三日坊主の英語学習者は、だれかが決めた"正しい勉強法"に囚われず、YouTubeでも海外ドラマでも、とにかく英語に触れて好きなことだけやればいい。ノルマを課さず、完璧は目ざさない。それで続かなくても楽しければ何度でもやり直せるし、挫折の数だけ経験は蓄積される。いつしか自分に合った勉強法にたどりつき、飛躍的に成果が出ていることに気づくはず。無類の三日坊主を自認するも、ズブの初心者から趣味で英語を始め今では英訳者としても活躍する著者が保証する、ストレスフリーの英語学習メソッドを大公開!!
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やりたいことのレパートリーをひとつずつ増やす
三日坊主の英語学習において「これなら、できるかも。やってみたい」というポイントが重要なのは、「できるかも」と感じないことや、「やってみたい」と思えないことを継続するのは至難のわざだからです。その一方で、世の中には、「できるかも」という自信や「やってみたい」という願望がなくても、「正しい勉強法」を淡々と継続できる超人のような方たちが実際にいらっしゃいます。そうした修行僧なみにストイックな方たちに本書は必要ないでしょうが、三日坊主で今まで悩んでこられたあなたが「大人のやり直し英語学習」をスタートされる際には、挫折しないためにも、「これなら、できるかも。やってみたい」という感覚を常に最優先させることが、基本の心構えとなります。
筆者自身が「三日坊主の権化」なので、よくわかるのですが、「これなら、できるかも。やってみたい」と感じることであっても、われわれ三日坊主は、たいてい3日前後で挫折してしまいます。そうした際、いったん挫折して構いませんので、「これなら、できるかも。やってみたい」と感じられる次の目標を見つけることが第2段階となります。
たとえば、あなたがまず、「本で英語を勉強しよう」と思い立って、「これなら、できるかも。やってみたい」と感じた本(仮に『英語本A』と呼びます)を買って、取り組み始めたとします。どんな本を使うとしても、最初からスムーズに学習が軌道に乗るケースは稀ですので、その最初の英語本Aは3日前後で挫折してしまう可能性もあります(継続できる時には、継続していただいて、もちろん問題ありません)。
最初の挑戦である英語本Aを三日坊主で挫折しても問題ありませんが、いったん挫折しても後日また使える可能性が高いので、すぐに処分してしまわず、できるだけ手放さずにキープしておかれることをオススメします。そして、最初の本を続けられなかっただけで「自分はダメだ。英語学習は向いていない」と落ち込まず、すぐ次の目標を探し始めていただきたいです。具体的には、「これなら、できるかも。やってみたい」と感じる2冊めの英語本B——あるいは、本ではない方法——を試してみる、ということです。英語本Aで挫折した直後でなくても構いません。しばらく英語学習から離れて、また「やってみようかな」という気持ちが自然に湧いてきてからでも、まったく問題ないのです。
いつも3日前後で挫折するのが三日坊主なのですから、挫折するたびに落ち込む必要はありません。最初のトライで失敗したら、気が向いた時に再挑戦すれば良いのです。先に述べた通り、「何度やり直してもいい」のが三日坊主メソッドです。何回めのトライでも、方法は、まったく同じです。無理をされる必要はありません。なにかの拍子に、また、「これなら、できるかも。やってみたい」と感じた時に、それにトライすれば良いのです。
何回挑戦しても、いつも三日坊主で終わる方は多いでしょう。それで、なにも問題ありません。三日坊主メソッドで重要なのは、挫折した時に「自分は向いていない」と、すぐにあきらめるのではなく、「これなら、できるかも。やってみたい」という気持ちが湧き起こる限り、何十回、何百回トライしてもいい——ということです。
従来の指導者は、「1冊の本を使うと決めたら、ほかの本に浮気せずに、とことんやり込もう」と学習者に勧めることが「常識」です。筆者自身も、「正しい英語勉強法」をご紹介する際は、そのように推奨することもあります。ですが、われわれ三日坊主は、いったん使いたいと思った本(あるいは、ほかの方法)でさえ、かなり高い確率で、数日で挫折してしまいます。そうした際に、「やっぱりダメだった」と、あきらめるのではなく、「何度やり直してもいい」ルールをそのつど思い出して、七転び八起きするのが三日坊主メソッドです。
たとえ周囲の人から「あなたって、飽きっぽいね。もう少しがんばって続けてみたら?」などと嫌味を言われたとしても、気にすることはありません。続けられないのは、期待していたほど〝今の〞あなたに合っていなかったからで、そのように、しっくりこない方法を延々と続けるのは、難しいからです。それよりも、〝今の〞あなたが「これなら、できるかも。やってみたい」と感じる方法にこだわり続けることで、より良い学習法にたどりつける可能性が高まり、同時に、英語学習そのものを継続しやすくなるのです。
発明王エジソンは、実験がうまくいかなくても決して失敗とは捉えず、「うまくいかない方法を新たに発明した」と考えていたそうです。次のような名言が遺っています。
“I have not failed. I’ve just found 10,000 ways that won’t work.”
(=私は、今まで失敗したことがない。1万通りの、うまくいかない方法を発明してきただけだ)
発明王の力強い言葉は、三日坊主メソッドの基本スタンスは間違っていないという確信を与えてくれます。あなたが思いついて試した方法が自分に合っていなかったとしても、それは挫折ではなく、「まだ機が熟していない方法を発見できた」のです。あなたが1度でもトライしてみた方法は、たとえ休止してもムダにはならず、あなたの「やってみたいと感じた英語学習法」のレパートリーに加わるのです。そのレパートリーをひとつずつ増やしていくことは、とても大きな意味がありまです。なぜなら、あなたが増やしているのは失敗の数ではなく、実は、それこそが「後日成功するための武器庫」となるからです。