新型コロナによって大打撃を受けている日本経済。「この国の財政が破綻する日は、いつ来てもおかしくない」と警鐘を鳴らすのは、経済評論家で元参議院議員の藤巻健史さんだ。著書『日本・破綻寸前』は、いかに日本経済が瀬戸際まで来ているかを豊富なデータをもとに解説。さらに、ハイパーインフレが到来したときの「自分のお金の守り方」まで具体的に伝授してくれる。そんな本書から、ぜひ押さえておきたいポイントをご紹介しよう。
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なぜ日本株ばかり買うのか?
株の購入も不動産同様、一般的にはインフレ対策と言われています。株の場合、不動産と同様の動きが「会社がつぶれなければ」起こります。Xデーで一時、大幅下落しても、そこからインフレ加速で大幅上昇すると思います。
しかしつぶれてしまった企業の株は、紙っぺらのままで戻ってはくれないのです。Xデーのときにつぶれるか生き残るかの見極めが重要です。昔、絶対大丈夫だと思っていた日本航空や東電が、一度は実質的に破綻しました。大企業だから大丈夫、という単純なものではありません。
一般論で言えば、輸出産業の会社は生き延びるでしょう。また、輸入品と競合する製品を作っている会社も、円暴落で輸入品が高騰しますから、生き延びる可能性が高いと思います。もっとも、ぜいたく品は安くとも購入する人が激減するでしょうから、そのような品に専念している会社は難しいと思います。
一番のポイントは、経営者が、きちんと日本の財政状況を認識し、外貨建て資産を購入したり、借金を増やしたり、外資系企業を買収するなど、それなりの備えをしている企業であるかということです。生き延びた企業の株はハイパーインフレで急伸するでしょう。
いつも思うのは、日本人はどうして日本株ばかり買うのだろう? ということです。私の著作をずっと読んでくださった方はおわかりだと思いますが、この20年間、私は一貫して「金持ちになりたかったら、強い国のリスク資産を買え」と主張してきました。その主張に賛同してくださった方は、かなり資産を増やされたと思います。
もっとも、私自身は「日本にXデーが来たら、さすがに米国株もかなりの下押しをするだろう」と思い、数年前に米国株から完全撤退してしまいました。米国株が急騰する前に売ってしまったので、資産を増やし損ないました。完璧な失敗です。
海外不動産のほうは結果オーライですが、米国株のほうが、投入額が大きかっただけに残念至極です。ただ、ディーラーですから、頭の切り替えは早いです。そうでないと間違いなくノイローゼになります。ですから今は笑い話で済ませています。
日本株は「五輪前」に崩れる?
1989年末に3万8915円をつけた日経平均株価は、約30年後の現在(2020年1月30日現在)2万2978円で約6割の水準です。一方、当時2753ドルだったNYダウは現在2万8859ドルで10・5倍です。一方、為替は1989年末のドル/円は1ドル=143・40円。2019年12月25日のドル/円は1ドル=109・40円です。
私はこの30年間ドル高を予想していましたので、「フジマキの逆張りをすれば儲かる」とか「曲がり屋フジマキ」とかよく言われます。しかし為替で24%損しても、株が10・5倍になっていれば、日本円では8倍になります。日本株に投資して60%に目減りするより、為替リスクをとったほうが、よほどに成功だったと思っています。これを書いていたら、米国株を早く売りすぎたのが、やっぱり悔しくなってきました。悔し~!!(苦笑)
米国経済は先に述べたように、市場が思っているより、よほど強いと私は思います。日本のバブルと同じ資産効果が働くからです。
私の感覚では、1985年から1990年まで続いた日本のバブル期でたとえれば、1988年頃なのかな? と思っています。ただこれは感覚論であり、明日崩れるかもしれないし、崩れるのは5年後かもしれません。
でも今はバブル期の佳境に入っていく雰囲気です。まだまだ上がる可能性は大ありですが、以上のことを頭に入れ、どうしても買いたいのなら、いつでも撤退できる準備をしながら「こわごわ買っていただければ」と思います。日本のバブル期のようにイケイケドンドンの気持ちだけですと、足をすくわれます。
日本株も米国株につられて、また円安で、当面上昇することが充分考えられます。
しかし日本株に関していえば、Xデーが来て日本売りの可能性があることに充分ご注意ください。また、非常に多くの人が「日本の景気はオリンピックまでは持つだろう」と言っていることも気がかりです。
2019年12月26日のブルームバーグの記事によると、日銀の黒田東彦総裁が、都内で開かれた経団連の会合で「東京五輪後の日本経済について『過度に悲観的になる必要はない』」と発言されたそうです。
ということは、現状では多くの人が悲観していると日銀も思っているのでしょう。もし、皆がそう思っているのなら、日本株は五輪前に崩れると思います。投資家は五輪まで売却を待ちません。他人より半歩早く売ろうとするからです。
その対策に五輪後、異次元緩和の深掘りと、さらなる財政出動をするのなら、株価は当面維持されるでしょうが、膿はさらに溜まり、日本の将来は真っ暗となります。
日本・破綻寸前
新型コロナによって大打撃を受けている日本経済。「この国の財政が破綻する日は、いつ来てもおかしくない」と警鐘を鳴らすのは、経済評論家で元参議院議員の藤巻健史さんだ。著書『日本・破綻寸前』は、いかに日本経済が瀬戸際まで来ているかを豊富なデータをもとに解説。さらに、ハイパーインフレが到来したときの「自分のお金の守り方」まで具体的に伝授してくれる。そんな本書から、ぜひ押さえておきたいポイントをご紹介しよう。