巷の「話し方」の本には一番大切なことが抜けている。それは、会話では「自分のこと」ではなく「相手のこと」を話すということ……。イメージコンサルタントの吉原珠央さんは、「自分の話をやめる」だけで、仕事も人間関係もみるみる好転すると断言。そう言い切れる根拠と、使えるノウハウを凝縮した一冊が、著書『自分のことは話すな』です。会話に苦手意識を持っている人なら必読の本書より、ぜひ試していただきたいポイントをいくつかご紹介します。
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こんな質問していませんか?
人と会うたび、「とりあえず天気の話をしよう」「手始めに雑談でもしよう」などと自動的に考えてしまう人がいます。
そういう人は、同時に、どうでもよい雑談に相手を付き合わせ、相手の真意を何も引き出せないオチのない会話が続く状況に危機感を持たない人ともいえます。
あなたには仕事や人間関係で、どうしても手に入れたいものがあるとしましょう。
もし、そうであるならば、「話が軽い人」「内容が浅い人」などという印象を相手に与えてしまっていないかどうか、常にふり返り、「相手を大事に思う一言」を心がけることを徹底してみましょう。
初対面の人や出会ってから間もない人と話すとき、相手に出身地を聞いたり、聞かれたりすることがありませんか?
ところが実際には、出身地を聞いたり聞かれたりして、「へー」「ふーん」「あー、そうですか」という素っ気ない一言で終わってしまうことも多く、それは、とても失礼なことに違いありません。
出身地という大切な情報を軽く聞き流してしまうことなく、相手の情報や一言一言を丁寧に受け止めてこそ、あなた自身も、相手から大事にされるはずです。
私自身、出身地を聞かれた経験は何度もあります。
相手「吉原さんはどちらのご出身ですか?」
私「はい。私は埼玉県の川越です」
相手「へー」
私「学生時代はずっと川越の実家に住んでいたんです」
相手「ああ、そう」
という反応で終わる会話もありました。
まるで「とりあえず聞いてみるか」と、私に対して興味もないのに惰性で聞いてしまったかのようで、上から目線にも聞こえてしまいました。
「この人は何を知りたいのだろう?」「興味がないのなら最初から聞かなければいいのに」と、相手の質問に答えた自分に呆れるほどでした。
その地名を知らなくたって大丈夫
出身地というのは、誰にとっても世界でたった一つの特別で神聖な誕生のルーツとなる場所のはずです。ですから「出身地ネタは雑談として必須だから、とりあえず聞いてみよう」という考え方はなくしましょう。
そして、仮に質問した相手の出身地名を知らなくても、気にしすぎることはありません。
話し手は、出身地の情報そのものよりも、あなたが「自分の話を丁寧に受け止めてくれる人」かどうかを判断しているにすぎませんから。
私たちは、相手から知らないことを聞いたときの反応の中で、自身の人柄や気持ちの余裕の有無などをさらけ出してしまっています。
例えば出身地についての質問をするときには、「知っている街」の場合と、「知らない街」の場合とで、どのような反応をするかのシミュレーションをしておくことです。
次は、私が相手に「出身は川越です」と答えたとして、相手が川越という街を知っていた場合の反応の事例です。
相手「川越といえば、『小江戸・川越』として人気ですよね。2年ほど前に電車で遊びに行ったことがあるんですよ。吉原さんは、きっとお詳しいのでしょうね。今度行ったときのために、おすすめの和食屋さんなどがありましたら、教えてもらってもよろしいですか?」
そして、自分が知らない情報に対しては、次のように反応します。
相手「川越でしたか。恥ずかしながら、地名を耳にしたことはあっても詳しくは存じ上げないのですが、都心からですと、どのような行き方がありますか?」
私「川越と聞くと、だいぶ遠いイメージがあるかもしれませんが、例えば池袋から東武東上線に乗れば急行で30分ほどなので都心からも近いんですよ」
相手「池袋から30分で行けるのですね! それは想像していたよりもすごく近いなあ。海外の観光客の人たちにも訪れやすそうなロケーションですね!」
いかがでしょう。
出身地のことを詳しく知らなくてもデメリットなどなく、むしろ「行き方」に興味を持っている姿勢で質問できれば、会話の雰囲気がプラスの印象へと繋がります。
自分のことは話すな
巷の「話し方」の本には一番大切なことが抜けている。それは、会話では「自分のこと」ではなく「相手のこと」を話すということ……。イメージコンサルタントの吉原珠央さんは、「自分の話をやめる」だけで、仕事も人間関係もみるみる好転すると断言。そう言い切れる根拠と、使えるノウハウを凝縮した一冊が、著書『自分のことは話すな』です。会話に苦手意識を持っている人なら必読の本書より、ぜひ試していただきたいポイントをいくつかご紹介します。