『情報ライブ ミヤネ屋』『ウェークアップ! ぷらす』でおなじみ、気象予報士の蓬莱大介さん。「毎日を大切に一生懸命生きること」や「伝えること」を大切に、天気予報を届けているという蓬莱さんの著書『空がおしえてくれること』には、空の面白さや不思議さに加え、自然災害の脅威から身を守る方法がわかりやすくまとめられています。その中から、意外と知らない天気予報のことや、これからの時期に役立つ内容をご紹介します。
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夏の季節病「熱中症」
花粉症に次ぐ「季節病」と言えば夏の熱中症です。
熱中症は、体に熱がこもってしまうことで起こります。昔は「日射病」といわれていましたが、炎天下だけでなく室内でも起こることから、今は体に熱がこもって起こる症状を総称して「熱中症」といいます。
記録的猛暑となった2018年の熱中症による救急搬送者数は、なんと約9万5000人。死亡者数は160人です。この年は「災害級の暑さ」という言葉が流行語にノミネートされ、僕もテレビで呼びかける際に「気象災害から逃げるために、エアコンや扇風機を使ってください」「都市化によって昔と暑さの性質が違いますので、自分は大丈夫と思わずに」などと注意喚起しました。
搬送者の約半数は65歳以上の高齢者で、発生場所の40%は住居(庭も含む)です。
お年を召されると暑さやのどの渇きを感じにくくなり、気づかぬうちに熱中症になってしまうケースが多いのです。また、エアコンが嫌い、エアコンは贅沢(ぜいたく)だとおっしゃる方もいますが、倒れては元も子もありません。
時間を決めて水分補給をする、冷房を入れるなど、意識的に対策をしてください。
熱中症は症状別に、軽度、中度、重度の3つに分類されます。
軽度は、めまい・たちくらみ、手足のしびれ、吐き気。また、足がつるなど筋肉の硬直・筋肉痛も軽度に該当します。これは汗をかいて、体の塩分が少なくなることで起こっているのです。
中度は、頭痛、嘔吐(おうと)、体に力が入らないことがあたります。そばにいる人が話しかけて「いつもと様子が違う」というのも熱中症ではすでに中度レベルです。
重度になると、体のけいれん、意識がない、体に触れると熱い(高体温)という状態で、この状態だともう汗が出なくなっています。
熱中症は「梅雨明け十日」が一番怖い
熱中症で特に危険な時期は「梅雨明け十日」。
毎年、梅雨明けした直後に搬送者の数が一番多くなります。
しかも、重症化しやすいという特徴も。これは、体が暑さに慣れていないところにいきなり35℃以上の猛暑日が連日続くからです。
真夏になる前に、ウォーキングなどで体を動かして汗をかきやすい体づくりをすることを「暑熱順化」といいます。
梅雨の晴れ間に軽い運動をして、夏の本格的な暑さに備えましょう。
また、夏バテしないように朝ご飯はしっかり食べる・睡眠をしっかり取ることも大切です。エアコンにばかり頼るよりも、こちらのほうが対策としては健全ですよね。
ちなみに、テレビでお伝えしている天気予報の気温は、実際の町中の気温より低く出ています。
というのも、気温の観測は、日陰で、風通しが良い、高さ1.5メートルの所に設置した気温計で行われているのです。町中のアスファルトの照り返しがあるような所では、天気予報で35℃となっていても、実際は42℃くらいになっているので注意してください。
天気や季節にうまく体を合わせる
さて、ここでは「気象病」や「季節病」についてお話ししてきました。
これらがおしえてくれることは、自分の体との向き合い方です。
対策を知ることで上手に天気や季節の変化と付き合っていきましょう。
特に命にかかわる熱中症に関しては、「無理をしない」「自分は大丈夫と過信しない」ことが大切です。
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この続きは書籍『空がおしえてくれること』をご覧ください。
空がおしえてくれること
『情報ライブ ミヤネ屋』『ウェークアップ!ぷらす』でおなじみ、気象予報士の蓬莱大介さん。「毎日を大切に一生懸命生きること」や「伝えること」を大切に、天気予報を届けているという蓬莱さんの著書『空がおしえてくれること』には、空の面白さや不思議さに加え、自然災害の脅威から身を守る方法がわかりやすくまとめられています。その中から、意外と知らない天気予報のことや、これからの時期に役立つ内容をご紹介します。