乃木坂46イチの才女、山崎怜奈さんのはじめての本『歴史のじかん』。
専門家の先生方と山崎さんの座談形式で、全14個の歴史テーマを語り尽くした書籍です。
歴史が好きな方も苦手な方も楽しめるこちらの一冊、試し読みをお届けいたします。第12回は渋沢栄一がテーマ。2021年NHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公でもある渋沢栄一とは、どんな人物だったのでしょうか。
* * *
渋沢栄一に学ぶお金の使い方
今回のテーマは渋沢栄一(一八四〇~一九三一年)です。二〇二四年から発行される新一万円札の肖像画に選ばれたことで、近年注目が集まっている人ですよね。日本で初めて銀行をつくっただけでなく、彼が設立に携わった会社は今もたくさん残っています。
不況にあえぐ現在の経済界では、今こそ、渋沢栄一の考え方を取り入れるべきだという声も多いそうです。ほかにも、メジャーリーグで二刀流として活躍しているあの選手の考え方にも、大きな影響を与えているんだとか。一体どんな人物だったのでしょうか。
今回の先生
井上潤さん(渋沢史料館館長)
三十五年間、渋沢栄一を研究。時おり渋沢栄一が自分に降りてくることがある。
本郷和人さん(東京大学史料編纂所教授)
著書に『乱と変の日本史』(祥伝社新書)など。渋沢栄一とはこれからもっと仲良くなっていきたい(財布の中で)。
第一章 意外と知られていない渋沢栄一の偉業
あらゆる事業を手掛けたスーパー実業家
井上 ▼ 渋沢栄一は、なかなか一言でお話しできるような人じゃないんですよ。本当にね、いろんなことをやりました。まず彼は、経済が発展することを一番に考えた人です。
山崎 ▼「日本資本主義の父」とも呼ばれていますもんね。
井上 ▼ 多くの会社をつくりました。ほかにも、社会事業、福祉、医療、教育など、人々の生活に必要なものには全部手を付けたと言っても過言でないくらい、さまざまな事業の立ち上げに貢献しました。どれぐらいの数の会社や事業に関わったと思いますか?
山崎 ▼ 五百以上の企業の立ち上げに携わって、その六割が現在も残っていると聞いたことがあります。でも、企業が五百ぐらいだったら、事業も含めて八百ぐらいですかね……?
井上 ▼ 生涯関わった会社の数はおっしゃる通り約五百、そのほかの社会事業の数を数えると、約六百。一人で千百の会社と事業に関わったんです。
山崎 ▼ 千百!?
本郷 ▼ すげえ。
井上 ▼ 事業を動かすためには、まずお金の流れをつくる必要があります。金融の基盤を確立させないと、会社はなかなかうまく軌道に乗らないですし。
山崎 ▼ では、最初に手を付けたのは銀行ということですか?
井上 ▼ はい。一八七三年(明治六年)、第一国立銀行という銀行をつくります。
山崎 ▼ 第一国立銀行、今でいうと?
井上 ▼ みずほ銀行です。
山崎 ▼ なるほど! 今でも身近なところに、渋沢栄一が関わっていた企業がたくさんあるんですね。
事業を一番に考えてさまざまな立場で関わる
井上 ▼ 二番目に、どういった事業・企業を立ち上げたと思います?
山崎 ▼ その時代に必要だったものですよね、インフラですか?
井上 ▼ 今もいろいろなところで使われていますよ。一時期、なくなるかもしれないなんて言われていましたが……。
山崎 ▼ うーん、東京ガスとか? でもガスはなくならないですよね……。答えは?
井上 ▼ ガス会社も早い時期につくっていますが、正解は、紙をつくる会社です。一八七三年(明治六年)、抄紙会社を設立します。
山崎 ▼ そうか、のちの王子製紙ですね! でもなぜ製紙会社を早いうちにつくったんですか?
井上 ▼ 日本で初めて紙幣をつくるときに、当時の日本の技術ではつくれなくて、ドイツから機械を輸入しました。それを知った渋沢栄一が、紙幣を自国でつくれないというのは情けないと。当時大蔵省にいたこともあり、急いで紙をつくる部局をつくりました。しかし、お役所仕事はなかなか進まない。しびれを切らして民間で立ち上げたのが、抄紙会社でした。
山崎 ▼ なるほど。ほかにもいろいろな企業に携わっているんですよね?
井上 ▼ そうなんです。みずほ銀行、王子ホールディングス、日本製紙、東洋紡、秩父鉄道、京阪電気鉄道、日本郵船、帝国ホテル、東京証券取引所、東京ガス、太平洋セメント、いすゞ自動車、東京海上日動火災保険、清水建設、川崎重工業、日本製鉄、第一三共、大日本明治製糖、キリンビール、サッポロビールなどなど、今でも残っている大企業ばかりです。
山崎 ▼ たくさんありますね!
井上 ▼ これはほんの一部です。
山崎 ▼ 一社のトップになったというよりは、複数の企業の相談役というような立場で動いていたんですね。
井上 ▼ はい。企業のトップや相談役的な位置付けであったり、何か指導を求められたら対応する立場だったりと、いろいろな側面を持っていました。
山崎 ▼ ということは、人を見る目もあったんですか?
井上 ▼ はい。事業に責任を持つ優秀な首脳陣がちゃんといるかどうかを見極めると同時に、実務に携わる人がしっかりしているかも重視したそうです。個人的な感情は抜きにしてフラットに人を見ていたようで、例えば、自分が立ち上げた会社が乗っ取られそうになったとき、乗っ取りに来た人が優秀だったら、次の事業でその人を起用したり……。
山崎 ▼ 自分の利益ではなく、事業自体を第一に考える人だったんですね。
井上 ▼ そのためにも、強い信頼関係を築くことを心掛ける人でした。
* * *
渋沢栄一は様々な事業に携わった人だったんですね。
続きはぜひ、書籍でお楽しみください!
★山崎怜奈さんの内容紹介動画、Twitterにて公開しています★
山崎さんによる内容紹介、十三回目は渋沢栄一です?
— 【公式】乃木坂46山崎怜奈はじめての書籍『歴史のじかん』 (@rena_history) March 2, 2021
2020年の山崎さんが考えた渋沢栄一のこと、ぜひ書籍でお読みください?#歴史のじかん#山崎怜奈#乃木坂46 pic.twitter.com/DDuudXDpYp
歴史のじかん
2021年2月10日発売、乃木坂46山崎怜奈さんの初めての書籍『歴史のじかん』に関する情報をご紹介します。
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