浅原ナオトさん待望の新刊『#塚森裕太がログアウトしたら』。
発売前にゲラを読んでくださった書店員さんたちから熱いメッセージをいただきました!
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誰にも分かってもらえない言葉にならない感情を、誰もが一つは抱え込んでいると思う。
そんなモヤモヤとした気持ちを、SNSに吐き出すことも大事だけれど、自分の気持ちと向き合う時間も大事なんだ。この物語には、そんな分かってもらいたいけれど、分かってもらえないかもしれない感情や思いが溢れている。
読後感がとにかく清々しくて気持ちがいい! 十代のうちに読んでおきたい、最っ高に無敵でカッコ悪い青春でした。
(文教堂商品本部 青柳将人さん)
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つらいなぁ、つらいよ、本当につらいよねぇ。
「自分」というアカウントからログアウトするのって、二つの意味があって。
別アカにログインすることで「自分」の中の「自分として認めたくない部分」を消化できるなら、それはいい意味のログアウト。
だけどログアウトした「自分」が本当の自分でないという認識であったら。ログインした別アカがたんなる抜け殻であるなら。それはどこにも本当のログ場所がないということになる。つらい。
容姿端麗、スポーツ万能、人格的にも申し分ない「塚森裕太」という自分。
だけどそれは本当の自分じゃない。そこに自分の芯になっているものがないから。自分の芯。それは「ゲイ」であること。
高校生の、ほんの17歳の少年が自分をゲイであると認識すること、それを受け入れること。その困難さを思う。
順番に語られる、塚森裕太の周りにいる5人のそれぞれの思いと現実。カミングアウトから始まる同じ時間と出来事をそれぞれの目から語られる。同じ出来事がそれぞれの目を通して一点に集約していく。重ねられるにしたがって濃く、細かく、見えてくる。塚森裕太の持つ、深く暗く大きな悩み。
完璧であること、それを隠れ蓑に自分の本質から目をそらしていた今まで。カミングアウトしても「塚森裕太」ならそれを軽く乗り越えられる、何と言っても完璧な塚森裕太なのだから。
そんなガラスのようなプライドとぎりぎりの自尊心。守れるのか、乗り越えられるのか。読むのがつらい、つらい。
最後の本人の章。涙が止まらない。必死でもがく塚森裕太を心から抱きしめたいと思った。よくやったと頭をくしゃくしゃとなぜてやりたい。
そして、一番語りたかったことを語らずに描く。うまいねぇ。梅澤先生、あなたのおかげです。ありがとう。
(精文館書店中島新町店 久田かおりさん)
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書店員さんたちの心も揺さぶった『#塚森裕太がログアウトしたら』、本日発売です!
#塚森裕太がログアウトしたら
高3のバスケ部エース・塚森裕太は自分がゲイだとInstagramでカミングアウト。それがバズって有名に。
このカミングアウトが、同じ学校の隠れゲイの少年、娘がレズビアンではないかと疑う男性教師、塚森を追いかけるファンのJK、塚森を崇拝しているバスケ部の後輩へと変化をもたらしていく。そして塚森自身にも変化が表れ…。
作り上げてきた「自分」からログアウトしたら、「本当の自分」になれると思っていた――痛みと希望が胸を刺す青春群像劇。
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