子供の頃は勉強嫌い、二十一歳の時に「勉強の価値」なるものを見つけたという人気作家の森博嗣さん。「勉強は楽しくないのは事実」、勉強は「人に勝つためでも、社会的な成功者になるためにするのでもない」。“では何のため?”と社会で聞かれることが多いのは、「勉強という行為の“抽象性”が理解されていないから」。自身の体験と勉強の根本を深く幅広く探究し話題の『勉強の価値』(幻冬舎新書)から、人生後半期のリアルな勉強との向き合い方をピックアップしてお届けします。
誰も目を向けないようなこと=個人研究を見つけたあとは
ここで大事なのは、しばらく人に話さないことである。あくまでも、自分一人の活動として、日々少しずつ進めるのがよろしい。記録は残した方が良いけれど、ネットなどでの公開は控えよう。少なくとも一年か二年は黙って、秘密裏に進めることをおすすめする。何故なら、その沈黙の期間に、あなたはきっと自分だけの「楽しさ」を見つけることができるからだ。
公開すると、たちまち他者を意識したものになるし、また反響があることで、自分の動機が濁(にご)ってくるだろう。人のために、という部分が出てくると、目的を見失うことになりかねない。
まずは、自分の楽しみを見つける方が先決で、それが確固たるものになってからならば、公開しても大丈夫だと思われる。
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勉強って何のため?
勉強意欲もわいてくる新年度。とはいえ、そもそも何で勉強するの? したいからする? し続けなければならない理由が? 学びの意義を考える勉強特集。
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