単行本発売時から、その大胆不敵さから話題騒然だった下村敦史さんの大傑作『同姓同名』がついに文庫化いたしました。本編に加えて、書き下ろし短編「もうひとりの同姓同名」も収録。発売直後に重版!と早くも大反響の本作、ぜひ、お楽しみくださいませ。
文庫発売を記念して、単行本時の書店員さんたちの大興奮、大混乱コメントを再掲いたします。この混乱をお楽しみくださいませ。
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乱歩賞作家・下村敦史さん最新刊『同姓同名』が話題を集めています。何を隠そう、登場人物全員同姓同名という大胆不敵、前代未聞のアイデアなのですから、それだけでもミステリ好き、本好きなら聞き流せません。(もしくは、混乱しそう……なんて嫌厭されたり)
発売に先立ちまして、ゲラ(校正紙)段階でプルーフを作成し、ご興味ある全国の書店員の皆様にお配りしたところ、驚愕!!興奮!!の声が続々と届きました。
同姓同名を入り口に名前というもののアイデンティティに迫る名前を巡る物語として、また、SNSに狂った現代社会ならではの、正義の暴走や炎上を見事に風刺した社会派小説として、そして、奇想天外なアイデアとめくるめく伏線とどんでん返しの応酬に快感すら覚えるザ・ミステリとして、いろいろな魅力について言葉を尽くしてくださいましたので、ご紹介します。
書店員さんたち驚愕! 大興奮の感想続々
謎解き面でも最高級のミステリーである上に、「名前とは何か」「存在するとは何か」にまで思いをいたらさざるをえない奥行きがある。傑作。(八重洲ブックセンター営業部 内田俊明さん)
後半の加速度はスピード違反で切符切られそう!ミスリードされないよう注意深く拝読しましたが、本当に最後の最後まで油断できない。(くまざわ書店錦糸町店 阿久津武信さん)
同姓同名ミステリーのパイオニア的作品爆誕。予想できる手法の遥か上を悠々と飛び越えていく。同姓同名ゆえの登場人物把握の困難さを感じさせない上で、確実に読者を数々の罠に堕としていく。着地10.0の先生と騙され10.0のわたしたち。晴々とどんでん返されてしまった。(ジュンク堂書店吉祥寺店 田村知世さん)
まず最初に一言いいですか。大山正紀さん多すぎ!!!!!!笑 クライマックスでの点と点だった大山正紀どうしが線でつながり、あの業者はこの伏線、あのシーンはこの大山正紀……!!!という怒涛の伏線回収ラッシュに、うぉおおおっっっとなりました!!!前半はどうかじっくり読んでほしいですね。後半、いやというほど畳み掛けられるので。いやー、めちゃくちゃ面白かったです!!!さすが下村敦史さん!!!(TSUTAYA中万々店 山中由貴さん)
圧巻の社会派ミステリーにして渾身のエンタメミステリー!! 伏線?ミスリード? この複雑な構成で、この完成度! エピローグでついに私の頭は爆発しました。(紀伊國屋書店仙台店 齊藤一弥さん)
次々とサプライズに近いどんでん返しが、まさに止まらない状態でよく考えるなあと感心しながら、SNSの怖さというか、今の時代への影響力というか、ガセネタでもどんどん真実みたいな扱い方になり、そちらの方も止める手立てがなかなかないという現実もよくわかりました。本当に今時のミステリです。(有隣堂藤沢店 佐伯敦子さん)
まさに予測不能! 最後の最後まで気が抜けない展開! ミステリとしての面白さだけでなく、正義とは一体何なのか、自分の人間としての在り方を、生き方を何度も問われる作品だった。誰もがSNSやインターネットで気軽に言葉を発信することの出来るこの時代、言葉は凶器になり得るということを忘れてはいけない。それはもちろん現実世界でも。「同姓同名」小説ならではの仕掛けに脱帽!(東京旭屋書店新越谷店 猪股宏美さん)
うわ~っ!こんなんアリかいなぁ。もう誰が誰やったか、わけワカメやわ。途中まで読んで、メモ書きまでしてみたけど、頭ぐるぐる脳に渦巻き鉄火巻き、堪忍やー。せやけど、こんだけぎょうさんの色んな大山正紀たちスゴイな。もう一生分の<おおやままさのり>に出会った気分やし、頭から離れんわ。どんどん転がって行く展開に、ほんまに息もつけずに一気読み、ページを繰る手が止まらんようなんでぇ。知らんけどぉ。(大垣書店イオンモールKYOTO店 井上哲也さん)
大山正紀だらけなのに混乱しないで読めた!!さすがです。本当に読むのをやめられなくてぶっ続けで読みました。
