「温泉オタク会社員」こと永井千晴さん(@onsen_nagachi)の初めての本が発売になりました。その名も『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』! 訪れた温泉は約500湯。暇さえあればひとりで温泉を巡りまくっている永井さんによる温泉旅が100倍楽しくなる本書から、少しずつTIPSをご紹介していきます。
移住したい温泉地をひとつ挙げるとすれば、真っ先に別府が浮かびます。これから一生ひとつの温泉地しか行けなくなるとしたら、別府を選びます。とにかくなんでも揃っている、最強の温泉地だからです。
湧出量も源泉数も、ぶっちぎりの日本一。日本の源泉の約一割が別府にあるといわれています。まさに「湯の町」な別府は、地方都市の側面が色濃くあります。なぜかというと、別府の“温泉街”と“生活圏”は重なった状態で発展しているから。繁華街も、学校も、大きなショッピングセンター(ゆめタウン)も、山も、海も、温泉も、ほとんど同じエリアにぎゅっと詰め込まれています。大学があるため若者も多く住んでいて、そこここがにぎやか。例えば、温泉地で居酒屋に入り、観光客と地元の学生やファミリーが同じように座ってにぎわっている風景は、どこででも見られるものではありません。温泉街と生活圏が重なった別府は、「住みたい温泉地」「ずっと居たくなる温泉地」として私の中でトップに君臨しています。
別府の温泉は、市内に点在している温泉エリアを総称して「別府八湯」と呼ばれており、それぞれに個性豊かな湯が湧いています。十ある泉質のうちほとんどが湧いているので、浸かり比べができるのもポイント。さらに、別府市内にある温泉施設のうち、八十八箇所をめぐるという“やりこみ要素”のプログラムも用意されています。「別府八湯温泉道」と名付けられたそれは、二〇一四年時点で五〇〇〇人以上が八十八湯制覇に成功しているのだとか(八十八の温泉めぐりを数十回重ねる達人も何人かいるそうです)。さらっと訪れても、何回訪れても、住んじゃっても、無限に温泉を楽しめるのが別府の恐ろしいところです。
そしてなんと、別府はゴハンもおいしいのです。関あじ・関サバといった海の幸は絶品。とり天、りゅうきゅう(刺身の漬け)はマストだし、ご当地グルメ・別府冷麺も、温泉グルメ・地獄蒸しも欠かせません。あと、むぎ焼酎ね……!
別府は“なんでも勢揃い”なのが魅力的なものの、初めて訪れるときはどこへ行けばいいかわからなくなります。私的には、
・竹瓦温泉(繁華街の中にそびえ立つ、別府のシンボル的な温泉施設)
・鉄輪温泉(温泉街っぽい情緒。むし湯が強烈で、火葬されている気分になる)
・明礬温泉(山の上にある、硫黄のにおいたっぷりな白濁温泉のエリア)
をまずはおさえたらオッケーだと思います。そして、コバルトブルーな観海寺温泉の「いちのいで会館」、三種の源泉がミックスされた鉄くさい「柴石温泉」、泥湯が人気な「別府温泉保養ランド」、地元の人ご用達の共同浴場「不老泉」「駅前高等温泉」、「杉乃井ホテル」「AMANE RESORT SEIKAI」「ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ」などのホテルの美しい湯場と、すてきな温泉たちを楽しんじゃいましょう。別府の温泉は百円から十万円まで、すべてがサイコーです。別府を知らないなんてもったいない。
女ひとり温泉をサイコーにする53の方法
「温泉オタク」会社員による温泉偏愛エッセイ
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