AI革命、グローバル化、働き方の変化……この地殻変動に対応し、つねに最新でタフに生きるには何を心がければよいのか? その問いに答えてくれるのが、偏差値30台の「落ちこぼれ」からケンブリッジ大学へ進学という経歴を持つ、塚本亮さんの『自分イノベーション』です。ポスト・コロナ時代を生きる、若きビジネスパーソン必読の本書から、ぜひとも実践したい習慣をご紹介します。
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こんな仕事に就いていませんか?
マニュアルがあり、それに沿って行われている仕事のほとんどは、近い将来、間違いなくAI化されます。現在あなたが、そういう種類の仕事に従事しているならば、すぐにでも別の職種に移る準備をするべきです。
労働人口が減り続けることは明白ですし、学生のアルバイトは急に休んだりして安定感がありません。そのなかでマニュアル通りにやれば完結するような仕事は、多少コストはかかってもAI化してしまったほうが楽であることは、経営者視点に立ってみれば自明の理です。人材難の時代に、体調不良も仮病もないロボットのほうが、仕事の目算が立ちますよね。
本書の冒頭でも書いた野村総合研究所とオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士の共同研究で、オズボーン氏は、次の仕事は人間からコンピュータに取って代わられるとしています。
銀行の融資担当者、スポーツの審判、不動産ブローカー、レストランの案内係、保険の審査担当者、動物のブリーダー、電話オペレーター、給与・福利厚生担当者、レジ係、娯楽施設の案内係・チケットのもぎり、カジノのディーラー、ネイリスト、クレジットカード申込者の承認や調査を行う作業員、集金人、パラリーガル、弁護士助手、ホテルの受付係、電話販売員、仕立屋、時計修理工、税務申告書代行者、図書館の指導員、データ他入力作業員、彫刻師、苦情の処理、調査担当者、簿記・会計・監査の事務員、検査・分類・見本採取・測定を行う作業員、映写技師、カメラ・撮影機器の修理工、金融関係のクレジットアナリスト、メガネ・コンタクトレンズの技術者、殺虫剤の混合・散布の技術者、義歯製作技術者、測量技術者、地図調製技術者、造園・用地管理の作業員、建設機器のオペレーター、訪問販売員、路上新聞売り、露店商人、塗装工、壁紙張り職人
日本のロボット市場は2019年現在で約1兆円とされていますが、2020年には3兆円、2035年には10兆円になるといわれています。
そんな時代背景のなか、まずはコンビニエンスストアやファストフード店で、デジタル化、AI化が進んでいます。
アメリカのマクドナルドのスタッフのほとんどは不愛想です。並んでいると「ネクスト!」と呼ばれ、「ホワット!?」と注文を訊かれます。そして、袋に入ったハンバーガーやポテトは投げるように渡されます。日本ではあり得ません。
ついに、タッチパネルによるセルフオーダーシステムが導入されたのが、2015年のこと。「ネクスト!」「ホワット!?」だったら、まだタッチパネルのほうがいいサービスだろうと考えたのでしょうが、アメリカ人の客は意外にも店員による対応を好むようで、タッチパネル化がなかなか進まないそうです。
それでもデジタル化の波にはあらがえず、2020年までに、全米1万4000店のマクドナルドのほとんどがタッチパネル化される見込みです。
韓国や中国のマクドナルドでもすでにタッチパネルは導入されています。レジカウンターのなかのスタッフは、たったの一人。タッチパネルを操作できないお年寄りのための配慮だそうです。
マクドナルドは、2019年3月に、イスラエルのIT企業ダイナミック・イールド社を3憶ドル超で買収しました(「ウォール・ストリート・ジャーナル」が報道)。同社のAI技術により、ドライブスルーもタッチパネル化し、過去のデータから、オススメが好みの順に並ぶのではないでしょうか。
AIに負けない仕事「4つの条件」
デジタル化の波は、日本とて同様です。
コンビニエンスストアの大手チェーン、ローソンは無人レジのローソンスマホレジを始め、導入店舗を拡大しています。
ローソンスマホレジは、アプリをスマホでダウンロードし、商品のバーコードを読み取り、店内のどこででも決済できるサービスです。
まずは、ランチタイムに大混雑する都市部やイベント会場近くの店舗でスタートしています。
このシステムは、2019年10月には1000店舗に導入される予定だそうです。決済のツールも、各種クレジットカード、Apple Pay、楽天ペイ、LINE Payから選べます(2019年8月現在)。
客はレジに並ばずにすみます。つまりそれは、これまでレジを打っていた従業員はもはや必要ないことを意味します。
そういうことが、日本中、世界中で加速度的に進んでいるのです。
では、デジタル化されない仕事とはどんな職種でしょうか。
私が考える4条件が次のようなものです。
(1)無から何かを生み出す仕事
(2)重要なジャッジをしなくてはいけない仕事
(3)複数の業務が複合している仕事
(4)人間同士のコミュニケーションによって成り立つ仕事
このような、AIよりも人間のほうが精度が高い、あるいは人間のほうがパフォーマンスが速い職種をこれからは見つけるべきなのです。
具体的には、医師、消防士、警察官、音楽家、脚本家や小説家や漫画家やジャーナリスト、各種経営者、教師、スポーツ選手やトレーナー……などでしょうか。
もしも今、自分あるいは自分の子どもが、本業でもアルバイトでも、現在マニュアルがあり、近い将来AIに取って代わられる危険度の高い職種に就いているならば、転職の準備を始めましょう。そこから得られるものはあまりありませんし、10年後に、その経験はまったく役に立たないかもしれません。
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