同姓同名。普段は良い意味でしか浮かばなかったが、確かにいまの情報社会だとさらに危険度が上がる。もし、自分が大山正紀たちと同じ立場だったら……怖くなってしまう。本作で語られる誹謗中傷はいついかなるとき自分が標的になる可能性があることを示唆しているのでは。そう思って読むとさらに恐怖が増す。最後の最後まで気を抜いてはいけないのです。(宮脇書店ゆめモール下関店 吉井めぐみさん)
「大山正紀が密です!」
「大山正紀」が密です!!中身はそれぞれまったく違う別物だけど、名前という記号で表された時には同じ者にみえてしまう。それをこんなに巧みに使われたら、何度も騙されてしまいます。(歓喜)同じ名前ばかりで混乱して読みにくいか?なんて読む前は思いましたがそんなことは一切なく、別人として読めてしまうところもすごいです。面白かった!!(未来屋木曽川店 牧谷佳代子さん)
タイトルから想像していた内容を上回る驚きの仕掛けに脱帽です……!!そして現代のSNS社会とリンクする描写に胸が熱くなりました。言葉を一瞬でとばせる時代でその一言が相手を救うものいなれば、時に相手を傷つける鋭利な刃にもなる。この物語は今を生きる私達への警鐘です。(紀伊國屋福岡本店 宗岡敦子さん)
何が正しくて、何をもって正義というのか…?! ヒーローはいない、主人公はいない、いるのはすべて被害者だった…。他人との感覚的距離が近くなりすぎたがゆえに悲劇は繰り返される。目に見えぬ敵と闘わなければならない無情さ、正義と悪の境界もわからない非道さ、明日と言わず、いま起きてもおかしくないリアルな怖さはまさに底なし…。この現代の闇を問う、警告ミステリーの誕生です。(株式会社 新進 書籍販売部 宮地 友則さん)
あっちがこっちで、こっちがあっち?こっちはこうだったはずだけど、あっちはどうだったんだっけ??読み進めてみたり、戻って読み返してみたり。それでもたやすく騙されてしまう。下村さんの頭の中は一体どうなっているのか。今作もまた、下村さんの手のひらで踊らされ、思う壺でしたとも。合言葉は、「やられたー!」 なんていい読者なんだろう自分は。もう一度読み返して答え合わせだ。(柳正堂書店甲府昭和イトーヨーカドー店山本机久美さん)
ある意味何も考えずに生きてきましたが自分がこんな状況に陥ってしまうことも0ではないと考えると空恐ろしくなりました。そしてそれは突如現れ無慈悲な誹謗中傷にさらされる。最終的には折原一さんばりの鮮やか叙述トリックで犯人が解りましたが本当に色々と考えさせられました。(書泉ブックタワー 飯田和之さん)
「勝負作間違いなしです」
凄い‼︎ 何が凄いって、登場人物がみな大山正紀なのにそれぞれ個性の違いがちゃんと出ていて誰が誰かわかる‼︎ 凄いよ下村先生…凄すぎるよ。と思って読み進めていたら…読後の感想、本当に凄い‼︎しか出て来ないです…これは凄い作品です‼︎←語彙力の欠如。まさか、そういう事とは…騙されました‼︎お見事です‼︎下村敦史の勝負作、間違いなし!です。(文真堂書店ビバモール本庄店 山本智子さん)
背筋が寒くなりました、色々な意味で。えっ、まさかそうだったのか? それがえー!驚きとぞっとするのが連続で油断なりません。一気読みでした。すごいミステリーだったなという快感も。同姓同名の人がかなり出てきてどの人物にも頷いてしまいました。あんなとこにもこんなとこにもつながっていたのかとあまりの細かい伏線を見つけ感動しました。絶品ミステリーにうなりました。最高ミステリーでした。(ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん)
私を含めてSNSを使っている人には、この本の中の状況がリアルに感じられるだろう。オーディエンスの怒りがエキセントリックに高まる様子は、今まさにメディアで取り上げられている《正義警察》に視点があり、思いもしないことで、一瞬にして世界が変わるのだ。目の前で起きているかのような臨場感に《人間》がすごく怖かった。《同姓同名》というタイトルだけでも面白そうとページを開いた自分は、途中下車できない旅に出てしまった気分で一気読み! なんとも頭がこんなに回転したことはなかった! 脳内メモだけでは追いつかない。ペンとメモのご用意を! ミステリーとして、社会問題として、両面から同姓同名の恐怖に絡めてとられていく。この本はさらなる予兆なのか?転換期となるのか? 驚愕の現実社会の闇を覗きながら、どんでん返しどころではない、いったい犯人は誰なのか⁉︎ SNSを使う使わずに限らずとにかく読んでみてほしい社会派ミステリーです!(うさぎや矢板店 山田恵理子さん)
そして最後にご紹介。帯には、有栖川有栖先生がこんな推薦文をくださいました。
「最高難度のアクロバットが見事にきまった。作者の会心の笑みが目に浮かぶようだ」(有栖川有栖氏)