AI革命、グローバル化、働き方の変化……この地殻変動に対応し、つねに最新でタフに生きるには何を心がければよいのか? その問いに答えてくれるのが、偏差値30台の「落ちこぼれ」からケンブリッジ大学へ進学という経歴を持つ、塚本亮さんの『自分イノベーション』です。ポスト・コロナ時代を生きる、若きビジネスパーソン必読の本書から、ぜひとも実践したい習慣をご紹介します。
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「アナログ力」が武器になる
少子高齢化が進み、人手不足が深刻になるなか、企業にとって自社のAI化は重要案件です。人件費を削減でき、さらに安定して質の高い結果を得ることができるのですから。
一方で、雇用される従業員をはじめ個人の側では、AI化が進んでも淘汰されない自分になれないと死活問題になります。その問題を解決する方法の一つが「アナログ力」を磨くことです。AIができないことを自らの得意技術にするのです。
スポーツ選手、絵画や写真や芝居や映画や音楽のような芸術系や料理はもちろんですが、オリジナリティのある企画力や営業法やトーク法を身につけることによって、時代が進化しても置き去りにされない自分になることができます。
AI化が進むことで、人間は人間らしい生き方ができるようになっていくのです。
地球上にある全仕事量が減るわけですから、その分、人間らしい生き方を追求していくのに時間を使うことができるようになるというわけです。つまり、デジタルよりもアナログ、バーチャルよりもリアルを意識した生き方が問われるようになります。
アナログ力を高めることで、これからの時代に必要な決断力も鍛えることができます。
今でこそ食べログなどの口コミサイトがその地位を確立していますが、かつては、レストランを選ぶ方法もアナログでした。いい匂いがするから、店先にある看板のメニューにそそられるから、店内のお客さんがみんな笑顔だから……そんな理由を見つけては、それならば入ってみようと決めていました。
自分の五感を頼りに判断し、決断していたのです。しかし口コミサイトの誕生により、私たちは誰かの意見によって自分の行動を選択し、自分の価値観を形成するようになってしまいました。
当然のごとく、これでは決断力は低下します。「自分」ではなく「誰か」が判断の基準となってしまっているのですから。
もっと「五感」を使って生きよう
街は生き物ですから、日々変化しています。
私が暮らしている京都も、いつのまにかビルが建っていたり、駐車場ができたりなくなったり、ラーメン店が開店したり閉店したり……常に景色は変わっています。もはやカーナビや地図サイトは、その変化に追いつくことができません。
京都に暮らす者として残念なのは、口コミサイトで高評価がついている店にばかり行列ができていることです。その行列をつくっているのは、ほとんどが観光客です。しかし、その店には、地元の人は行かないでしょう。
口コミサイトで人気の店やインスタ映えする店と、京都人が本当に勧める店とは、大きな隔たりがあります。
テレビで散歩バラエティ番組が多く制作され人気を博しているのは、デジタル化が進化したことの反動なのではないでしょうか。多くの人はそれに薄々気づいているはずです。
私はどこかへ歩いていくときは、まずGoogleマップで調べて、そこから道を選び直しています。オフィスへ行く道も、日によって、時間によって、天気によって、気持ちのいいルートを選択する。目的地は同じでも、毎回視界に入る景色が違うと、脳に刺激が加わり、発想が豊かになることを実感しています。まさに自分の直感によって選択しているのです。
デジタルは便利です。ただし、あくまでもそれは世の中を誰かが切り取った世界なのです。アナログ力を磨き、デジタルと上手に使い分けられるようになることによって、時代の進化に堪え得る自分になっていくのです。
さあ、口コミサイトを気にせず、自分の五感を頼りにおいしい店を選びましょう。
自分イノベーション
AI革命、グローバル化、働き方の変化……この地殻変動に対応し、つねに最新でタフに生きるには何を心がければよいのか? その問いに答えてくれるのが、偏差値30台の「落ちこぼれ」からケンブリッジ大学へ進学という経歴を持つ、塚本亮さんの『自分イノベーション』です。ポスト・コロナ時代を生きる、若きビジネスパーソン必読の本書から、ぜひとも実践したい習慣をご紹介します。