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女ひとり温泉をサイコーにする53の方法

2021.03.11 公開 ポスト

売れてくれ、島根のサイコーな温泉たち永井千晴

「温泉オタク会社員」こと永井千晴さん(@onsen_nagachi)の初めての本が発売になりました。その名も『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』! 訪れた温泉は約500湯。暇さえあればひとりで温泉を巡りまくっている永井さんによる温泉旅が100倍楽しくなる本書から、少しずつTIPSをご紹介していきます。

あまり賑わっていない、すばらしい温泉に出会うと、「売れてくれ」と思います。まだ世間に知られていない俳優さんを推すのと同じ気持ちですね。売れてくれ、売れてみんなに愛されてくれ、ちょっと混雑する(≒チケット取りにくくなる)のは嫌だけど、あなたがそれで幸せになって営業(≒芸能活動)続けてくれるなら私は本当に売れてほしいと思うしみんなに宣伝するね……みたいな感じです。デビュー前から応援していたインディーズバンドが売れたらさびしいけれど、私の目は間違っていなかった、嬉しい! とも思いますよね。そう、そんな気持ちになるのが島根の温泉地です。売れてくれ。

特に推しているのが、島根の西側に位置する有福温泉、温泉津温泉。有福は「山陰の伊香保」ともいわれていて、石段街の美しい温泉地です。建物の半分以上がもう空き家らしく、かなり閑散としていますが、湯はもうマジの逸品。浴感、肌触りがもう、本当に驚くほどつるっつるなのです。丘の上の共同浴場「御前湯」は、脱衣所のすぐ近くから湧いている新鮮な温泉がたっぷり注がれていて、たゆたゆのオーバーフロー。青いタイルがかわいらしく、少し深めな湯船の設計もすばらしくて、大好きな共同浴場です。……雰囲気もすばらしいので、有福は永遠に続いてほしい温泉地です。私が富豪ならごっつい旅館建てるのに。

温泉津は、有福から45分ほど車を走らせたところにある温泉地。有福よりもう少し大きい温泉地で、瓦屋根の古きよき旅館が連なっています。2007年、石見銀山とその周辺が世界文化遺産に登録され、温泉津もそのひとつに含まれました。この「世界遺産の温泉地」には、被爆者の湯治にも使われた、国内屈指の療養泉が湧いています。あっつあつの塩湯には、いろんな成分がごったごたに含まれていて、ガツーンと体に染みます。力強い温泉成分によって、共同浴場の湯船や床はとろとろに変形・変色していて圧巻。しっとりした温泉街にはバーやカフェもあり過ごしやすく、地酒もおいしいです。温泉津も空き家が多いみたいなので、本当にがんばってほしい、売れてほしいのです……。

島根の温泉地といえば、一番の有名どころは玉造温泉です。美肌の湯として1300年前から愛されていて、川沿いには旅館が軒を並べ、温泉コスメの種類も豊富で、若い女性グループ客がたくさん見られる売れっ子温泉地です。縁結びにご利益があるといわれる出雲大社が近いことから、セットでの旅行が人気。玉造もいいけれど、有福・温泉津にもぜひ寄ってほしいな……というのが、温泉オタクの願いです。

島根にはすばらしい温泉がまだまだあります。「千原温泉湯谷湯治場」はじめ、バルブでお客さんが温度調節する変わった設計の濃厚鉱泉「木部谷温泉 松乃湯」、ぺとぺとな浴感がサイコーに気持ちいいぬる湯の三瓶温泉「鶴の湯」、つるつるしっとりかけ流しで川沿いのまったりした雰囲気が心地よい奥出雲湯村温泉「湯乃上館」などなど、推しだらけです。飛行機でびゅんと、行ってみてはいかがですか。

ちなみに、山口・鳥取・岡山北部あたりもすばらしい温泉が湧いているので、山陰まるっと旅行するのもおすすめです。山口の一の俣温泉はトロットロで気持ちいいし、鳥取は日本一のラジウム泉が湧く三朝温泉は要チェックだし、岡山は湯原温泉郷もいいけど近くにある奥津温泉のぬるいアワアワ湯がサイコーすぎるので……。

いずれの地域も、東京発だとかなりアクセスに難があります。小さな地域の空港に着いて、何時間か車を運転して、ようやっと着くような温泉地もあります。でも、えいやと行ってしまっても損はないような温泉ばかりです。「いつもの温泉旅行」にちょっと飽きてきたら、ぜひ。

関連書籍

永井千晴『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』

訪れた温泉は500湯。ヒマさえあれば女ひとりで温泉を巡りまくっている「温泉オタクOL」による温泉偏愛エッセイ!

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女ひとり温泉をサイコーにする53の方法

「温泉オタク」会社員による温泉偏愛エッセイ

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永井千晴

1993年2月生まれ。学生時代に温泉メディアのライターとして、半年間かけて日本全国の温泉を取材。その後、旅行情報誌「関東・東北じゃらん」編集部に2年在籍し、「人気温泉地ランキング」などの編集を担当。退職後は別業種で会社員をしながら、経験を活かしてTwitterやブログで温泉の情報を発信している。現在も休みを見つけてはひとり温泉へ出かける、市井の温泉オタク。国内外合わせて約500の温泉に入湯。好きな言葉は「足元湧出」。
Twitter @onsen_nagachi

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