「温泉オタク会社員」こと永井千晴さん(@onsen_nagachi)の初めての本が発売になりました。その名も『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』! 訪れた温泉は約500湯。暇さえあればひとりで温泉を巡りまくっている永井さんによる温泉旅が100倍楽しくなる本書から、少しずつTIPSをご紹介していきます。
働いていた旅行雑誌の編集部に、「毎年必ず和歌山へ行く」という先輩がいました。友人家族と子連れで何泊かしに行くそうです。温泉浸かって、アドベンチャーワールド(動物園・水族館・遊園地が一体になった巨大テーマパーク)で遊んで、海鮮とラーメンに舌鼓を打って。私もその話を聞くたびに、「わかります、本当に。私も和歌山大好きです」と共感していました。和歌山は、サイコー。
温泉だけでいえば、関西を見渡すと、有馬温泉と城崎温泉を抱える兵庫がこと目立ちます。そもそも関西は温泉が他と比べると少なめ。京都は北部の京丹後地方と、天橋立近くの宮津に温泉が湧いていて、奈良の山奥には十津川温泉が、大阪には掘削して湧かせたスパやスーパー銭湯が……といった具合。その点、和歌山の温泉は粒ぞろいです。
和歌山で最も大きな温泉地は、南紀白浜温泉。兵庫の有馬、愛媛の道後と並べて日本三古泉のひとつに数えられています。一三〇〇年以上の歴史がある温泉地ですが、いまはヤシの木がそこここに生える、近畿屈指のリゾート。オーシャンビューがかなう温泉がたくさんあり、夏は海水浴客で賑わいます。硫黄のにおいと磯のにおいがする温泉は、海のミネラルたっぷりな塩の湯。体の芯までぽくぽくに温まるいい温泉です。近くには前述したアドベンチャーワールドがあり、家族連れもグループもカップルもめちゃくちゃ楽しめます。和歌山のおいしいものがすべて揃った超巨大市場「とれとれ市場」もマストで訪れたいところ。わいわい楽しむ旅行にはぴったりです。
もちろん和歌山の温泉、これだけではありません。私の最推しは、湯の峰温泉。つるつるした浴感で、硫黄のにおいも心地よく、じんわり心身が癒やされます。湯の峰は温泉だけでなく、街並みが美しいのもポイント。ひなびた雰囲気が非日常を演出してくれます。硫黄のにおいが町中に染み付いているようで、温泉ファンはたまらないはず。「あづまや」など、風情ある旅館も残っています。
他にも、龍神温泉は欠かせません。日本三美人の湯のひとつに数えられている温泉地です。もうもうと茂る木々が旅館群を包み込んでいるようで、ひっそりとした雰囲気。美人の湯の評判よろしく、つるつるで湯上がりしっとり。軽い浴感なので長く浸かりたくなるのも魅力です。湯上がりはほっと一息ついて、川魚をつまみに地酒をいただくような、静かな贅沢を味わえます。
まだまだあります。川底から湧く湯にそのまま浸かる野天「仙人風呂」がある川湯温泉。和歌山市内にある黄金色に輝くパッチパチの炭酸泉「花山温泉 薬師の湯」。勝浦港から専用の船で行く孤島のホテル「碧き島の宿 熊野別邸 中の島」等々……。和歌山は特にゴハンもおいしくて、太平洋を眺めながらのドライブがめっちゃくちゃ気持ちいいですよ。関西の主要観光地と並べると、どうしても足を伸ばす印象があるかもしれませんが、和歌山の温泉、もっと愛されてほしいです。
女ひとり温泉をサイコーにする53の方法
「温泉オタク」会社員による温泉偏愛エッセイ
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