人気占い師、真木あかりさんの新刊 『2021年上半期 12星座別あなたの運勢』より、
<全体運>
自分が自分として、生きるために。
2021年上半期、てんびん座のテーマは「愛」と「挑戦」です。なんだかもうこの単語を並べた時点でボクシングのリングだのハリウッド映画のセットだのが脳裏に浮かんできそうですが(浮かんでくると言うわりに雑なイメージ)、これは今年の運勢のなかの、ごく一部を表す言葉でしかありません。ちょっと長めに表現するならば、「やらずにはいられないほど好きなことをやりながら、自分の人生を生きる力をつける」ということになるかと思います。「愛と挑戦と全然違うやないかい」と思われた方、どうぞ続きもご覧いただければと思います。
やらずにはいられないほど好きなこと、と言われて、あなたがイメージするのはどんなものでしょうか。仕事が忙しいときほど、趣味の絵が描きたくなる。疲れ果てて帰ってきて、明日も早くて、すぐ寝なくちゃいけないのに本を読んでしまう。料理でも運転でも、プログラミングでも、「やりたい!」という気持ちが高じてついやってしまうこと、です。眠ければ寝ればいいのに、疲れているなら休めばいいのに、お金にならないのに──こうした「のに」があってもなお、やりたくてウズウズしちゃうこと。四六時中頭のなかにあって、街中で関連する情報を見つけるとムフフとしちゃうようなこと。2021年はそういった、あなたが大好きなものを通して、あなたという人を表現していく「自己表現」の星回りにあたっています。
人によっては、好きなことを仕事にするべく、行動を起こす人もいるのでしょう。好きなことを副業にして、収入を増やそうとする人もいそうです。いずれにせよ、多くの人がそれぞれに、自分の「やらずにはいられないほど好きなこと」を通して自己表現をしていかれるはずです。愛もまた、自己表現のひとつですね。「あなたが好きです」と気持ちを伝えるとき、私たちはそのときの自分の気持ちを全力で、出していくのではないでしょうか。
てんびん座として生きて、幸せになる。
この自己表現が、なぜ「自分の人生を生きる力」につながるのか。それはてんびん座の人の特性によります。てんびん座を表すひとことに「バランス」というものがあります。てんびんが釣り合いをとることでものの重さをはかるように、てんびん座の人は非常にバランス感覚に富んだ人です。てんびん座のまなざしの先には常に人がいて、その人との関係を真っ先に考えて、自分の行動を決めたりします。たとえば、会話のときにパッと相手の気持ちを察して言葉を出す。皆と一緒にいるとき、皆が楽しくいられるように気を使う。「あたりまえじゃないか」とあなたは言うかもしれません。でも、これって実はあたりまえじゃないです。おひつじ座のまなざしの先には、何もありません。まっしぐらに飛び出していく星座だからです。いて座のまなざしの先には、物事の真理や謎など、かたちのないものがあります。考えることが好きだからです。感覚はてんびん座の、何より特徴的で素晴らしいところです。
ただ、人との距離感を気にするあまり、つい他人の反応に合わせてしまったり、相手が言ってほしそうなことを言ったりすることもあります。どう見られるかも、すごく気にしています。決して「自分がない」わけではないのです。それでも、八方美人的な態度と受け取られて気詰まりな思いをしたりする。それは、相手にとって「大事な存在であり続けたい」と思うからです。
当然ながら、こうした思いは「恐れ」も生みます。相手にとって、大事な存在でなくなってしまったら──人生が長くなって、人づきあいもうまくなっていけばいくほど、どうしたら「いない人」にならずに済むか、怯えとともに気にするようになるのですね。それゆえに、ときどき、自分を見失いやすくもなります。雑誌の表紙に「自分らしさ」という文字を見つけたとき、ふと「あれ? 自分らしさってなんだっけ……」と立ち止まってしまう。転職活動をしようとしたとき、「自分の強み……?」と思ってしまうのです。本当は、ちゃんとあるのに、です。
自己表現をしようとするとき、私たちはものを作ったり言葉を使ったりしながら、「自分」を形作ります。これが、私が考えていることです。これが、私が素敵だと思うものです。これが、私です。と──
2021年、てんびん座の人は「やらずにはいられないほど好きなこと」をしながら、「自分」を確かめていきます。そうそう、そうだった。これが自分なんだ。こういうことを考えていたよね。楽しいな、これが自分の生きる道だな。そしてこれは、自分の人生を生きる力を身に付けるということでもあります。誰かのまなざしを意識しながらも、決して揺らぐことのない自分の軸を持つ、それが可能になるのでしょう。
