AI革命、グローバル化、働き方の変化……この地殻変動に対応し、つねに最新でタフに生きるには何を心がければよいのか? その問いに答えてくれるのが、偏差値30台の「落ちこぼれ」からケンブリッジ大学へ進学という経歴を持つ、塚本亮さんの『自分イノベーション』です。ポスト・コロナ時代を生きる、若きビジネスパーソン必読の本書から、ぜひとも実践したい習慣をご紹介します。
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逆に「情報弱者」になってしまう
スマートフォン一つで、あらゆるニュースや情報にアクセスできる時代になりました。
「Yahoo!ニュース」などのニュースサイトでは、便利なことに、あなたが興味を持ちそうな事象を選択してトップに表示してくれます。
「Gunosy(グノシー)」や「antenna(アンテナ)」などに代表される、キュレーションサービスを使っている方も増えているようです。キュレーションサービスとは、ネット上で話題になっている情報やコンテンツを、ユーザーが興味を持つジャンルに合わせて編集、共有、配信してくれるサービスのことです。
さらに、「NAVERまとめ」や「BLOGOS(ブロゴス)」のように、あらかじめ情報を収集・編集したまとめサイトも多く活用され、この数年間で情報収集のあり方が激変しました。
それも影響してか、新聞の発行部数は大幅に減っているといいます。
2000年の発行部数は全国で約5371万部(一世帯あたり1.13部)でした。ところが、2018年には約3990万部(一世帯あたり0.70部)にまで落ち込んでいます(2019年日本新聞協会調査・以下同)。若い世代を中心とした新聞離れは加速しているのが推測できます。
たしかに、今や膨大なデータ量になったインターネットから素早く自分の欲しい情報や関心事にアクセスできることは便利です。もうニュースはネットで十分、という方が大半でしょう。
その反面、スマホやPCに表示されているのは、あなたのクリック傾向をデータとして収集しパーソナライズされた情報であることには気づいているでしょうか。あなたにとって都合のいい主張や論調に焦点が当たった、狭い範囲から収集された情報だけを目にしていることの怖さも理解していなければなりません。
それらのサービスを利用すれば、興味や関心のあるテーマについての知識を深くし、アップデートすることはできるでしょう。しかし、深く掘り下げることはできても、その井戸の幅を広げることはできません。気づいたときには、非常に視野の狭い、情報弱者になっている可能性もあるわけです。
狭い情報の井のなかの蛙、しかも茹でガエル状態です。これではとても恥ずかしい。
新聞を読む3つのメリット
私はアナログ媒体もあわせて活用することをお勧めします。
たとえば、書店を定期的にのぞくことと同じように、新聞を眺めるだけでも、今の世の中を俯瞰することができます。もちろん新聞や雑誌も誰かの手によって選ばれた情報の媒体ではありますが、パーソナライズされているわけではないので、より多くの情報を広く浅く知ることができます。
情報を俯瞰することに慣れてくると、日々の記事の変化から、社会がどのような方向に進んでいるのかがぼんやりと見えてきます。購読する新聞の偏向性も含めて、今の空気を感じることができるからです。
この社会の動きが見えてきたら、次は、その先の未来に先手を打つことができるようになります。成功した多くの先駆者たちは、このような社会の動きを読むことに長けていました。
それは、さほど特別な才能ではないと私は考えます。大切なのは、広い視野をもつことができるかどうか。未来が見えていれば、やるべきことを間違う確率も低くなります。
インターネットの情報を否定するつもりはありません。私自身、自分の仕事に関係する教育分野について、あるいは趣味のサッカーについては、ネットから多くの情報を得ています。短時間で効率よく情報を集められるからです。
しかし、情報収集は効率だけを意識してはいけません。
その事項だけでなく、社会全体をトータルで知ることがとても重要だからです。
新聞を読むメリットを考えてみましょう。
(1)世の中で起きている出来事を常にチェックする習慣ができる。
(2)政治、経済、海外の出来事、社会的な事件、スポーツなどが網羅されているので、興味のない分野の出来事も知ることができる。
(3)大きな紙に印刷されているので、視界に入ったあらゆる記事に目が行く。
新聞には、あなたが目を留めた記事の周りに、他の記事も掲載されています。それらはまったく興味のないニュースかもしれません。それでも視界に入れば、自分の意思と関係なく、広告も含めつい読んでしまうものです。これこそ、情報に対して視野が広がった状態といえます。
デジタルとアナログはどちらがいいということではありません。どちらも一長一短があることを理解して、それらを上手に使い分けることが重要なのです。
専門分野の知識を深掘りする、アップデートすることはデジタルで、世の中の流れを摑むこと、大局観を磨くことはアナログで行えばいいのです。
木を見て森を見ずにならないようにしましょう。
最近新聞を読んでないな、ビジネス誌を読んでないなと感じる人は、定期購読でなくてもいいですから、週に1回新聞を買う曜日を決めてみる、ビジネス誌も月1冊何か買ってみる、ということからスタートしてみましょう。
自分イノベーション
AI革命、グローバル化、働き方の変化……この地殻変動に対応し、つねに最新でタフに生きるには何を心がければよいのか? その問いに答えてくれるのが、偏差値30台の「落ちこぼれ」からケンブリッジ大学へ進学という経歴を持つ、塚本亮さんの『自分イノベーション』です。ポスト・コロナ時代を生きる、若きビジネスパーソン必読の本書から、ぜひとも実践したい習慣をご紹介します。