『情報ライブ ミヤネ屋』『ウェークアップ! ぷらす』でおなじみ、気象予報士の蓬莱大介さん。「毎日を大切に一生懸命生きること」や「伝えること」を大切に、天気予報を届けているという蓬莱さんの著書『空がおしえてくれること』には、空の面白さや不思議さに加え、自然災害の脅威から身を守る方法がわかりやすくまとめられています。その中から、意外と知らない天気予報のことや、これからの時期に役立つ内容をご紹介します。
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「1時間に50ミリ」の雨を警戒の目安に
大雨の際に、「『1時間に50ミリ以上』の非常に激しい雨の降るおそれがあります」というような表現を聞いたことがあると思います。
これは言い方を換えると、「1時間で5センチ分の水(雨)が溜まる」という意味です。
町一帯に5センチ分、雨が短時間に降るとどうなるのでしょうか?
水は高い所から低い所へ流れますよね。このことから道路横の側溝に水が集中し、あっという間に数十センチの水位になり、道路に水があふれ出します。マンホールから水が噴き出したり、場所によっては蓋ふたが外れ、落とし穴のようになったりします。
高架下の道路で、アンダーパス(立体交差で、掘り下げ式になっている下の道路)にも水が流れ込み、水深が一気に数十センチになることもあります。
「1時間に50ミリ」という数字は、町の下水道の排水処理の限界レベル。全国の下水道の排水処理はだいたい1時間に50ミリ前後の設計になっています。
設計当時の数十年前は、1時間に50ミリの非常に激しい雨はまれに起きる現象だったんですね。しかしながら近年は、この非常に激しい雨の回数が増えています。
繰り返しになりますが、町一帯に5センチ分の雨が降ると、道路の低くなっている所などは水が数十センチ溜まります。
これは大人のひざ下くらいの高さになることも。この水深はもう危険水位で、大人でも足をとられます。子供であれば、40~50センチの水で溺(おぼ)れることもあります。
また、車のマフラーもひざ下の位置にありますよね。
マフラーが水に浸(つ)かると、車の電源が落ちることがあります。昔の車は、窓を手動で開けられましたが、今の車は電動です。そうなると、電源が落ちた場合に車の中に閉じ込められてしまいます。実際、水へ突っ込んでしまった車が水没してしまうという事故が度々起きています。
以上のことから、警戒の目安として「1時間に50ミリは道路が冠水するレベルの滝のような雨の降り方」と、覚えておいてください。
「24時間で200ミリの雨」は災害が起きる目安
この流れで、もうひとつ天気予報で目安にしてもらいたい雨の数字をお伝えします。
僕の気象キャスターの経験上、1回の雨で「200ミリ以上」まとまって降ると、土砂崩れなどの災害が発生し始めます。
「1時間に50ミリ以上」「24時間で200ミリ以上」、この数字を天気予報で見たら、頭を災害モードに切り替えてください。
土砂災害の目安として、「その場所の1年間の降水量の10%が一気に降れば発生する」とされています。
雨量が多い場所、例えば九州の山沿いや紀伊山地の山沿いでは、年間3000~4000ミリの雨が降ります。一方、東京は年間約1500ミリ、雨の少ない四国の瀬戸内海側では年間1000ミリほどと、地域差があります。
土砂災害に関して、よりきちんと把握しておきたい人は、自分の住んでいる地域の1年間の降水量をインターネットで検索して、調べておくといいでしょう。
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この続きは書籍『空がおしえてくれること』をご覧ください。
空がおしえてくれること
『情報ライブ ミヤネ屋』『ウェークアップ!ぷらす』でおなじみ、気象予報士の蓬莱大介さん。「毎日を大切に一生懸命生きること」や「伝えること」を大切に、天気予報を届けているという蓬莱さんの著書『空がおしえてくれること』には、空の面白さや不思議さに加え、自然災害の脅威から身を守る方法がわかりやすくまとめられています。その中から、意外と知らない天気予報のことや、これからの時期に役立つ内容をご紹介します。