人気絵本作家のaccototoさんは、まるで絵本の中から飛び出したかのような素敵な暮らしを軽井沢でしています。
そんなaccototoさんの暮らしを覗き見。中々遠出できないこのご時世、憧れの軽井沢暮らしを本の中で体験してみませんか?
今回は、庭に自作したツリーハウスで感じる四季のこと。
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庭の茂みの中にある、2本の木の間に作ったツリーハウスは、自然に溶け込む不思議な家。自然にほどよく溶け込んでいるからこそ、四季の変化でさまざまな表情をみせてくれます。
春、花が庭に咲き始め、木々の葉も増え始めると、この小さな家も新しい季節を喜んでいるように見えます。
夏は鬱蒼と茂る植物の間からひょっこりこちらを見つめているよう。
秋にはハロウィンもあるので、キャンドルやランタンを持ち込んでみました。窓から溢れる明かりが温かくきれいで。厳しい冬の前にホッとする景色でした。
冬は雪をかぶり、真っ白な家に。一緒に春を待ちわびているような、そんなイメージが湧きます。
ここにいると自然をより近くに感じます。
鳥がさえずっている様子や、木の実をついばんでいる様子。種が落ち、「ああ、きっとあそこから芽がでるな」なんて感じたりもします。
夏になれば鬱蒼とした茂みに、虫がたくさんやってきて、食べたり、食べられたりの食物連鎖を間近で見ることができるのです。
ある時からは、キジも庭にやってくるようになりました。うちをテリトリーにしているのかもしれません。こちらに安心してくれているからか、どんどん距離が近づいていて、7mくらいまで近づけたでしょうか。
動物たちはみなそうですが、理屈ではなく勘で生きている、それを地震の時などによく感じます。
地震が来る前、キジがけたたましく鳴くんですよ。普段、夜には鳴かないキジが異様に鳴いた時があって、次の瞬間、グラグラと揺れました。すぐにテレビをつけたら、震源地はずいぶん遠くにあって。何を感じているのだかわかりませんが、携帯電話の地震速報よりよっぽど正確で早いと思いましたね。
ツリーハウスでの自然観察は絵本の着想もたくさんくれます。
動物の世界には食物連鎖があることはもちろん、秘密基地のような空間がある楽しさも、絵本の題材にしたことがあります。かばの「ポポくん」シリーズの『ポポくんのひみつきち』なんてまさにそうです。ポポくんが仲間と木の上に家を作るお話。
ツリーハウスにいる時間、ツリーハウスを眺める時間は、自分たちが自然のサイクルの中で生きていること、そして孤独ではないことを実感させてくれるのです。
次回は5月22日更新です。
絵本作家の森のいえ便り
森の木々がいっせいに芽吹く春、
雨が降るごとに緑が濃くなる初夏、
庭のツリーハウスから見上げる夏の夜空、
紅葉が絨毯のように積もる秋のテラス、
銀世界に小さな訪問者の足跡が残る冬。
――都会から引っ越して10年。森のいえに暮らす絵本作家の日々は、四季の変化、動物たちとの交流、育っていく子どもたちのおかげで、彩り豊かで目まぐるしい。
自然いっぱいの毎日は、楽しいことであふれてる。
「まるで、お話の世界!」な日々をつづった、人気絵本作家の初エッセイ。