愛知県人は堅実で貯蓄好き? 家賃がもっとも安いのは愛媛県? 実は合理的な北海道人? 日本で一番お金を使う県は? 「京都の着倒れ」はウソ? ……県民性が表れるのは、方言や食べものだけではありません。お金の貯め方や使い方にも、はっきり県民性は表れるのです! 『県民性の謎がわかる本――47都道府県 あなたの金銭感覚は?』は、こうした都道府県ごとの金銭感覚に迫ったユニークな本。「同じ日本でもこんなに違うのか!」と驚くこと確実の本書より、代表的な都道府県の例をご紹介します。
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信長、秀吉、家康を生んだプライド
愛知県は三重・岐阜とともに「中京」文化圏を形成している。その中核は二百万都市・名古屋。関東にも関西にも属すことを拒んで我が道を行く愛知県人はヨソモノに冷たく、かたくななまでに地元志向で保守的と言われる。
愛知県人にとってのエリート出世コースとは、名古屋大学を出て地元トヨタ自動車系列の企業に就職すること。いくら東京で全国区の活躍をしてもそうやすやすとは認めてもらえず、地元紙『中日新聞』に名前が載ってはじめて「おみゃーさんも有名になって!」と評価される。
保守的な県民性はファッション面にも表れている。東京から発信された流行は名古屋を素通りしてまず大阪へ、そして九州へと伝わっていく。名古屋に伝わるのは、九州で折り返した後だと言われている。
かといって東京を意識していないわけでは決してなく、むしろ意識しすぎるほどだ。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という三英傑を輩出したプライドは強烈で、「東京なんて、もともと家康がつくったんだろ?」と心の底で対抗意識を燃やしているのだ。
・金銭感覚=堅実で貯蓄好き。最後の最後でもう一度値切る
愛知県豊田市に本社をおくトヨタ自動車は、銀行からお金を借りない「無借金経営」を貫いている。これぞ愛知県人の鑑。せっせと貯め込む県民性は、かつて尾張藩が貯蓄を奨励した名残だと言われている。
しかも、リスクのある金融商品などには手を出さず、節約することによって貯める超堅実派。統計に数字が出てこないのは銀行さえ信用せず、タンス預金が多いからだ。レストランでメニューを選ぶ基準も、安さ→ボリューム→味の順。
ビジネスの場でも堅実ぶりは発揮される。愛知県人を相手に交渉が成立してもお金を受け取るまでは安心できない。それまでさんざん値切っていても、いざ払うという段階になって、もう一度シビアに値切ろうとするからだ。
・攻略法=プレゼントは中身より重さが肝心?
愛知県は愛知県人にとっては暮らしやすいところだが、外部の人間がその輪の中に入り込むことは難しい。ヨソモノにとっては、つきあいにくい人たちと映るだろう。見栄えは気にせず実を取るタイプのため、おだててもダメ。ただし、郷土愛あふれる人が多いため、中日ドラゴンズをほめておけば、かなりの確率で喜ばれる。
浪費を嫌い、お金にはシビアなので、同性同士の飲み会では割り勘が当たり前だ。一方、女性は「おごってもらうのが当たり前」だと思っているので、デートでケチる男は嫌われる。男女とも喜ばれるのはプレゼント攻勢。多少安くても、ずっしりと重くて大きいものを贈るのがポイントだ。
ここだけにはお金をかける!
堅実な愛知県人が大勝負を打つことがある。かつては「娘3人もつと身代がつぶれる」とまで言われた「嫁入り」だ。
嫁入り道具は、豪華さをご近所に披露できるよう荷台がガラス張りになり、紅白の幕で飾られたトラックで新居に運び込まれる。多いときには2トントラック3台に、やはり嫁入り道具の新車(トヨタ車が好まれる)が1台。なるべく多くの人に見てもらうため、近くてもわざわざ遠回りし、縁起が悪いのでバックはしない。
豪華な披露宴の後には、引き出物が用意されているが、これがまた重くてかさばるものばかり。出された料理が食べられなかったら各自パックに詰めて持ち帰る習慣も、実利的な愛知県人らしい。
県民性の謎がわかる本
愛知県人は堅実で貯蓄好き? 家賃がもっとも安いのは愛媛県? 実は合理的な北海道人? 日本で一番お金を使う県は? 「京都の着倒れ」はウソ? ……県民性が表れるのは、方言や食べものだけではありません。お金の貯め方や使い方にも、はっきり県民性は表れるのです! 『県民性の謎がわかる本――47都道府県 あなたの金銭感覚は?』は、こうした都道府県ごとの金銭感覚に迫ったユニークな本。「同じ日本でもこんなに違うのか!」と驚くこと確実の本書より、代表的な都道府県の例をご紹介します。