この星回りが巡ってくるとき、占いではよく「今年は恋人ができるでしょう」とか「自己表現をするでしょう」などと語られます。確かにそうです。このあと、私も同じようなことを書きます。ただ、背景にあるてんびん座の人々ならではの素晴らしい特性と、そのために少しだけ生きづらさが出てしまいがちなところを知っておくと、2021年はより有意義になるだろうと思いました。それで、ちょっとくどくど書かせていただいた次第です。
これまでにない「自分」を生きていい
ちなみに、「自己表現」という今年のテーマは、あなたが向こう20年ほど追いかけていくテーマでもあります。これは2020年12月22日、木星と土星が同じ場所で出合うという20年に一度のイベント「グレート・コンジャンクション」が起こり、新たな時代が幕を開けたことと関係しています。また、今回は20年に一度のタイミングであると同時に、200年に一度の特別な節目も重なっています。ここに至るまでの約200年、人類は金銭や所有、権威などが幅を利かせる「土の時代」を生きていました。そして2021年のグレート・コンジャンクションを経ることで、知性とコミュニケーション、個性といったものが重視される「風の時代」へとシフトします。「今まで通り」は、通用しなくなるのです。
あなたが表現したい「自分」も、今まであった何かである必要はまったくありません。むしろ、既存の枠に当てはめないほうが、これから先の可能性は広がりを増すことでしょう。何を持っている、どれだけ持っているということではなく、何を考えて何を知り、どう活かしていくか。そうした人生が、どれほど自由で楽しい空気に満ちていることか。あなたを包む愛に巡り会いやすい1年ですが、仮に──仮に、です──誰かのまなざしのなかから自分の姿が消えるようなことを感じたとしても、今までのあなたのような絶望は、しにくいだろうと思います。なぜなら、あなたのなかには確かな「自分」が自覚されているのだから。今年、あなたが得るものはそうした「力」であろうと私は考えています。
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電子書籍『2021年上半期 あなたの運勢』では、ここまでにご紹介した今年の運の“活かし方”をくわしく解説しています。また、2020年12月22日に起こる、200年に一度の「時代の変節点」を踏まえた世の中の見通し、星回り的に注意したい時期についても言及しました。占いは読むだけでなく、使ってこそ意味があるもの。2021年という特別な1年を展望する際、ぜひお役立ていただければと思います。
<恋愛運>
総合運の冒頭で述べたように、2021年は「愛の一年」です。自分から行動を起こすことで愛が生まれる、愛がさらに良いものとなる時期で、あなたが望むかぎり素晴らしい機会が期待できるだろうと思います。もちろん、誰もが誰かを愛さなければいけないというわけではありません。愛せない時期だってあって当然です。アセクシュアルやパンセクシュアルなど、さまざまな愛のかたちが定義されるようになった昨今ですが、その潮流はより広く知られるようになり、みずからの愛し方について、誰もが丁寧に自認する流れが定着していくでしょう。
それを踏まえての発言になりますが、てんびん座の人はさまざまな愛のかたちを知り、自分が持つ愛と向き合うことで、より自分らしい愛し方ができるようになるのかもしれません。モテがどうだとか、色気がどうのとか、どっちが奢るとか奢らないとか、そうした恋愛マニュアル的なものはどうぞ気にせず、自分らしい誠意と愛の定義をもって人と接していかれるのが、2021年の運にうまく乗るカギとなるかなと思います。
それって大丈夫なのか、みんながみんな自分らしい愛の定義なんて持ったら大変なことになるんじゃないかと思われましたか? いえいえ、てんびん座の人々は、常に目の前にいる相手に、あたたかく細やかなまなざしを送る人です。愛する人ならなおさらでしょう。だから、きっと、大丈夫です。
ちなみに、てんびん座の人は2020年夏から2021年頭にかけて、熱いパートナーシップの時期を過ごしておられました。恋愛に限った話ではなく、ビジネスパートナーとの縁なども含んだ「パートナーシップ」なのですが、この時期に愛する人とぶつかり合うようなアツい時間を過ごしたてんびん座の人は多いのではないでしょうか。パートナーシップ観を真面目に考えたり、仕事上の人間関係から自分に合う相手、合わない相手を痛感させられたりした人もいるかもしれません。
そうした愛をめぐる日々は、2021年の「愛の一年」においても、非常に役立ってくるはずです。愛について考えたとき、ふと思い出すことがあったなら意識してみるとヒントが見つかるはずです。
