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介護ヘルパーはデリヘルじゃない

2020.11.16 公開 ポスト

抱きつき、キス、暴言…介護従事者の74%がハラスメント被害を受けている藤原るか

パンツを脱いで迫られる、性器を顔に押しつけられる、自慰行為を見せつけられる……。人手不足が深刻化している介護職だが、現場ではこうしたセクハラ行為が蔓延していることをご存じだろうか。ある調査では、なんと4割の介護ヘルパーがセクハラを受けたと回答している。その実態を赤裸々に告発するのは、現役ヘルパーの藤原るかさんだ。著書『介護ヘルパーはデリヘルじゃない』には、私たちの知らない衝撃の事実が綴られている。その一部を紹介しよう。

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蔓延するハラスメント被害

本書で私自身が経験したハラスメントのケースを紹介しましたが、それは私だけの経験ではありません。日本介護クラフトユニオン(NCCU)が2018年に行ったアンケート調査でも、多くの介護従事者がハラスメントに遭っている実態が明らかになっています。

(写真:iStock.com/stevanovicigor)

有効回答者2411人のうち、何らかのハラスメントを受けたことがある、と回答した人は1790人で全体の74.2%でした。

そのうちセクハラに該当する行為を受けたことがある人は718人(40.1%)で、男女別では、女性2107人のうち685人(32.5%)、男性293人のうち30人(10.2%)がセクハラ行為を受けていました。

一方、パワハラに該当する行為を受けたことがある人は、ハラスメントを受けたことがある人(1790人)のうち1687人(94.2%)にも上り、男女別では、女性2107人のうち1488人(70.6%)、男性293人のうち193人(65.9%)がパワハラ行為を受けていました。

アンケート調査から「どのようなセクハラに遭遇したか」を尋ねたところ、「サービス提供上、不必要に個人的な接触をはかる」が53.5%、「性的冗談を繰り返したり、しつこく言う」が52.6%とほぼ同数となっています(複数回答)。

セクハラを受けたことによる自身への影響については、「強いストレスを感じた」「軽いストレスを感じた」を合わせると、89.7%もの人がストレスを感じたと回答しています。

セクハラの具体的な内容について、いくつか紹介します。

衝撃的なアンケート結果

・男性利用者から「腰をもんで」といわれ、断ると「○○さんはやってくれた」といい、さらに断ると「○○さんは社員なのにやってくれた」といわれ、少しだけもんであげると「おっぱい、さわらせて」と手を伸ばしてきたので、払いのけたら、「デブ!」といって怒り出した。(訪問介護 介護員 女性)

(写真:iStock.com/byryo)

・アダルトビデオのパッケージを見せられ、「どれがいい?」と聞かれた。訪問時にアダルトビデオを見ていたこともあった。調理時、背後から近づいてきて背中をなでられた。(訪問介護 介護員 女性)

調理中に後ろから抱きつかれ、胸を触られた。「デートしたい」「付き合わないか」等の発言があり、人を見下すような暴言もあった。(訪問介護 介護員 女性)

・寝たきりの男性のオムツ交換のとき、「俺のを見たんだから、おまえのまんこを見せろ」「おまえがまんこを見せないから食べない」「俺とセックスしたら食べてやる」等の発言があり、食事を拒否する。(訪問介護 介護員 女性)

・何年も行っている訪問先で、その日、あいさつをすると、いきなり首に手をまわされ抱き寄せられ、顔に数回キスされ、腕をつかまれて「ベッドでもっとやろう」といわれた。テーブルを回り込んで逃げ、その日は必死で1時間の仕事をして帰った。(訪問介護 介護員 女性)

利用者が同性愛者で関係を求められた。強く断ったが、その後も手をつないだり、身体を触るなどが続いた。(訪問介護 介護員 男性)

・他の利用者の対応中、女性の利用者が背後から静かに寄ってきて身体(お尻)を触ってくる。それについて「セクハラですよ」と伝えると「私は触ってない」と大声を出して逆ギレされた。(短期入所生活介護 職員 男性)

・性的な冗談を繰り返し、性的な質問をしつこくされた。キスをせがまれたり、身体に触られたりした。その都度、受け流すなどの対応をすると、「あばずれのくせに」などと暴言を吐いた。(訪問看護 看護師・リハビリ職 女性)

セクハラの具体的な内容を読むと、男性、女性にかかわらず、多くの介護従事者が被害に遭っていることがわかります。アンケート調査によって、それが明らかになったことは大きな進歩だといえます。

関連書籍

藤原るか『介護ヘルパーはデリヘルじゃない! 在宅の実態とハラスメント』

介護職は重労働のうえ低賃金であるため、人手不足が続いている。それなのに2018年の調査では、なんと4割の介護ヘルパーがセクハラを受けたと回答。介護歴28年、百戦錬磨の著者自身も、利用者から幾度となくベッドに誘われたり、パンツを下げ性器を見せられ迫られたり、キスをされそうになったりしたが、見事にかわし仕事をこなし続けてきた。そして「♯Me Too」運動以降、セクハラをなくそうという流れは一気に加速。介護職におけるパワハラ・セクハラをなくし、介護職をよりやりがいのある仕事にするためのヘルパー奮闘記。

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介護ヘルパーはデリヘルじゃない

パンツを脱いで迫られる、性器を顔に押しつけられる、自慰行為を見せつけられる……。人手不足が深刻化している介護職だが、現場ではこうしたセクハラ行為が蔓延していることをご存じだろうか。ある調査では、なんと4割の介護ヘルパーがセクハラを受けたと回答している。その実態を赤裸々に告発するのは、現役ヘルパーの藤原るかさんだ。著書『介護ヘルパーはデリヘルじゃない』には、私たちの知らない衝撃の事実が綴られている。その一部を紹介しよう。

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藤原るか

東京都の訪問介護事業所、「NPOグレースケア機構」所属・登録ヘルパー。学生時代に障害児の水泳指導ボランティアに参加したことから福祉の仕事に興味を持ち、区役所の福祉事務所でヘルパーとして勤務。介護保険スタートにあわせて退職。訪問ヘルパーとして20年以上活動している。在宅ヘルパーの労働条件の向上を目指し、介護環境の適正化を求めた公の場での発言も多い。「共に介護を学び合い・励まし合いネットワーク」主宰。著書に『介護ヘルパーは見た』(幻冬舎新書)などがある。

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