『情報ライブ ミヤネ屋』『ウェークアップ! ぷらす』でおなじみ、気象予報士の蓬莱大介さん。「毎日を大切に一生懸命生きること」や「伝えること」を大切に、天気予報を届けているという蓬莱さんの著書『空がおしえてくれること』には、空の面白さや不思議さに加え、自然災害の脅威から身を守る方法がわかりやすくまとめられています。その中から、意外と知らない天気予報のことや、これからの時期に役立つ内容をご紹介します。
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警報はやみくもに出しているわけではない
警報に対して、みなさんはどんな印象を持っていますか?
学生の方は「学校が休みになった、ラッキー」くらいに思っていませんか?(僕が中学生の頃はそうでした……)
警報が発表されると、なぜむやみに外を出歩いてはいけないかというと、「警報」はその場所(市町村)で、過去の災害を参考にして「人が死ぬかもしれないような重大な災害の起こるおそれがある時、もしくはその基準に達した時に発表されるもの」だからです。
つまり、同じくらいの雨や風で過去に人が亡くなったり、事故が起きていますというレベルで、ちゃんと基準が設定されているんです。
だから、警報が解除されるまでは、むやみに外を出歩かないでくださいねって意味なんです。
ちなみに、雨のピークが過ぎたのに、なかなか警報が解除されない時ってありますよね?
あれは、川の増水が遅れてやってくることが計算されていたり、土にしみ込んだ水分が抜けるまで時間がかかるからです。
「警報」は、気象庁がやみくもに、適当に出しているわけではありません。
「注意報」は、その前段階で早めに注意を呼び掛けるものと捉えてください。
ただし! 注意報にあって警報にないものがあります。
例えば、霜、低温、濃霧、乾燥、なだれ、雷などは警報がないので、注意報の段階で気を付けなければいけません。
特別警報はその場所で50年に一度のレベル
「人が死ぬかもしれない・事故が起きるかもしれない」。この警報の基準を超えて超えて、はるかに超えて、その場所で50年に一度レベルの気象状況の時に発表されるのが「特別警報」です。
特別警報が発表される時は、すでに大きな災害が起き始めているような状況です。
気象庁が緊急会見しますよね。
「ただちに、命を守る行動をとってください」と。
特別警報が出るような時は、その場所で自衛隊が出動するレベルのことが起きていると考えてください。町一帯が浸水していたり、道路や崖が崩れたりしている、いわばサバイバル的状況で発表されるのが「特別警報」です。もはや一概に避難所に行くことが正しいという状況でもなくなっています。
段階として、「注意報」→「警報」→「特別警報」となっていますが、重要なことは、「特別警報」を待ってはいけないということ。
特別警報じゃないから大したことないと思わずに、警報の時点で頭を災害モードに切り替えてください。
レベル別に見る避難の段階
2019年5月から、防災情報を5段階で伝えることになりました。
例えば、「大雨警報」はレベル3相当、「土砂災害警戒情報」はレベル4相当、「氾濫発生情報」や「特別警報」はレベル5相当というように。
今までにあった情報を、レベルごとに振り分けて整理したといったところでしょうか。
レベル3なら高齢者や乳幼児を連れた方など移動に時間がかかる方は、避難し始める段階です。
レベル4では住民全員が安全を確保しておかなければなりません。
レベル5になると、もう数十年に一度の大災害がその場所で発生し始めるような段階なので、レベル5になってようやくなにかしようとしても「手遅れ」になるおそれがあります。
特別警報の項で言いましたが、「レベル5が出ることを待ってはいけない」ということですね。この段階では、命を守る行動を最優先にとってください。
「避難指示(緊急)が出たけどなにもなかった。避難したけど、ただの徒労に終わった」という空振りもあるかもしれません。防災情報というのは、天気の予想が100%でないように、完璧ではありません。
逆に、「レベル4相当の情報が出ているのに、自治体からは避難指示や勧告がなかった」という見逃しもあるかもしれません。
とにかく、レベル4の情報が出たら、自分で責任を持ち、安全の確保に努めてください。
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この続きは書籍『空がおしえてくれること』をご覧ください。
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空がおしえてくれること
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