愛知県人は堅実で貯蓄好き? 家賃がもっとも安いのは愛媛県? 実は合理的な北海道人? 日本で一番お金を使う県は? 「京都の着倒れ」はウソ? ……県民性が表れるのは、方言や食べものだけではありません。お金の貯め方や使い方にも、はっきり県民性は表れるのです! 『県民性の謎がわかる本――47都道府県 あなたの金銭感覚は?』は、こうした都道府県ごとの金銭感覚に迫ったユニークな本。「同じ日本でもこんなに違うのか!」と驚くこと確実の本書より、代表的な都道府県の例をご紹介します。
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干渉されるのが嫌いな個人主義
粋で気っぷがよく、義理人情に厚い――いわゆる「江戸っ子」気質は、落語や時代劇の中で誇張されすぎてきたきらいがある。幕末にはすでに人口100万人を超える大都市だった江戸では、明治以降「東京っ子」とでも呼ぶべき典型的な都市型の気質が育まれてきた。
江戸時代に商人や職人たちが住んだ上野や浅草などの「下町」では、涙もろくておせっかい焼きな「寅さん」的な下町気質が受け継がれている。一方、薩摩・長州などから移住してきた役人たちは青山や本郷といった「山の手」に住んだ。日本中から集まった人々が入り組んでごった煮状態になり、しだいに平均化されてできたのが、現在の東京人気質。
一般に、日本の中心であるというプライドが高く、裏方よりも表舞台で活躍するのを好む。他人に干渉されるのを嫌い、自由を謳歌するあまり、マンションの隣室にだれが住んでいるかも知らないという徹底した個人主義を貫く。歴史が浅いため過去のしがらみからは自由で、思考は柔軟で合理的。好き嫌いはハッキリしていて、自己顕示欲も旺盛だ。
・金銭感覚=「野暮」を嫌い、よく稼ぎ、よく使う
東京都民の所得は日本一多いが、使う場所もあまりに多い。よく稼ぎ、よく使うのが、東京っ子だ。ファッションにせよグルメにせよ、一流のものが身近にあるため目は肥えていて、コストパフォーマンスにはうるさい。
ビジネスも、多くの情報をかき集めて理詰めで進めていく。ただし、ケチというわけではない。思いっきり楽しみたいときに値段を気にするような「野暮」は東京っ子が最も嫌うところ。このあたりは、かつての江戸っ子の血がそうさせているのかもしれない。
ビジネスの場では、理屈に合わなければクールに値切ることもあるものの、一歩手前で身を引いて人間関係を丸くおさめるのが美学という価値観をもつ。
・攻略法=クールで柔軟、ときには八方美人すぎるきらいも
男女とも「ええカッコしい」で自分が中心でないと気がすまないところがあるので、プライドを傷つけないことが大切。全国からあらゆるタイプの人が集まっているため、相手に話を合わせることには慣れている。
ただ、その場の雰囲気を大切にするあまり、八方美人的な振る舞いをしてしまうことも多く、真意がつかみにくい。23区内で親と同居しているような女性は意外なほど保守的で、恋愛にも奥手なところがある。
人が集中しているだけに、かえって直接顔の見える関係を重んじる傾向があり、ビジネスにおいても、日頃のこまめなおつきあいが大切。積極的に飲み食いの場を共にすることが、よい関係をつくるコツと言えるだろう。
宵越しの金はもたない江戸っ子はどこへ?
「3代住んで、はじめて江戸っ子」とは江戸が都になって150年ほどたった江戸時代中期から言われ始めた言葉。一見排他的に聞こえるが、逆に、たった3代で「生え抜き」と認める柔軟さを表しているとも言える。
江戸っ子といえば「宵越しの金はもたない」というフレーズがおなじみ。「火事とケンカは江戸の華」と言われたほど火事が多かったため、金はあるうちに使ってしまおうという刹那的な気質が育まれたのだという。
また、商業都市・江戸の商人たちは賄賂や接待などあらゆる手を尽くして幕府御用達の権益にありつこうとした。この伝統も、使うときには思い切って使う気っぷのよさを誇る気風を生んだ原因だと言われている。
現代の東京都民も必要なときには惜しまず派手に使うという気前のよさをもち合わせているように思える。しかし、統計によると1人あたりの預貯金残高は1424.8万円で、香川県(1001.2万円)を大きく引き離して全国1位(2000年)。「宵越しの金」をしっかり貯め込むのが新東京人のようだ。
金もないのに虚勢を張る江戸っ子気質よりも、合理的・個人主義的な山の手の気風が圧倒的に幅をきかせるようになったと言えるだろう。
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県民性の謎がわかる本
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