AI革命、グローバル化、働き方の変化……この地殻変動に対応し、つねに最新でタフに生きるには何を心がければよいのか? その問いに答えてくれるのが、偏差値30台の「落ちこぼれ」からケンブリッジ大学へ進学という経歴を持つ、塚本亮さんの『自分イノベーション』です。ポスト・コロナ時代を生きる、若きビジネスパーソン必読の本書から、ぜひとも実践したい習慣をご紹介します。
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「要件」から先に伝えよう
前置き、言い訳、お詫びが多いのが日本人の特徴です。たとえばアポイントメントのリスケジュールをお願いするとき、口頭であってもメールであっても、日本人は先に謝ったり、理由から言ったりします。
「すみません」
「どうされました?」
「いやね、実家の親がけがをしまして」
「それは大変ですね」
「明日お目にかかる約束をリスケさせていただけないでしょうか」
これでは本題に入るまでの助走が長く、特に外国人はイライラするようです。
この習慣、改めてみませんか?
本題の前にいろいろと書くと、何を伝えようとしているのか、何をしてほしいのか、伝わりにくくなるのです。
仕事で現場に行ってみたら、丁寧に伝えたはずのことがまったく伝わっていなかった。そんな経験はないでしょうか。
「電話でさんざん説明したじゃないですか!」
「今日9時に伺うお約束をしたはずですが?」
よくある日常のトラブルですが、これは相手ではなくて、あなたに問題があったのかもしれませんよ。
コミュニケーションはシンプル化しています。前述したスタンプや絵文字などのコミュニケーションのほかに、文字に比べて圧倒的に多い情報量を持つ映像が至るところに溢れていますから、長い文章を苦手とする人が増えるのも当然の結果だともいえます。
無料で視聴できるYouTubeでも、よほど面白いものでない限りは5分尺が限度ともいわれます。
文章で情報を読み取るには映像よりもさらに労力を要しますから、長くてまどろっこしい文章は敬遠され、読んでもらえません。
「リスケをお願いできないでしょうか」
まずそう言ってから、理由を伝えます。
「親がけがをしたので、実家に戻らなくてはいけないのです」
そして、謝りたいならば、最後にします。
「こちらの勝手な事情ですみません」
要件を先に伝えれば、相手は頭のなかですぐに連絡してきた理由を理解します。
メールの文面もシンプルに
メールが長くなりそうであれば、要件別にメールを分けるようにしてください。
「1メール1要件の法則」です。
あれこれ詰め込んだメールであれば、相手は一つひとつの答えを考えて、すべてがまとまった段階でしか返信ができません。返信が来るまでに、時間がかかります。
「長いメールだな。あとで返そう」と思われて、後回しにされた結果、忘れられてしまうことだってあるでしょう。
LINEやメッセンジャーでのやり取りが主流となった今、テンポを落とすようなあれこれが詰まったメールはそぐわないのです。
メールを書いていて、つい長くなってしまったら、
「このメールで伝えたいことを一言で言うと?」
という質問を自分に投げかけてみてください。そして特に必要のない内容は消し、伝える必要はあるけれどテーマがズレている内容は違うメールにして分けてください。これだけで相手への伝わり方が変わり、コミュニケーションが円滑になります。
結論から伝える訓練を続けると、頭のなかを整理することができるようになります。自分の言いたいことを一言でまとめるスキルというのは、AIとの共存においても重要です。
仕事の場で、あるいはスーパーやコンビニでも、対人間ではなく、対ロボットになるのは時間の問題です。相手がデジタルであれば、より要件を簡潔に伝えなくてはいけません。よけいな前置きは、機械相手では間違えて受け取られかねません。
プレゼンも同じですね。結論から伝えて、なぜそうなるのかというロジックを展開していく。そのためには、
「このプレゼンで伝えたいことを一言で言うと?」
と自分に投げかけることがとても効果的なのです。
自分イノベーション
AI革命、グローバル化、働き方の変化……この地殻変動に対応し、つねに最新でタフに生きるには何を心がければよいのか? その問いに答えてくれるのが、偏差値30台の「落ちこぼれ」からケンブリッジ大学へ進学という経歴を持つ、塚本亮さんの『自分イノベーション』です。ポスト・コロナ時代を生きる、若きビジネスパーソン必読の本書から、ぜひとも実践したい習慣をご紹介します。