なお、いずれの場合も「急がないこと」は重要なファクターです。2023年頃までは、愛に関しては「じっくり進める」ことに価値が置かれます。好きになったら即! みたいな、ドラマティックな恋も素敵ですけれども、長い時間をかけて紡いだ愛こそ、切っても切れない絆となりうる時期です。同じように、困難なことがあったとしても粘り強く、自分は幸せになっていい、愛し愛される関係を手に入れていいのだと思って努力し続けることにも価値があります。あなたのスピードで進むことが大事なのは言うまでもありませんが、焦らずに参りましょうね。
上半期で特に恋愛運に恵まれるのは、5月14日までずっとです……というのは確かなのですが、これだけだと説明不足な感じがするので「さらに恵まれる時期」について書いておきます。2月1日から25日、3月21日から4月15日は特にいい追い風が吹きやすいでしょう。2月は21日まで、「再会」の暗示が出ています。復活愛を願う人にとっては連絡がとりやすい時期となるでしょう。連絡をとらなくなって数年……というレベルですとちょっと望み薄ですが「昨年後半でケンカ別れをした」といった方であれば、じっくり進めれば可能性はありそうです。
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電子書籍『2021年上半期 あなたの運勢』では、パートナーがいる人、今はパートナーを探している途中という人、また障害のある恋で悩んでいる人向けにそれぞれ、半年間の展望とアドバイスを書きました。月ごとのくわしい恋愛運の解説に「ネガティブな状況の乗り切り方」もありますので、ぜひご覧いただけますと幸いです。
<仕事運>
「やらずにはいられないほど好きなことをする」というのは、仕事においても同じです。職種にもよりますが、好きなことを仕事に取り入れてみると仕事運全体が輝きを増していくことでしょう。好きなことが仕事とはまるでリンクしない場合でも、たとえばその好きなことで得た学びやマインドを、仕事に応用してみるといったこともできると思います。自分が楽しめる仕事を「創る」ことを、ぜひ意識してみてはいかがでしょうか。
好きなことを仕事にする人もいそうです。特に、子どもの頃から憧れていた仕事について「そんなのでは食っていけないよ」とか「夢が叶う人は上位○%くらいのもんだよ」と周囲に言われ続け、諦めたような経験を持つ人は、「挑戦」してみたいという意思さえあればいい時期にしていけます。自分の原点とも言える「やりたい」という気持ちに立ち返って、あらゆる可能性を追っていくといいでしょう。もちろん、好きなことといっても、サッカー好きな子が全員サッカー選手になれるわけではありません。それでも、たとえばスポーツチャンネルの担当者とか、シューズメーカーの営業とか、近い業界で仕事をすることも可能です。「やりたい」という気持ちが、模索する足取りにも力を与えてくれるでしょう。
なお、クリエイティブワークの人は5月上旬までが頑張りどき。「あなたから生み出されたものが、あなたの代わりに雄弁な営業マンとなってくれるようなことが起こりやすいでしょう。ただ、人の価値観が大きく変わる節目のときでもあります。モノやお金、ブランド名、有名人、大企業に依存した仕事スタイルというのは下火になり、代わりに知性やSNSでの拡散、個人の活動などに注目が集まるようになります。マニュアル通りにやればOKな“作業”は、やがて人がやらなくても良くなったりするでしょう。そうしたパラダイムシフトについていけるよう、さまざまなものに興味を持ち続けられると強いでしょう。あなたはセンスが人一倍鋭敏な人。きっとこの節目の時期も、有利に活かしていけるのだろうと思います。
好きなことを仕事にすることが、決して幸福ではない場合もあります。純粋に趣味として楽しめなくなったとか、お金をもらうようになったら急につまらなく感じられるようになった、というのはよくあることなのです。もしそうした一面を強く感じるのなら、敢えて仕事にはせず趣味として表現を続ける、という選択をするのも重要なこと。どんな仕事であってもあなたの「自己表現」として頑張っていかれるならば、必ずやいい年にしていけるでしょう。
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電子書籍『2021年上半期 あなたの運勢』では、上記の運に加え、転職・起業を目指す方へのアドバイス、ほか半年間の展望を書きました。月ごとのくわしい仕事運の解説に「ネガティブな状況の乗り切り方」もありますので、ぜひご覧いただけますと幸いです。