テレワークの普及で悩まされる方が増えてきたのが腰痛。「8割は原因不明」といわれますが、スタッフと共に100万人以上もの患者さんを診てきた酒井慎太郎さんは「問診をして情報を事細かく聞き出していけば、必ず『痛みの原因』にたどり着きます」と断言します。
酒井さんが従来の腰痛治療の常識を超えた「新しいルール」を開陳する『つらい痛みが1日3分でスーッと消える 新しい腰痛の教科書』より、腰痛に関する基礎知識や対処方法の一部をご紹介します。
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みなさんはぎっくり腰の後、何日間くらい横になっているでしょう。もしかして「まだ痛みが残っているから」「また痛めると嫌だから」と言って、1週間近くも安静にしてはいないでしょうか。
しかし、長く寝ているのは、かえって治りを遅くするだけ。それに、お年寄りの場合、安静にしすぎていると、筋力低下や関節の拘縮が進んで、てきめんに足腰が衰えてしまいます。甘く見ていると、安静にしていたのがきっかけで寝たきりや要介護に移行していってしまうこともあるのです。
ですから、安静のしすぎは禁物。ぎっくり腰の場合、発症後2日間程度は安静が必要ですが、3日目以降は痛みが残っていても意識的に立ったり歩いたりし、少しずつ日常の活動に復帰するようにしてください。
また、その際、腰の痛みをかばって体を「くの字」に曲げて歩く人が多いのですが、この姿勢は腰の状態を悪くすることにつながりかねません。先にも述べましたが、なるべく腰をまっすぐ伸ばしたいい姿勢で歩くことをおすすめします。ある程度辛抱は必要ですが、そのほうが治りがずっと早まるでしょう。
さらに、気をつけるべきはぎっくり腰を起こしたときだけではありません。椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎分離症・すべり症などの場合も、腰の具合がよくないからといって安静にしてばかりいると、状態を悪化させてしまうことにつながります。
そもそも関節という器官は、日々動かさずにいるとどんどん機能を低下させていってしまうもの。そして、反対に日々コンスタントに動かしてさえいれば、関節としての機能を維持していくことができるものなのです。
だから、むしろ腰の具合がよくないときこそ立ったり歩いたりして積極的に動くようにすべき。腰痛を防ぐには「守りの姿勢」でいるよりも、「攻めの姿勢」で痛みに立ち向かっていくほうがいいのです。ぜひみなさんも、「腰痛は安静にしていては治らない」と心に刻んで、多少痛くとも歩くようにしてみてください。
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編集部注:腰痛には重篤な病気が隠れている場合や重症化する場合があります。気になる症状があれば医療機関を受診してください。
より詳しい腰痛のメカニズムや腰痛を治すためのストレッチや体操については書籍『つらい痛みが1日3分でスーッと消える 新しい腰痛の教科書』をご覧ください。