生き方
頭から「車谷長吉」の存在が離れない。前回の連載で紹介した高橋順子さんの『夫・車谷長吉』の印象が強烈だったために、別の本を読んでいてもふとした拍子にこの夫婦のことに意識が戻ってしまう。『夫・車谷長吉』を繰り返し読むことで、夫婦の存在が色濃く立体的に浮かびあがり、そしてその立体像を手に取るように観察しては、その在り方により興味が掻き立てられるのだ。知らなくてもいいことをどうしてこんなにも知りたくなってしまうのだろうか。たとえ友人であろうと隣の夫婦の在り方を知ろうとすることは、悪趣味であるとわかっているのにもかかわらず。そんなわたしが、手に取ったのが本書である。以前、車谷さんが回答者をつとめていた朝日新聞の土曜版別刷りの「悩みのるつぼ」というコーナーを楽しみに読んでいた。その一問一答が、ここにまとまっている。
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