「オタク同士で暮らしたら、絶対楽しそう!」そんな夢を見たことがあるオタクは多いはず。そうではなくても、このコロナ禍、「淋しくて不安」「孤独死したらどうしよう」「でも、異性と一生を約束して暮らすのは面倒!」など、一度は誰かとの生活について考えた、ひとり暮らしの方はいるのではないでしょうか。
先日発売となった『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』の著者、藤谷千明さんは、東京都内の賃貸一軒家(5LDK)でアラフォーのオタク4人で暮らして、約1年半になります。
アラフォーのオタク女子4人は、同居する一軒家でどのような春夏秋冬を過ごしてきたのか。オタクならではの会話が飛び交う、楽しい日常を、本書より一部抜粋してお届けします。第5回目は、同居する4人の「推し」が出演していたという、奇跡のようなイベントでのお話です。
* * *
大集合サンリオハロウィン
我々4人、ここまで書いてきたように好きなジャンルはバラバラなのだが、一度みんなの現場がカブったこともあった。それは10月の末、サンリオピューロランドのハロウィンイベントでのこと。どうして揃ってサンリオハロウィンへ? それはですね、偶然です。
我々は、イベントごとで家を空けるときは、アプリでスケジュールを共有している。10月の末に全員「オールナイト」だとか、「ピューロランド」だとか「ハロウィン」と予定が入っていた。
私「おや……?」
丸山「これは?」
星野「もしかして?」
角田「みんな同じ場所?」
サンリオハロウィンは、出演者がバラエティに富んでいることでも知られている。この年は、LDHアーティストから声優とラッパーのユニット、気鋭のミュージシャンまで、いろんな人が出演していた。たまたま私はLDHファンの友人から誘われてチケットを購入しており、丸山さんはテーマパークオタクの友人から声をかけられていた。一方、星野さんと角田さんもそれぞれ推しが出るという。
私「DJ MAKIDAIを観に……」
丸山「ピューロに一度行ってみたくて」
星野「私は昴(木村昴)と掌幻」
角田「私は長谷川白紙」
一同「なるほど~~~」
こうなったら、みんなで全力で仮装をしましょう。私はヴィジュアル系おばさんとして鳴らしているので(大嘘)、倉庫部屋からゴシックロリィタのお洋服を取り出し、ゴッテゴテのメイクを施す。頭が寂しいなと思ったものの、いい感じに仮装感のあるアイテムが見つからなかったので、ドン・キホーテで「Halloween」と書いてある帽子を買った。そこにはこだわりはないのか? ええ、ないです。ってなわけで、意気揚々とピューロランドに向かうのであった。それぞれの友達と合流し、ほどほどにはしゃぎ、ほどほどに休み、またはしゃぐ。星野さんは出番の早かった昴と掌幻をダッシュで観に行き、私は「HIGHER GROUND」でブチ上がり、長谷川白紙に荒ぶる角田さんを横で見る。そしてみんなでDJ HELLO KITTYさんことキティちゃんを拝んだ。
明け方に終了し、くたびれた体の力を振り絞り、電車に乗って帰路についた。アラフォーでオールナイトするのはさすがに疲れたので、駅から家まではタクシーを使う。こんなとき、4人だと割り勘できるし助かるな。
令和ケーキのくだりで「オタクは記念写真に人間を入れない」と書いたが、例外もある。ハロウィンのフォトスポットを発見し、「せっかく仮装もしているし」と、この夜は珍しく4人でフレームに収まった記念写真を撮ったのであった。