モノが売れない、といわれる時代。しかし、一流の営業マンは今このときも売りまくっている……。調達・購買業務コンサルタント、坂口孝則さんの『営業と詐欺のあいだ』は、彼らの「きわどいやり方」を赤裸々に明かした、一風変わったビジネス書。坂口さんによれば、「詐欺師と一流の営業マンは紙一重」だそう。手の内を知っておかないと、あなたもいつの間にか損をしているかも……? この試し読みで、ぜひテクニックの一端を知ってください。
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詐欺なんて引っかかる人が悪い。そんな意見を持っている人がいます。その意見は、半分正しくて、半分間違っているでしょう。詐欺とは、「考えれば詐欺と分かるもの」「恐喝によって買わされてしまうもの」に分かれるからです。後者であれば、「騙されるほうが悪い」とまで私は言う気になれません。
ただし、前者であれば予防は十分に可能です。ここでは、常識を活用すれば、防げる詐欺についてお話ししましょう。
・絶対~できる商品
これさえ買えば、あなたは必ず幸せになれる。これを買うことで、あなたは絶対成功できる。そんな触れ込みの商品があります。はっきり言いましょう。そんな「必ず」「絶対」などありえません。
常識で考えてください。使えば誰でも「やせる石鹸」など存在するはずがないのです。そんなものがあれば、使った人の指がガリガリになるはずです。「絶対毛が生える」頭皮薬を使う人の手は毛むくじゃらになっているでしょうか。
・絶対に〇円儲かる商品
絶対に儲かるのであれば、そんなものは他人に教えるはずがありません。誰でもやれるものであれば、市場メカニズムが働いて、儲からない商品になるはずです。それくらい市場とは調整機能があるものです。
「マンション経営で月10万円儲かる」とは、入居者が集まらないかもしれないリスクと、資産価値の下落のリスクを常に抱えています。それに、そんな商品を薦めている企業のセールスマンが、マンション経営をやっていないこと自体がおかしいじゃないですか。
・あなただけが~に選ばれました詐欺
「1万人の中から、あなたが海外旅行に当選しました」という電話がかかってくることがあります。ありえません。海外旅行のチケットを取りに行くと、ヘンな書類にサインをさせられ、高額で売りつけられることになっています。
「当選したのではなかったのか」と訊いても、「激安で買う権利が当たったのだ」と言われるのがオチです。もちろん、激安でもなんでもありません。世の中の営利団体が、無作為の人に向けて、慈善活動などしないことは心しておきましょう。
・ここだけの話詐欺
「ここだけの話」という常套句は、常に不特定多数に向けて発するものです。「ここだけ」である可能性はほとんどありません。「本当にここだけの話なのですが、○○株が仕手筋の買収対象となっている。今投資すれば絶対に儲かる。この機会を失うと絶対に後悔する」という電話で数億円を集めた詐欺がありましたが、見知らぬ人に「ここだけの話」をするはずはないと、考えれば分かります。
・絶対にご迷惑はおかけしませんから詐欺
以前、着物販売詐欺で、「まったく売れずに困っています。1万円差し上げますから、契約書に押印いただけないでしょうか? もちろん、実際にはお買いいただくことはありません。売上が立ったあとに、キャンセルなさったことといたします。私の営業成績のためにご協力ください」と触れまわって、善意につけ込んだセールスマンがいます。
この詐欺の場合、手が込んでいるのは、1度目はたしかにお客がお金を支払うハメにならなかったことです。しかし、2回目に同じような協力を依頼され、押印したところ、その着物販売会社は偽装倒産し、押印協力をしてしまったお客に、カード会社から多額の請求がなされたようです。知人でもないのに、善意を仰ぐのは、常識人のすることではありません。
営業と詐欺のあいだ
モノが売れない、といわれる時代。しかし、一流の営業マンは今このときも売りまくっている……。調達・購買業務コンサルタント、坂口孝則さんの『営業と詐欺のあいだ』は、彼らの「きわどいやり方」を赤裸々に明かした、一風変わったビジネス書。坂口さんによれば、「詐欺師と一流の営業マンは紙一重」だそう。手の内を知っておかないと、あなたもいつの間にか損をしているかも……? この「試し読み」で、ぜひテクニックの一端を知ってください。