レシートは自分の人生を映し出す鏡。そこには買ったものと値段だけでなく、行動の履歴、自分の価値観がつまっています。書籍『レシートで人生を変える7つの手順 もらって、集めて、眺めるお金術』ではそのレシートを使った節約術を解説。まずは1週間、レシートを集めて眺めてみてください。
すべてのレシートを忘れずに受け取る方法
早速、今日から、レシート集めを始めてみてください。コンビニでお昼ご飯を買ったときのレシート、スーパーで食材を買ったときのレシート、ATMでお金をおろしたときのレシートなど、ありとあらゆるレシートを忘れずに受け取ってください。
それだけでは足りません。自動販売機で何かを購入した際にも、忘れないでください。
「え、自動販売機でもレシートをもらえるの?」
という声が聞こえてきそうですが、原則として領収証はお願いすれば受け取ることができます。ざっくりとした言い方になりますが、
「お金を支払った場合には領収証の発行を請求できる。領収証をもらえない場合にはお金を支払わなくてもよい」
という規定(と判例)が民法にあるのです。
自動販売機などで商品を購入した場合もそれを設置しているお店に頼めば領収証を発行してもらえる可能性はあります。電車の切符を買ったような場合には、窓口に行けば領収証を発行してもらえます。
とはいえ、それはかなりの手間ですよね。
一般的にレシートを受け取りにくい場合にまで領収証を受け取れと言いたいわけではありません。手帳や携帯にメモをしておいて、後で金額と内容がわかるようにしてあればOKです。
こうしてすべてのレシートを集めるからこそ、支出のすべてをレシートによって「見える化」でき、見直すことも可能になるのです。
それだけではありません。レシートをもらえない支出についてメモを取るという作業自体が、無駄遣い撃退につながるのです。
自動販売機でジュースを買うなどといったレシートをもらえないような出費は、店員との接触もないため記憶に残りにくく、無駄遣いにつながりやすいもの。電子マネーでピッと購入できたらなおさらです。そこで、メモを取ることで、無駄遣いに気付ける可能性が高くなるというわけです。
お金持ちといわれる人の中には、自動販売機にお金は入れない主義、つまり自動販売機は使わないという人もいます。値段のこともよく考えずにお金を使ってしまう悪魔の箱なのです。
このように、レシートを必ずもらうというルールにしておけば、レシートをもらえない出費にも敏感になります。缶コーヒーを毎日5本も6本も飲んでいた、といったような、あまり気付いていなかった浪費に気付くこともあります。たかが缶コーヒーと思っても、1日1本減らせば、1か月2、3000円がすぐに節約できます。
自動販売機の利用のように、通常は領収証を受け取らない支出を私は「ノーレシート支出」と呼んでいますが、ノーレシート支出の中に、無意識の浪費が潜んでいることが多いのです。
交通費は必要経費ではない
ノーレシート支出の中で、額が大きくなりがちなものの一つが交通費です。
今やスイカやパスモといったICカードでピッと通過する時代ですし、切符を購入した際も領収証はもらわないことが多いでしょう。そこできちんとメモを残して、無駄遣いがないか気を付けることが大切になります。
「交通費は仕方ないじゃない?」
「必要経費だから削減しようがない」
と反論されることもありますが、そういう考えが怖いのです。
コンサルタント仲間と、
「経費はギリギリまで削っていてもう削るところがない、と言っている会社に限って無駄が多い。まだ削れるところがあると思うのですが、と相談にくる会社は本当に無駄がない」
という話で盛り上がったことがあります。
これは、個人のお金にも言えることです。
「交通費に無駄遣いなんてない。移動費は常に必要経費だ」
といった思い込みが無駄遣いを生んだり、無駄遣いに気付かない原因になったりするのです。
たとえば、安いアウトレットモールに行ったつもりが、交通費がかかって実際にはあまり安く買えていないということはよくある話です。
友達付き合いを否定するつもりはありませんが、本当にそれだけの交通費と食費を支払ってもよい楽しい時間だったか疑問が残る場合もあるでしょう。
誰かがごちそうしてくれたのはよいけれど、実はそこまでの交通費がいつもの食費以上に高かったなどという事実から目をそらしていませんか?
もちろん金額で測ることのできない価値はあります。でも、金額で振り返る冷静な視点は絶対に必要です。私たちにとってお金は限りあるものなのですから。
レシートは自分の人生を映し出す鏡。そこには買ったものと値段だけでなく、行動の履歴、自分の価値観がつまっています。書籍『レシートで人生を変える7つの手順 もらって、集めて、眺めるお金術』ではそのレシートを使った節約術を解説。まずは1週間、レシートを集めて眺めてみてください。