「今の世の中の常識のようなものの中で生きづらさを感じている人へ――」
銀色夏生さんが今の想いを込めた最新刊『私たちは人生に翻弄されるただの葉っぱなんかではない』より、メッセージをお届けします。
孤独感はいつか底を打つ
さっき、夜になってちょっと用事で、車に乗って出かけてきたのですが、帰 ってくる途中に、孤独感というか寂しさのような、すごくしんみりしたものを感じました。本当になんともいえない「ひとり」という感じの孤独感っていうものに時々襲われることがあって。そういう時は、私はその孤独をものすごくしっかりと 受け止めるようにしています。その時に、それをそのまま心の奥まで抱き込む というか、しーんと浸透させるというか。本当に孤独な感じなので。もうただ そのままでいる、その気持ちを心底、感じる。
この状況は、私が選んだからだなと思います。いろいろと、他のこういう状 況ではない立場の人のことを考えたり、違うふうであったかもしれない自分と いうものを想像したとしても、私があの時にそれを選ばなくて、そうではない 今みたいなのを選んだから、今私はこうなんだなあ、と。
例えば結婚して旦那さんと一緒に旅行に行ったりしている人とか、なんだか んだ喧嘩しながらもいつも誰かと賑やかに一緒にいる人とか、そういう人を見 た時に、私は強くあこがれると同時に、やっぱりそれはあまりにも自分からは 遠い。
自分はそれを選ばなかった。その中の何かを嫌だと思ったから、ある時にそ こから離れたんです。
だから、ひとりでいるっていうことを選んだんです。こうやって時々すごい 孤独感に襲われるのは、もう仕方ないなと思っています。そして、このままこの孤独感というのを感じ続けていくと、いつか底が抜けるというのか、底を打 つような気がしています。
孤独の種類が変わる。
気を紛らわせずにこれと共にいると、寂しい孤独というものではなくなる。豊かな孤独。なんていうのか、あきらめとか何かそういうようなものを通り越 すと、穏やかで広い境地に達するような気がします。時々は我慢して、このま まやっていくと、違う境地に達するのではないかと思っています。