「重症化すると死ぬより苦しい」「新型コロナより恐ろしい」と言われる誤嚥性肺炎。なんと毎年、4万人もの命が奪われているそうです。『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』は、そんな誤嚥性肺炎の原因から予防法まで、すべてを網羅した貴重な一冊。まだ自分は若いから……と思った人は要注意! のどの老化は40代から始まります。ぜひ本書を片手に「のど筋トレ」を試してみてください。
* * *
誤嚥とは食べ物が気管に入ること
ここからは、嚥下のメカニズムについてさらに詳しくお話ししていきたいと思います。
まずは「のど」の構造についてです。
のどは、咽頭から喉頭にかけた部分のことを指します。咽頭から上は鼻腔につながり、咽頭から下は上下に動く「のど仏」を分岐点に、食道と気管に分かれています。
通常は食道の入り口は閉じていて、空気が気管へと送られているのですが、食事をするときには、喉頭蓋という防波堤がのど仏が上がることにより後方に倒れて、気管に蓋をして声帯が閉じ、食道の入り口が開いて食べ物や飲み物が食道へと送られます。
のどの機能が落ちてくると、本来は食道に送られる飲食物が気管に入ってしまうことがあります。これが誤嚥です。
また、若い年代でも、急いで食べているときなどに、飲食物が気管に入りかけて、ムセたりセキ込んだりすることがあります。飲食物が気管に侵入しても、声帯より上にとどまっている場合は、気管に入りかけただけで誤嚥ではありません。「喉頭流入(喉頭侵入)」と呼ばれます。
この場合、ムセやセキで、飲食物は喉頭より上に戻り食道へと送られ、大きなトラブルになることはありません。ただ、ムセたりセキ込んだりする回数が多い場合は、のどの機能が低下している兆候なので、いずれ誤嚥を起こすようになります。
知っておきたい3つの誤嚥
「誤嚥」とは、気管方向に侵入した飲食物が声帯よりも奥に入ってしまうことです。高齢者につきものと思われがちですが、若い人でも誤嚥することはあります。
ほとんどはムセたりセキ込んだりすることで、気管に侵入することなく押し戻されますが、なかにはうっかり気管に入ってしまうこともあるのです。
誤嚥は何を誤嚥するかによって次の3種類に分けられます。
(1)食物誤嚥
飲食物を誤嚥することです。食形態の工夫(やわらかく調理する・とろみをつけるなど)、食べる姿勢の改善、リハビリテーションなどで予防・改善できます。
(2)だ液誤嚥
寝ている間に、無意識のうちにだ液を誤嚥することです。体力が低下すると日中に誤嚥することもあります。免疫力が維持されていれば、だ液を少量、誤嚥したくらいでは肺炎を発症することはありません。体力や嚥下機能が低下して誤嚥しやすくなったところに、肺の機能が弱り免疫力が低下すると肺炎を起こします。
肺炎予防には、歯磨き、歯周病の治療など口腔ケアが、ある程度は有効ですが限界があります。
(3)胃食道逆流誤嚥
横になったときに、胃の内容物が逆流して誤嚥することです。診断が難しく、食べたあとに胸やけがする、胃の上がつかえるように感じる、胃の上のほうがチクチクする、のどや口に酸っぱいものが上がってくる、といった症状があるときには逆流性食道炎が疑われます。食後すぐは横にならない、睡眠時の姿勢を工夫することで予防できます。
食物、だ液、胃の内容物などが誤って気管に落ちて肺に入ると、やがては誤嚥性肺炎の引き金になります。
誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさいの記事をもっと読む
誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい
「重症化すると死ぬより苦しい」「新型コロナより恐ろしい」と言われる誤嚥性肺炎。なんと毎年、4万人もの命が奪われているそうです。『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』は、そんな誤嚥性肺炎の原因から予防法まで、すべてを網羅した貴重な一冊。まだ自分は若いから……と思った人は要注意! のどの老化は40代から始まります。ぜひ本書を片手に「のど筋トレ」を試してみてください。