悩みごとがあるときは、空を見上げてみよう。宇宙的に考えれば、おのずと道は開ける! 理論物理学者で長年、宇宙の研究に携わってきた佐治晴夫先生の『宇宙が教える人生の方程式』は、人、自然、そして宇宙との関わりを中心に、人間の一生について考察したエッセイ集。宇宙の壮大さに比べれば、自分の抱えている悩みなんてちっぽけなもの……。読後、きっとそう思えるようになるはずです。そんな本書から、一部をご紹介しましょう。
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核より怖い小惑星の落下
このところ、国内外を含めて、理不尽に人命が失われる事件が多発、それに加えて政府と民衆との間の対立関係など暗いニュースが相次いでいます。
その一方で、2015年、国内では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金星探査機「あかつき」を、金星軌道に投入するという神業としかいいようのない偉業の達成や、スポーツ界では五郎丸フィーバーで沸き返りました。
そんなさなか、人類滅亡につながる天体衝突の危機にさらされていたことを、みなさんはお気づきだったでしょうか。10月10日に発見されていた小惑星2015TB145です。
小惑星とは、主に火星と木星との間を公転する無数の小天体で数十万個が確認されていますが、時折、軌道が延びて地球に接近する場合があるのです。
それらのほとんどは、地球の近傍を通過するだけで衝突には至りませんが、もし、衝突すれば人類の存亡に関わる大災害をもたらすことになります。このTB145は、ハロウィーンナイトに最接近しましたが、運よく、地球をかすめて通り過ぎました。
ところで、地球に大災害をもたらしたとされる最も有名な天体衝突は今から6500万年前にメキシコのユカタン半島に巨大な隕石が落下した事件で、当時、地球を制覇していた巨大恐竜の絶滅の原因になったといわれています。
また、1908年6月30日には中央シベリアのツングースカ川上空で、巨大な小天体が爆発。東京ドーム4万6000個分の森林が焼失しました。
人類存亡の危機を乗り越えよう
そして私たちの記憶に新しいのは、2013年2月15日午前9時20分(現地時間)、ロシア連邦ウラル地方のチェリャビンスク州に推定直径17メートル、重さ1万5000トンの小天体が高度数十キロ付近で空中爆発、その明るさは太陽を超えて、地上に影を作り出し、目撃者の大半が、その火球からの紫外線で日焼け症状を起こしたようです。
さらに、すさまじい衝撃波で1200人の負傷者を出しました。これは、人類史上、克明な目撃情報を持つ初の人的被害をもたらした天体衝突による災害でした。ニュースでも取り上げられましたから、ご記憶の方もいらっしゃるでしょう。
地球にとっての究極の災害は天体衝突だともいえるのですが、全世界では今、昼夜を分かたず、地球への接近天体を監視しています。国内では岡山県にある美星スペースガードセンターです。
2036年4月13日には、もし衝突すれば広島型原爆数千個分のエネルギーで、日本列島の太平洋側を高さ100メートルの津波が覆い尽くすだろうと予想される小惑星アポフィスが接近します。
今のところ、それに先立つ2029年に地表面から高度3万キロ(地球と月との間の距離のおよそ一二分の一)まで近づき、そこで地球の引力の影響で軌道がずれ、衝突は免れるだろうとの予想です。
全世界の国々が宇宙からの威嚇を認識して、互いに武器を捨て、協力し合い、人類存亡の危機に立ち向かう日が訪れることを願うばかりです。
宇宙が教える人生の方程式
悩みごとがあるときは、空を見上げてみよう。宇宙的に考えれば、おのずと道は開ける! 理論物理学者で長年、宇宙の研究に携わってきた佐治晴夫先生の『宇宙が教える人生の方程式』は、人、自然、そして宇宙との関わりを中心に、人間の一生について考察したエッセイ集。宇宙の壮大さに比べれば、自分の抱えている悩みなんてちっぽけなもの……。読後、きっとそう思えるようになるはずです。そんな本書から、一部をご紹介しましょう。