴムシ、お気に入りのダンゴムシをたくさん集めました。
コラムではダンゴムシの生態の謎にも迫ります。
思いがけずミステリアスなダンゴムシの世界。どうぞお楽しみください。
ダンゴムシとは
ダンゴムシは“ムシ”とつきますが昆虫のなかまではなく、広い意味では甲殻類という、エビやカニが属するグループに含まれています。
その中の、さらに小さい分類群のワラジムシ亜目というグループの一員で、この中で丸くなる種のことをざっくりとダンゴムシと呼んでいます(例外もあります)。
ワラジムシ亜目は世界におよそ3700種ほどいて、その中でダンゴムシのなかまは約1350種。
これを多いと見るか、少ないと見るかは意見のわかれるところですが、ダンゴムシのなかまであるワラジムシ亜目を専門に分類している人はなぜか世界的に少なく、あまり研究の進んでいない分野です。
そのため、名前がついていない種も含めると世界にどれだけのダンゴムシがいるか皆目見当もつきません。
現在正式に記録されているものの数倍は、未知の種類がいるだろうと思います。
これから本書で紹介するダンゴムシにも、以前から知られているけれどまだ学名がないものや、まったくの新種と考えられるものが多くあります。
ダンゴムシのほとんどの種は、社会性のある集団生活を送ることがありません。
1ヶ所にたくさんいたとしても、それはダンゴムシが、生まれた場所や居心地のよい環境からあまり移動しないため、結果的に集まって見えているだけなのです。
意外にも、なかまといるよりも単独行動を選ぶタイプだといえそうです。
誰もが知るダンゴムシですが、じつは謎が多く、ものすごくロマンの詰まった生き物だという気がしませんか。
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この続きは書籍『おどろきダンゴムシ図鑑』をご覧ください。
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おどろきダンゴムシ図鑑
2020年6月11日発売『おどろきダンゴムシ図鑑』(奥山風太郎・著)の最新情報をお知らせします。