悩みごとがあるときは、空を見上げてみよう。宇宙的に考えれば、おのずと道は開ける! 理論物理学者で長年、宇宙の研究に携わってきた佐治晴夫先生の『宇宙が教える人生の方程式』は、人、自然、そして宇宙との関わりを中心に、人間の一生について考察したエッセイ集。宇宙の壮大さに比べれば、自分の抱えている悩みなんてちっぽけなもの……。読後、きっとそう思えるようになるはずです。そんな本書から、一部をご紹介しましょう。
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「ゲリラ豪雨」の原因は?
北半球では、冬になると、太陽の高度が一層低くなります。そう、低くなるからこそ、地表面の単位面積当たりに落ちる太陽光のエネルギーが少なくなって寒くなるのです。
しかし、その分、窓から室内の奥の方まで光が差し込みますから、晴れた日にはカーテンをいっぱいに開けて部屋を暖めることもできます。温室効果です。それは光によって暖められた空気から出てくる赤外線をガラスがさえぎって外に出さないようにするからです。
環境問題で話題になる温室効果は、窓ガラスの役目を二酸化炭素が果たすので、その量が増えると、気温が上昇するというからくりです。ですから、温暖な地球環境を作るには、この二酸化炭素による温室効果が必要ですが、太陽熱の吸収と放出のバランスを崩してしまうくらい二酸化炭素が増えてしまうと、地球全体の平均気温が上がってしまい、環境破壊につながってしまうのです。
しかし、地球の側から見ると、極端な温暖化による異常気象は、台風や雨を降らせて地球の温度を下げようとする自己治癒力の表れでもあるのです。人類と地球が共存するためには、お互いに平衡点を模索しながらバランスを取っていくことが必要だからです。
人間の生み出すエネルギーは太陽の1万倍
ところで、地面1メートル四方に落ちる日光のエネルギーは、平均すると約1.4キロワット! この熱量を逃がさずにうまく使えば、ご飯を炊くのに十分なエネルギーです。
太陽からのエネルギーは、地球から約1億5000万キロ離れた太陽の表面から周囲に満遍なく放出されていることから、太陽全体が出しているエネルギーを計算することができます。
その結果は、4の後に0を26個つけた“ワット”になります。4000兆ワットの1000億倍です。ものすごいエネルギーですね。
そこで、この数値からアインシュタインの相対性理論を使って、太陽がどれくらいの量の体重を削りながら、エネルギーを生み出しているか計算することができます。その答えは、太陽は毎秒400万トンずつ体重を減らして、それをエネルギーとして放出していることになります。
まるでローソクが身を削りながら周囲を明るく照らしているかのようですね。このことから、おそらく太陽は、あと50億年くらいは輝き続けるだろうと推測できるのです。
さて、その一方で、私たちには体温があります。それは、食事をすることによって、体内でエネルギーを作り出しているということですね。
通常の大人では、1日の必要食物摂取量は2000キロカロリー前後ですから、これをワットに直せば100ワット。そこで、大人の平均体重が60キロだとして、先ほどの太陽が生み出しているエネルギーを太陽のひとかけら60キロ当たりに換算してみると、なんと0.012ワットになってしまいます。
つまり、同じ体重当たりで比較すると、生きている私たちは、太陽の約一万倍のエネルギーを作り出しているということになります。生きている幸せを実感させてくれる肌のぬくもり、これがエネルギー発生効率から見た物質と生命の大きな違いです。
宇宙が教える人生の方程式
悩みごとがあるときは、空を見上げてみよう。宇宙的に考えれば、おのずと道は開ける! 理論物理学者で長年、宇宙の研究に携わってきた佐治晴夫先生の『宇宙が教える人生の方程式』は、人、自然、そして宇宙との関わりを中心に、人間の一生について考察したエッセイ集。宇宙の壮大さに比べれば、自分の抱えている悩みなんてちっぽけなもの……。読後、きっとそう思えるようになるはずです。そんな本書から、一部をご紹介しましょう。