数々のプロアスリートを顧客に持つパーソナルトレーナー清水忍氏の書籍『ロジカル筋トレ』(幻冬舎新書)が発売即重版となり、話題を呼んでいる。
ここでは本書の一部を抜粋して紹介する。体幹を鍛える「クランチ」について、ざんねん筋トレとロジカル筋トレのちがいはココだ!
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あなたのトレーニングはどこが「ざんねん」だったのか
今回は、体幹の筋肉を効率よく合理的に鍛えていくためのトレーニングのハウツーを紹介していくことにしよう。
世の中には成果につながりにくい非効率的な筋トレをしている人がたくさんいる。
腹筋や腰背部の体幹を鍛えるメニューにおいても、力の入れ方や体の動かし方が微妙にズレていたりまちがっていたりするせいで、なかなか思うような効果をあげられずにいるケースが多い。
つまり、そういう人々は、知らず知らずのうちに「ざんねん筋トレ」を行なうのが習慣になってしまい、そのせいで自分が望む目的に到達するのに、ものすごく遠回りをしてしまっているわけだ。
今回は、成果があがりづらい「ざんねん筋トレ」と、成果があがりやすい「ロジカル筋トレ」とでどこがどうちがうのかを、ポイントをしぼってご紹介していくことにする。
ただ、ひとつお断りしておこう。
この本は、筋トレメニューのやり方をいちいち解説するような教科書ではない。トレーニングのやり方を解説するのではなく、あくまで「ざんねん筋トレとロジカル筋トレの違い」を明らかにすることを主眼にしている。
そのため「基本的なやり方」とか「基本的な注意点」とか「基本的なマシンの使い方」とか、そういった教科書的な部分の説明は思いきって割愛させていただくことにする。
もし、そうした「教科書的な解説」が必要な場合は、ネットやユーチューブ、他の筋トレ本などを参考にしてほしい。
〈クランチ〉頭だけを動かしてやったつもりになっていないか
腹筋を鍛えるトレーニングとして、誰もがまっ先に思いうかべるのがクランチだろう。
昔から広く行なわれている腹筋運動であり、「ひざを曲げたやり方」「足を浮かせたやり方」「足を台に乗せて行なうやり方」などいくつかの方法がある。
ただ、どのやり方をするにしても、筋トレ効果を十分に出せるか出せないかを分けるポイントは一緒だ。
そのポイントは「頭」である。
「ざんねん筋トレ」の人は、上体を起こす際、頭を大きく移動させることに意識を向けてしまう傾向がある。
この「頭の動き」が大きい人の場合、上体を起こすたびにあごを引いて、頭を足のほうにグッと押し出すような動きをしている。おそらく、そのほうがより「やっている感」が出て、自己満足が得られるのかもしれない。
頭はボウリングの球と同じぐらいの重さがある。頭を足の方向に引きつけてしまうと、その「重り」が足の方向に移動してしまう。
「重り」は足から遠いところにあるほうが負荷が大きいので、これではラクをしているということになる。
インストラクターの中には「へそをのぞき込むように上体を起こせ」と指導している人もいるようだが、これはむしろラクをしている動きである。
「へそをのぞき込むように頭を下げると、負荷が減って十分な効果を得られなくなってしまう」と考えたほうがいい。
では、こうした点を踏まえ、ロジカルにクランチを行なうにはどうすればいいのか。
それには、頭と背中を一直線にして、「胸から先に行く」ようなつもりで上体を起こしていくといい。腰を十分に丸め、腹の力だけを使って上体を上げ下げしていくのである。
このスタイルで行なうと、腹直筋を思いっきり酷使せずにはいられなくなり、結果、段ちがいの筋トレ効果が得られることになる。
すなわち、頭を足のほうに引きつける動作ではなく、腰を丸める動作が重要なのである。「頭を動かすことと腹筋は関係ない」と考えられるかどうかが、「ざんねん」と「ロジカル」の分かれ目となる。
なお、クランチで鍛えられる筋肉は、腹直筋オンリーだ。このため、ボディメークの人が腹直筋に狙いを絞って行なうなら、とても好都合なトレーニングとなる。
だが、アスリートの場合は腹直筋のみを使う動きをすることはほとんどなく、腸腰筋をはじめ、複数の筋肉の連動で動くことが必要だ。
そのためアスリートはクランチと同系統の腹筋トレである「シットアップ」を行なうといいだろう。
シットアップであれば、腹直筋だけでなく腸腰筋も鍛えることができる。腹筋を中心とした筋肉の連動性を高めることができ、パフォーマンス向上に役立てていくことができるはずだ。
疲れにくい体づくりを目的とする人もシットアップがベターである。
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ロジカル筋トレ
2021年3月25日発売の幻冬舎新書『ロジカル筋トレ 超合理的に体を変える』(清水忍氏著)の最新情報をお知らせいたします。