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幻冬舎ねこ文庫?発売記念特集

2021.02.19 公開 ポスト

猫は、命いっぱい生きている幻冬舎文庫

猫好きのみなさまお待ちかね! 石黒由紀子さんの『猫は、うれしかったことしか覚えていない』と、山田かおりさんの『猫には嫌なところがまったくない』が、文庫になりました!(やったー! にゃーにゃー!)発売を記念して、勝手に「幻冬舎ねこ文庫」特集をお送りしています。今回は『猫は、うれしかったことしか覚えていない』の試し読みをお届けします。

猫は、命いっぱい生きている

猫にも人にも、クセというか、無意識にしてしまう行動の中に、自分の経験が刻ま れていることがあるものです。野良猫として暮らしていた猫が、保護されて家猫とな ったとき、野良猫時代の生活がしのばれる行動をとることがあります。

外から聞こえる男の人の声に、「はっ!」として耳を傾ける猫は「どこかの男の人 に、親切にしてもらったことがある」のかもしれないし、バイクの音を怖がる猫は「バイクで何か危ない経験をした」のかもしれません。 知り合いの家の元野良猫・茶トラのチャイは、8歳になるオス。ふだんから匍匐前進のような、少し特徴のある歩き方をします。その姿は愛嬌があって、つい笑ってし まうのですが、路上で暮らしていたときに、狭くて低い側溝などをよく歩いていたの かもしれません。

その想像が当たっているのか違っているのか、本当のところはわかりませんが、私 たちはついいろいろな想像をし、勝手に不憫に思ったりしてしまうものです。

最近、近所で見かける猫がいます。小柄な三毛猫なのできっとメスで、そう若くもない? とはいえ4年という野良猫の平均寿命から考えると、まだ2歳か3歳くらいなのかもしれません。駐車場によくいるので、チュウ子と呼んでいます。

ときには凶悪そうな目で凄んでくることもあるし、またあるときには、駐車しているクルマの陰でのんびり涼んでいたり。風雨を凌ぐだけでも大変でしょうが、チュウ 子を見るかぎり、案外満足そうです。

産んでくれた母猫はいたわけだし、兄弟もいたことでしょう。でも、どんな理由な のか、いつからか、ひとり(1匹)で暮らすことになったチュウ子。それからはまさ に、「雨の日には雨の中を、風の日には風の中を」。

自分の直感を信じ、何事にも執着しない。自分ができることをやりきっているとい う確信があるのでしょう。チュウ子には「とにかく生きる」という意欲がみなぎって います。というか、「明日どうしよう」なんて考えたこともないみたい。

今を、命いっぱい生きている猫は、凜々しくて美しいです。

関連書籍

石黒由紀子『猫は、うれしかったことしか覚えていない』

梅干しの種を飲み込んで、開腹手術を受けた猫のコウハイ。苦しかっただろうに、獣医師によると、「また、誤飲しますよ」。猫には楽しい記憶だけが残るので、種を転がしておもしろかったな、とは覚えているけど、苦しかったことは忘れてしまうそう。うれしかったことだけ積み上げて生きていく。そんな猫たちの、可愛くて笑えて、沁みるはなし。

山田かおり『猫には嫌なところがまったくない』

黒猫CPと、クリームパンみたいな手を持つのりやすは、仲良くないのにいつも一緒。傍から見たら下らないけど、とびきり幸福な毎日を過ごしていたある日、突然「私」は黒い親友と白くて丸い手を失った。猫が残していったのは、後悔の念と未開封のキャットフード。それでも日々は続いていくけれど――。これは、猫と暮らす全ての人に贈る、ふわふわの記録。

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