乃木坂46イチの才女、山崎怜奈さんのはじめての本『歴史のじかん』。
専門家の先生方と山崎さんの座談形式で、全14個の歴史テーマを語り尽くした書籍です。
歴史が好きな方も苦手な方も楽しめるこちらの一冊、試し読みをお届けいたします。第11回は岩﨑弥太郎がテーマ。大財閥・三菱を作った岩﨑弥太郎とはどんな人物だったのでしょうか。
* * *
ピンチをチャンスに変えた男 岩崎弥太郎
今回のテーマは、ピンチをチャンスに変えた男、岩崎弥太郎(一八三五~一八八五年)です。商売を自分でゼロから始めて一代で成り上がり、現在も続く大企業、三菱財閥の礎を築いた、敏腕な人物として有名な「私の推しビジネスマン」です。Google とかApple とかを創立したようなすごい方もたくさんいますが、私は岩崎弥太郎を推したい!
今回の先生
河合敦さん(多摩大学客員教授)
分かりやすい解説が人気でテレビでも活躍。著書に『岩崎弥太郎と三菱四代』(幻冬舎新書)など。岩崎弥太郎のイメージは根性があり、人間的にも素晴らしい人。
伊東潤さん(作家・小説家)
ビジネスマンを経て小説家に転身。吉川英治文学新人賞や山田風太郎賞など文学賞を多数受賞。大隈重信が主役で岩崎弥太郎も登場する小説『威風堂々』を佐賀新聞に連載した。『江戸を造った男』『もっこすの城 熊本築城始末』などビジネスの教訓を織り交ぜたお仕事小説も多数執筆。岩崎弥太郎のイメージは「ビジネスマンの鑑」。
第一章 コンプレックス
生まれながらの身分の低さがコンプレックス
山崎 ▼ まず河合先生、岩崎弥太郎の生い立ちを教えてください。
河合 ▼ 岩崎弥太郎は土佐藩、今の高知県安芸市の井ノ口村というところに生まれます。お父さんは岩崎弥次郎という、地下浪人の出なんです。
山崎 ▼ 地下浪人というのは、当時の土佐藩の身分で言うと、かなり下と言っても過言ではないと聞きました。
河合 ▼ そうですね。もともと岩崎家は武士だったけれど、その武士の権利を売ってしまって、そのまま村に土着して、農業をしていたんです。
山崎 ▼ なんで武士の権利を売ってしまったんですか?
河合 ▼ 先祖が博打で財産をすってしまったようで……。
山崎 ▼ 売らざるを得なくなってしまった?
河合 ▼ そうなんです。でも、苗字帯刀は許されていました。
山崎 ▼ 岩崎弥次郎はどのような父親だったんでしょうか?
河合 ▼ あまりいいお父さんではありませんでした。頑固者で、お酒を飲むと平気で人の悪口を言ってしまう、村のトラブルメーカーでした。
山崎 ▼ 弥太郎は、身分の低さをコンプレックスとして抱えていたのでしょうか?
河合 ▼ 普通は、生まれながらの身分を変えることはできないので、コンプレックスを持たないんですよ。しょうがないという諦めの気持ちが強かったから。だけど、岩崎弥太郎は不満だったんです。彼は自分の家柄がすごいコンプレックスで、それを乗り越えたいっていうふうに考えた。そこが普通の人とは違うんです。
山崎 ▼ それすら乗り越えるのが弥太郎だったと。
河合 ▼ はい。そこが偉人になる所以です。
コンプレックスをバネに勉学に励んだ
山崎 ▼ どうやって乗り越えていったんですか?
河合 ▼ まずは、一生懸命勉強しました。弥太郎は漢詩が得意で、最初は先生に褒められ、努力を続けると藩主にまでも褒められて、もしかしたら俺ってすごいんじゃないかって思い始めるんです。それをきっかけに、どんどん勉強し始めて優秀になっていきます。
山崎 ▼ 自分に自信を持つことは悪いことではないと、弥太郎が証明してくれている感じがあります。
河合 ▼ そうですね。ただ字がめちゃくちゃ下手くそで、友達に「お前、下手くそな字だな」と言われたときに、「いや、字が下手でもいいんだ。俺は偉くなって、将来、字のうまいやつを雇って書かせるからいいんだ」と言ったそうです。すごいビッグマウスですよね。
伊東 ▼ 彼は小さい頃から大言壮語でした。日本には言霊という考え方がありますが、少年の頃から「自分が偉くなる」と言い続けたことが彼の将来に繋がったのかもしれません。
山崎 ▼ コンプレックスを力に変えて勉学に励んでいた弥太郎ですが、商売で大成するんだという野心に満ちあふれていたんですか?
河合 ▼ それが、商売は全然考えていなかったんです。
山崎 ▼ え?
河合 ▼ 最初は学者に、次に政治家になりたかったんです。
伊東 ▼ おそらく、高い志を持っていたとか、国家を変えたいというビジョンがあったわけではなく、彼本来の自己顕示欲の強さから、ただ偉くなりたかっただけだと思います。
山崎 ▼ 偉くなるために政治に関わりたかったと……。岩崎弥太郎は、出世欲にまっすぐで屈しないですよね。そこも私は好きです。
伊東 ▼ 秀吉に似ていますよね。秀吉もただ偉くなって人を見下したいから、懸命に頑張り、のし上がっていきました。考え方がすごく似ていると思います。
河合 ▼ やはり大事なことは、コンプレックスをバネにすることなんです。
* * *
岩﨑弥太郎はコンプレックスをバネに、どのようにのし上がっていくのでしょうか。
続きはぜひ、書籍でお楽しみください!
★山崎怜奈さんの内容紹介動画、Twitterにて公開しています★
山崎さんによる内容紹介、十二回目は岩﨑弥太郎です✨
— 【公式】乃木坂46山崎怜奈はじめての書籍『歴史のじかん』 (@rena_history) February 27, 2021
自己肯定感、高めていきたいものです。ぜひ弥太郎を参考にしてみませんか☺️#歴史のじかん#山崎怜奈#乃木坂46 pic.twitter.com/QvXQlf53NZ
歴史のじかん
2021年2月10日発売、乃木坂46山崎怜奈さんの初めての書籍『歴史のじかん』に関する情報をご紹介します。
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